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【30】癇癪 〜あたしが居る意味〜
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鼻の奥がジーンとし、涙が溢れてくる。
泣きたくないのに、腹が立って悔しくて……なんでイライラしてるかもわからないくらいに気持ちがぐちゃぐちゃだ。
「あたしが居る意味って、なに?サニーの帰りを待つだけのペット?性欲を解消するための娼婦?ポーラだって内通者として任務に貢献しているのに、あたしは仕事もさせてもらえず邪魔者扱い!ひどすぎない!?あたしのこと好きなら、もうちょっと考えてくれたっていいでしょっ」
目を逆三角形にさせ、癇癪を起こす子どものように泣き喚くダニエル。
その迫力に二人は呆気にとられた。
被害妄想に囚われたダニエルは、眼を丸くする二人に馬鹿にされてるように感じ、ますますプライドが傷ついた。
心の痛みは怒りとなってダニエルから噴き出す。
「なんとか言ってよ!!」
手についた服をサニーに投げつける。
それを間一髪で避けたサニーは背中に脂汗が滲んだ。
こうなってしまったダニエルを宥めるのは一苦労であるのを、身をもって知っていたからだ。
「やめなさい、マッキニー准尉!」
「いやです!もう我慢しません!!」
「我慢……していたんですか?」
「ユーリ、やめろ」
頼むからこれ以上刺激してくれるなと、サニーはユージンに目で訴えた。
その間にもダニエルのヒステリックはとどまる事を知らず、カツラや靴を投げてくる。
堪らず、サニーはダニエルの腕を捉え拘束した。
「俺のお姫様。怒ってるキミも素敵だけど、気を静めて……」
「ヤダッ!!」
ダニエルは渾身の力で男の腕を振り払い、絨毯を踏み鳴らし荒々しく廊下へと続くドアへと向かった。
「ディディ、頼むよ。本当に仕事なんだ」
自室に籠城しようとしたダニエルを追って、サニーも部屋に滑り込んでくる。
「あたしを連れて行けない仕事なんでしょ。酒と女の香をプンプンさせて帰ってくるなんて、どんな仕事かしら!?」
「いやぁ、それには深い理由がありまして……」
「どんな!?」
「それは……一言で説明できないんだヨネ。帰ってきてからゆっくりお話させてほしいなぁ」
「やっぱり言えないことしてるんじゃない!!あたしを連れて行けないのも、他所の女とイチャイチャするのに邪魔だからなんでしょ」
アリャーリャ村のバーで何度か見た、女性に絡まれるサニーの姿を思い出し、ダニエルは怒りで身体中が燃え滾った。
生理中だから、今夜はエッチできない。
まだそれを打ち明けてないけど、きっと勘の良いサニーは気付いてるんだわ。
それであたしに隠れて外で済ましてくる気なんだ!!!
「違うよ、ディディ!キミがいるのに、そんなことするわけな……」
「信じらんない!サニーのスケベ!変態!!最低浮気男!!」
怒りのまま、ダニエルの口が勝手に動く。
「もぉ、いい。あたしも好きにするもん!サニーが買ってくれた服つけて、酒場に行って、今夜は別の男のベッドで寝てやる!!浮気してやるっ!!!」
泣きたくないのに、腹が立って悔しくて……なんでイライラしてるかもわからないくらいに気持ちがぐちゃぐちゃだ。
「あたしが居る意味って、なに?サニーの帰りを待つだけのペット?性欲を解消するための娼婦?ポーラだって内通者として任務に貢献しているのに、あたしは仕事もさせてもらえず邪魔者扱い!ひどすぎない!?あたしのこと好きなら、もうちょっと考えてくれたっていいでしょっ」
目を逆三角形にさせ、癇癪を起こす子どものように泣き喚くダニエル。
その迫力に二人は呆気にとられた。
被害妄想に囚われたダニエルは、眼を丸くする二人に馬鹿にされてるように感じ、ますますプライドが傷ついた。
心の痛みは怒りとなってダニエルから噴き出す。
「なんとか言ってよ!!」
手についた服をサニーに投げつける。
それを間一髪で避けたサニーは背中に脂汗が滲んだ。
こうなってしまったダニエルを宥めるのは一苦労であるのを、身をもって知っていたからだ。
「やめなさい、マッキニー准尉!」
「いやです!もう我慢しません!!」
「我慢……していたんですか?」
「ユーリ、やめろ」
頼むからこれ以上刺激してくれるなと、サニーはユージンに目で訴えた。
その間にもダニエルのヒステリックはとどまる事を知らず、カツラや靴を投げてくる。
堪らず、サニーはダニエルの腕を捉え拘束した。
「俺のお姫様。怒ってるキミも素敵だけど、気を静めて……」
「ヤダッ!!」
ダニエルは渾身の力で男の腕を振り払い、絨毯を踏み鳴らし荒々しく廊下へと続くドアへと向かった。
「ディディ、頼むよ。本当に仕事なんだ」
自室に籠城しようとしたダニエルを追って、サニーも部屋に滑り込んでくる。
「あたしを連れて行けない仕事なんでしょ。酒と女の香をプンプンさせて帰ってくるなんて、どんな仕事かしら!?」
「いやぁ、それには深い理由がありまして……」
「どんな!?」
「それは……一言で説明できないんだヨネ。帰ってきてからゆっくりお話させてほしいなぁ」
「やっぱり言えないことしてるんじゃない!!あたしを連れて行けないのも、他所の女とイチャイチャするのに邪魔だからなんでしょ」
アリャーリャ村のバーで何度か見た、女性に絡まれるサニーの姿を思い出し、ダニエルは怒りで身体中が燃え滾った。
生理中だから、今夜はエッチできない。
まだそれを打ち明けてないけど、きっと勘の良いサニーは気付いてるんだわ。
それであたしに隠れて外で済ましてくる気なんだ!!!
「違うよ、ディディ!キミがいるのに、そんなことするわけな……」
「信じらんない!サニーのスケベ!変態!!最低浮気男!!」
怒りのまま、ダニエルの口が勝手に動く。
「もぉ、いい。あたしも好きにするもん!サニーが買ってくれた服つけて、酒場に行って、今夜は別の男のベッドで寝てやる!!浮気してやるっ!!!」
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