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【14】甘く残酷な夢 〜心を保つ方法〜

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二人の身体が合わさり、体温も心臓の鼓動もハーモニーを奏でるように混ざり合う。

ダニエルは歓びと、心の底に押し込めた罪悪感でグチャグチャになった。


「ディディ……俺のお姫様」

けれどそれも男のビロードの声と美しい瞳に奪い去られる。

二人は暫く互いの目を覗き合っていたが、どちらからともなく唇を寄せた。


吐息が混ざり、唇同士が触れ合う。

その切ないキスがたまらなくダニエルの胸を満たし、同時に情欲の大波へと引き込んだ。



「んっ、っん……、っあ、ぁ、はぁ、」

充血した肉筒に灼熱の雄杭が沈み、埋められる圧迫感にダニエルは満足した。


指とは比べものにならない、太く大きなモノ。

指では届かない隘路の奥まで、早く侵して。


「……きもちぃー」

まだ先っぽしか入ってないのに、サニーは思わずといった感じで呟く。

彼は恍惚こうこつで頬をあからめ、普段見ることのできないトロンとした表情になっている。


ワイルドな彼も、紳士で優しい彼も、少しだけ冷たい毅然とした彼も好きだけど、セックスに溺れるサニーは格別だ。

ダニエルはキュンキュンし過ぎて、心臓が痛くなった。


自分のカラダで気持ちよくなってくれるのが、嬉しい。

それにダニエル自身、この瞬間は何もかもを忘れ、サニーだけを考えていられる。


だから彼とのセックスは手放せない。

ダニエルは自分に言い聞かせた。


曖昧な二人の関係……しかし終わりはくる。

サニーは誰も手に入れることのできない至高の宝石。

誰もが彼に群がり、気に入られようと必死にアピールするけれど、移気な彼は、いつかダニエルにも飽き捨てるのだろう。

彼の下を通り過ぎていった数多あまたの女性達と同じく。


でも、それでいい。

あたしだって本気にはなれないし。



薄く瞳を閉じ、勢いに任せぬよう気を遣いながら、ゆっくり挿入を進めるサニー。

ダニエルは息を殺し、その姿を見つめた。

見られていることに気づいたサニーは気恥ずかしそうに眉を下げ、「ディディ……俺のお姫様」とはにかむ。


ふいに、鼻根びこんの辺りからじわりと涙が滲んだ。

”俺のお姫様”と言われるだけで、泣きたくなる。

”ディディ”と呼ばれると、胸が切なくなる。


彼に見つめられ愛を囁かれるだけで、愛されているのでは……と勘違いしそうになる。

それは甘く残酷な夢……愛されてると勘違いするほどに。


ダニエルは奥歯を噛み締め、涙を堪えた。

身体だけの関係ならば、彼を利用して少しでも自分の地位を高めればいい。


……そう割り切るしか、心を保つ方法がない。

身体は燃えるように熱いのに、心には冷たい風が吹いてた。
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