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【40】親衛隊 ① ーオティムポ・デ・アララーター

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「殿下は、どのような形をお望みですか?」
「いつでもエッチできる状況がいいネ。任務先にも同伴希望」
「ということは、親衛隊に引き抜くおつもりで?」

 ユージンとカイルは険しい表情になる。
 親衛隊はそんなに甘いものではないと言いたいのだろう。

 この場にいる全員が、親衛隊の職務に命を掛けている。
 引き抜きがどれほど危うい事か。
 全て承知の上だと、サニーは不敵に笑ってみせた。


 陸軍近衛団は近衛隊、衛兵隊、親衛隊の三つがある。

 女王の目となり、民を見張る衛兵隊。
 国民の安全を守り、蔓延はびこる悪を捕らえ正すのが主な業務だ。

 女王の盾となり、宮殿を警備する近衛隊。
 宮殿だけでなく、要人をも身を挺して守る。

 そして女王の剣となり、貴族を見張るのが親衛隊。
 女王陛下直属の部隊で、衛兵隊にできない裏の仕事もこなす。

 パレードなどで国民の目に触れる機会が多いため、近衛団の花形業務といえるのは近衛隊だが、政治に深く関わり軍団の実権を握っているのは親衛隊のほうである。

 女王陛下治世を護るためなら、汚い仕事にも手を染める。
 むしろ汚い仕事のほうが多い。
 ”悪には悪をもって制す”が軍規の頭にくるほど、過激で危険な任務を負う。

 そんな仕事に、何も知らない小娘を引き込むなんて…。
 カイルは悪魔かとでも言いたそうだ。
 ユージンは面倒ごとを増やすなと思っているのだろう。


「今までの愛妾と同じく、囲うだけがよろしいのでは。マッキニー准尉は金銭的に困窮しております。そこを突けば喜んで身を捧げるでしょう。任務先に連れていきたければ、軍を辞めさせては如何でしょう」

「待ってください。彼女は十年も軍に所属し努力してます。理由もなしに辞めさせるのはあんまりでは」
「理由ならありますよ、殿下の愛妾という大義名分が」

「横暴ではありませんか」
「俺もそれはしたくないんだヨねぇ。それに愛人関係を断られる可能性だってあるしー」

「……それはないでしょう」
「なぜですか?」
 ありえないと首を振るユージンと淡々と質問を返すカイルに、サニーは煙草を灰皿に押し潰して告白した。

「やりすぎちまったのヨ」
「……あぁ」
「え?」


 事情を知ってるユージンは理解したが、カイルは表情を変えずに何がって顔をした。

「抱きつぶしたんですよ!殿下お得意の性技で、快楽地獄を味わわせたんです。何時間もね。あんなの拷問ですよ!」

 ユージンの客観的な言葉に、サニーは俯いた。

 ディディがエロいのが悪いんだ。
 膣奥ポルチオを開発したら、あっという間に快楽に染まり、イキまくるのがいけない。
 彼女の女性器は、夜の女王と呼ばれる月下美人が如く咲き誇り、強い香りを放ちサニーを誘惑したのだ。

「翌日のダニエル・マッキニーはそりゃあ可哀想でしたよ。老婆のように足腰ボロボロになって。船医に体調を確認させましたが、発熱もあったと。列車の中でも丸一日以上、起き上がれなかったと報告を受けてます」

 カイルは咎めるような目でサニーを見た。
 何が言いたいか、わかってる。
 だからやりすぎたって、懺悔しているじゃないか!

「それは懺悔になってません」と、ユージンなら言っただろう。
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