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【39】殿下 ① ー喜びを奪った悪魔ー

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 ダニエルが部屋を出て暫くして、待合室のドアが開いた。

「あれで良かったですか?殿下」
 サニーは仏頂面でムッツリしている。

「ご不満ですたか」
「いや、そうじゃない……んだけど!!ん”~、なんだかなぁ」

 サニーの心と肉棒が、不完全燃焼だと訴えている。
 やはり生ダニエルの刺激は股間にダイレクトにくるが、その反動で彼女に触れられない辛さが倍増する。
 これぞ諸刃の刃だ。


 待合室の隣はシークレットルームになっている。
 暖炉側の壁は一枚の大きなガラスで出来ていて、特殊な塗料で待合室からは見えないが、隣室からは見えるようになっているのだ。
 そのためサニーは随分前から、ダニエルが掃除する姿を眺めてはソロで楽しんでいた。

 隊服姿の彼女は実にエロい。
 紅蓮のナポレオンジャケットはおっぱいでパンパンだし、黒衣のズボンは身体のラインに沿ってムチムチしてしてる。
 そして屈むとジャケットが捲れ、露わになる丸い尻!

 尻を突き出してソファーを拭くダニエルの後ろ姿のエロいのなんのって。
 なんど本能のままに突撃して、後ろから押さえつけ、バックで犯してやろうと思ったことか。

 今もサニーの頭の中は、どうやってダニエルとエッチするか。
 隊服エッチを最高に楽しむ方法。
 あわよくば女子寮のダニエルの部屋でらぶらぶエッチ。
 この三項目で八〇パーセント占められている。

 あぁ、どうして彼女はあんなにも愛らしいのだろう。
 アリャーリャ村での個性的な編み込みヘアーも素敵だったが、ほどいた後のぼさぼさ……違った、天然パーマも好きだ。
 あのもこもこ髪に顔を埋めて、モフモフしたい!!


 よろけるようにソファーに腰を下ろすサニーに、ユージンは煙草を差し出す。
 それを当たり前のように受け取り唇に挟むと、すかさずユージンはマッチに火をつけた。

「私なりに精一杯やったつもりですが……」
「おまえはよくやったよ。ディディの女豹ポーズもすんげぇ良かった!股間に響いた……んだけど!!本物を抱きたいんだよなー」

 明け透けない言葉を煙と共に吐き出すサニーに、ユージンもカイルも苦笑いだ。


「今夜も娼婦を呼びますか?」
「あぁ、フェラ専門のお嬢さんをお願い」
「テレーザはどうしますか?殿下のお越しを待っていると、毎日毎日手紙がきておりますが」

 サニーは舞台女優兼愛妾のテレーザが、裸体に宝石を巻きつけ舞台にあがる姿を想像して、気分が萎えた。
 今までなら、その性に奔放で野心溢れるところが魅力的だったのに。

「テレーザはしばらくいいや……なんか食指が起きないんだヨネ。適当に断っておいてよ」
「愛妾関係を解消しますか?」
「あぁ、そうしてください」

 カイルは珍しいこともあるものだという目で、サニーをみる。

 テレーザは都一の美女と名高い。
 多くの貴族が彼女にぞっこんで、落とそうとプレゼント攻撃していると聞く。
 それほどいい女を捨てるなんて。

「俺にだって、性欲が湧かない日もあるのヨ。脂身を食べ過ぎて、胃がもたれたみたいにさ」
「殿下はまだ胃もたれした経験はないでしょう」

 ユージンのつっこみに、「例えだよ!」と苦笑いする。

「毎日毎日、肉魚肉ばっか食ってると飽きるだろ?それと同じで、たまには別のものを食べたいのヨ。洋梨とかさ」
 洋梨のくびれにダニエルのくびれを重ねて、サニーは下卑た笑顔を浮かべる。

「畏まりました。今夜は洋梨をデザートにいたします」
「頼んだヨん」


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