【完結】女王陛下、クビだけはご勘弁を 〜「できちゃった。責任とって」って、ソイツはヤリチン王子。できるはずがありません!!〜

アムロナオ

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【24】事後 ーカノジョの虜ー

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 力尽きてダニエルの隣に倒れ込んだサニーは、ひとしきり休んだ後、天井を見上げた。

 隣からは規則正しい呼吸音、いや寝息が聞こえる。
 サニーは起こさないようにそっと起き上がり、ダニエルの様子を観察した。


 欲望の赴くまま愛欲を貪ってしまった。

 そっとダニエルの足を開かせると、女性器は長時間いじられ続けたせいで、全体が真っ赤に色づいていた。
 蜜壺の入り口や秘豆だけでなく、土手や腿の付け根まで赤くなり、臍の下や太腿にはキスマークが無数に残されている。

「うわー、やっぱやりすぎたな。これじゃあ明日の朝は無理か」

 サニーは独り言を呟き、予め用意しておいたバスタオルで太腿ふとももを拭った。

 グチャグチャになった女性器は、白い体液にまみれている。
 肉棒に撹拌され白く濁った愛液か、それとも垂れてきた精液か。

 何方どちらとも判別つかぬそれが、完熟マンゴー生クリーム添え、みたいで美味しそうに見えた。
 舐めてみようかと、馬鹿な考えが浮かぶ。

 ともすれば自分の精子。
 舐めたいと思ったことはなかったが、目の前に広がる光景は魅力的だ。

 しかし意識のない彼女にしてもつまらない。
 どうせなら起きてる時に羞恥心を刺激しながら舐めるべきだと思い直し、楽しみはとっておくことにした。


 濡らしたタオルで身体をぬぐったが、ダニエルは一向に目覚める気配はない。
 それほどまでに疲れているのだろう、罪悪感がわく。

「こんなにガッツいてセックスしたのは初めてです。いつもはもっとスマートな男だよ」

 なぜか眠る彼女に言い訳してみる。
 当たり前だが、返事はない。

 身体の隅々まで丁寧に拭き終わり、サニーはご褒美とばかりにダニエルの頬にキスをした。


 ピーナッツ形のダイナマイトボディ。
 胸とお尻がでっかくて、くびれがセクシー。

 クリクリお目目に、黒々とした長い睫毛、原色のターコイズグリーンの瞳。
 小ぶりな鼻にアヒル口、エキゾチックな顔立ち。
 柔らかなミルクティーの髪、パンチの利いた髪型、下着の部分だけ残して焼けた肌。

 何もかもがタイプで、自分の理想はこれだと突きつけられたような気持ちになる。

 身体目当てに近づいたが、すっかり彼女の虜だ。
 ディディの仕草の一つひとつに、心や理性が煽られ、強く興奮させられる。


「いかん、いかん。また勃ってしまう」

 ぼんやりと裸体を眺めているだけで、股間の息子は元気になりかける。
 サニーは慌てて薄いブランケットをダニエルの身体にかけた。

 そしてシャワーを浴びて興奮を鎮め、ガウン姿という乱れた格好で、煙草を片手に部屋の外へでる。


 ヴィラの周辺には使用人が詰めており、部屋から出てきた客を見つけると駆け寄ってくる。

 サニーはそれを手振りで制した。
 奉仕は必要ないからだ。

 なぜならーーー音もなく隣の部屋のドアが開く。

「お楽しみでしたね、殿下」

 顔を出した若い男は、耳の高さで揃えた銀髪を涼やかに揺らし、微笑んだ。
 尖った顎先、長い睫毛、氷のような瞳に真っ赤な唇。
 美少年と称される彼の美貌は時を重ねても健在で、さらに色を増した。

 黒い上着ジュストコールを羽織り、シャツのボタンを首元までしっかり留め、ジレと呼ばれるベストと膝丈のキュロット、絹の靴下に革のパンプスを履いている。

 全くもって、高級ヴィラに似つかわしくない格好である。
 それもそのはず、彼はサニーの家令ハウススチュワートユージン・クラインだからだ。


 サニーが煙草を咥えると、ユージンはポケットからマッチを取り出しさっと火をつけた。
 幼少よりの付き合いなので、サニーの動きはお見通しである。

「大丈夫でしょうか。かなり叫んでいたようすが……」
 ユージンはチラリとドアに視線を向ける。

 しまった!!
 ディディのあの声を聞かれてもしまったか。
 ユージンのやつも、なに聞き耳立てているんだよ。

 いつもならユージンに閨の声を聞かれても何も思わないのに、胸に渦巻くモヤモヤに、思わず口がへの字になる。

「……殿下?」
 上目遣いで様子を伺うユージンに、サニーは慌てて笑顔を貼り付けた。
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