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【04】恋の衝撃 ① ーアイリスの花言葉ー
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その日の夜も、ダニエルはバーへと向かった。
目当ての男は、相変わらず女の子に囲まれながらカードを楽しんでいる。
今日はいつもより沢山、彼からの視線を感じる。
やっぱりあたしに気がある?
ダニエルは全身を集中させ、酒の入ったグラスを唇につけた。
横顔だけでなく、指先、髪の先まで、いい女って思われたい。
こっちに来て!口説いて!と、身体全体で誘ってみる。
「ディーじゃないか!」
しかし釣れたのは別の男だった。
確か名前はコニー。
童顔のヒョロッとした細マッチョな男だ。
あどけない雰囲気があって、年齢もダニエルより下。
コニーはポケットから煙草をだし、一丁前にふかしてみせる。
俺、かっこいいだろ?いかしてるだろ?とでも言うように。
そんでもってこの男はたぶん、いや間違いなく、自分を狙ってる。
「俺に会いにきたの、ディー」
「……そんなわけないでしょ。ただお酒を飲みに来ただけよ」
自分に自信のある男はステキだけど、自意識過剰はキライ。
頬にキスしようとするのをやんわり避けたが、コニーはめげない。
手を握られたので、蝿を追い払うように振りほどいた。
「俺は君に会えるのが楽しみすぎて、仕事が手につかなかったよ。ね、俺のことどう思ってる?」
「顔見知り、かな」
馴れ馴れしく腰に手を回し、隣をキープされてしまった。
「本当にそれだけ?」
「えぇ」
「いつも一人だけど、彼氏はいないの?」
「いない」
「なら俺にもチャンスある?」
「ない」
「ハッキリいうね……男はいらないの?」
「まぁね」
「女一人でバーにきてるのに?」
露骨に”男が欲しいんだろ”と言いたげで、ダニエルは彼の横っ面を殴りつけたくなった。
男は男でも、あんたみたいな仕事も手につかなくなるような重いチェリーボーイじゃないのよ。
目があっただけで肌がヒリつく、男女の遊びをわきまえてる。
そんな軽い男を求めてるんだっての!
「ね、遊びでも大丈夫だよ。俺の家にこない?今夜は両親が不在なんだ」
これだけ拒絶を態度で示しても、コニーは全然諦めない。
もっと冷たく、ハッキリ言うべき?
あんたとは遊びでも御免だって。
でもこの手のタイプって、拒否したら馬鹿にされたと逆上しそう。
騒ぎになって衛兵隊が出てくると困る。
部署は違うが、近衛兵も衛兵も女王陛下と国に剣を捧げた軍人同士。
市民の安全を守り悪を取り締まる衛兵に、軍人であるダニエルが喧嘩したなんてバレたら、減給処分ものだ。
最悪の場合、別の部署に回されてしまう。
せっかく近衛隊に入れたのに!
絶対にそれだけは阻止しなければ。
どうしようかとため息をついた時、「ねぇ」と声をかけられた。
目当ての男は、相変わらず女の子に囲まれながらカードを楽しんでいる。
今日はいつもより沢山、彼からの視線を感じる。
やっぱりあたしに気がある?
ダニエルは全身を集中させ、酒の入ったグラスを唇につけた。
横顔だけでなく、指先、髪の先まで、いい女って思われたい。
こっちに来て!口説いて!と、身体全体で誘ってみる。
「ディーじゃないか!」
しかし釣れたのは別の男だった。
確か名前はコニー。
童顔のヒョロッとした細マッチョな男だ。
あどけない雰囲気があって、年齢もダニエルより下。
コニーはポケットから煙草をだし、一丁前にふかしてみせる。
俺、かっこいいだろ?いかしてるだろ?とでも言うように。
そんでもってこの男はたぶん、いや間違いなく、自分を狙ってる。
「俺に会いにきたの、ディー」
「……そんなわけないでしょ。ただお酒を飲みに来ただけよ」
自分に自信のある男はステキだけど、自意識過剰はキライ。
頬にキスしようとするのをやんわり避けたが、コニーはめげない。
手を握られたので、蝿を追い払うように振りほどいた。
「俺は君に会えるのが楽しみすぎて、仕事が手につかなかったよ。ね、俺のことどう思ってる?」
「顔見知り、かな」
馴れ馴れしく腰に手を回し、隣をキープされてしまった。
「本当にそれだけ?」
「えぇ」
「いつも一人だけど、彼氏はいないの?」
「いない」
「なら俺にもチャンスある?」
「ない」
「ハッキリいうね……男はいらないの?」
「まぁね」
「女一人でバーにきてるのに?」
露骨に”男が欲しいんだろ”と言いたげで、ダニエルは彼の横っ面を殴りつけたくなった。
男は男でも、あんたみたいな仕事も手につかなくなるような重いチェリーボーイじゃないのよ。
目があっただけで肌がヒリつく、男女の遊びをわきまえてる。
そんな軽い男を求めてるんだっての!
「ね、遊びでも大丈夫だよ。俺の家にこない?今夜は両親が不在なんだ」
これだけ拒絶を態度で示しても、コニーは全然諦めない。
もっと冷たく、ハッキリ言うべき?
あんたとは遊びでも御免だって。
でもこの手のタイプって、拒否したら馬鹿にされたと逆上しそう。
騒ぎになって衛兵隊が出てくると困る。
部署は違うが、近衛兵も衛兵も女王陛下と国に剣を捧げた軍人同士。
市民の安全を守り悪を取り締まる衛兵に、軍人であるダニエルが喧嘩したなんてバレたら、減給処分ものだ。
最悪の場合、別の部署に回されてしまう。
せっかく近衛隊に入れたのに!
絶対にそれだけは阻止しなければ。
どうしようかとため息をついた時、「ねぇ」と声をかけられた。
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