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プロローグ

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 神とは想像、妄想、希望に創造を重ねて偶像とするからこそ人々に平等に不親切で居られた「神は実在しないからこその絶対的信仰になりうるのだ」とカルト的宗教団体の指導者が唱えていたが、誰一人として耳を貸す者は居ないほどに人類は満ち足りていた時代が存在した。そう、確かに存在したのだ。
 二十一世紀初頭温暖化による異常気象に歯止めが効かなくなった地球は度重なる地震や火山噴火、地殻変動、海水面の上昇による国土の消滅、実に世界中の大陸の三割を失う事となった。
 
 二〇七一年新たに世界地図が書き直される事は無いほどに世界各国は貧窮に喘ぎ絶望していたこの年、同時に世界中がどよめいた事件が起きた。
 神が、神様が目撃されたのである。いや降臨したのだ。しかもテレビを通じて世界中の人間が目撃者となったのは旧日本国、現在の神国で起きた飛行機事故のライブ映像であった。
 その出来事から僅か一年、日本は神が降り立った国、神国と名前を変え世界の中心的存在と成って行く、良くも悪くもであるが。
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