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第二章 死神誕生

11話 魔法について

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 「はい、無事パーティー登録完了しました。これからも、頑張ってくださいね!」



 ギルド本部のエリーゼさんが、嬉しそうな声でパーティー登録の完了を教えてくれた。



 俺とアキハは、すぐにパーティーを結成した。パーティー名は、Bullets。

単に弾丸という意味。俺たちのパーティーの目標は、ただ一つ。Sランクパーティーにまで成り上がること。



 パーティー名だが、ただカッコイイからという理由だけでなく、弾丸のように誰よりも速くSランクパーティーになるという理由もある。



 補足として、現在この国のSランクパーティーは二つのみ。世界最強の冒険者として名高い、シクスティール率いる蒼滅の使徒。何やら物騒なパーティー名だが、別に悪の親玉というわけではない。由来は謎で誰も知らないのだと。ますます、怪しいではないか。



 もう一つは、新進気鋭の若手パーティー。新星流群メテオ・ノヴァというらしい。俺の二つ名が入っているが、そういうわけだ。俺のような、新星を集めて結成されたから。



 単に厨二病の集まりだろ? と思ってしまった。まあ、俺たちのBulletsも大概だが地球生まれの俺には、どうも苦手意識がある。



 と、まあそんなわけで。当面の目標は、着実にパーティーランクを上げていくことになる。俺とアキハは、共にCランクなのでパーティーランクもCランク。

Bランクに上がるには、どちらも個人でBランクに上がる必要がある。



 パーティー登録を終えた俺たちは、全ての味で昼食を済ませ、宿屋の裏手の空き地に来ていた。カークスの実射実験をした場所だ。



 なぜ、ここにいるのか? カークスの訓練か?違う。今から、アキハに魔法について伝授していただくのだ。今の俺は、魔法についての知識がゼロに等しい。



 魔法の属性くらいしか知らないので、魔法戦となれば不利な戦いを強いられるだろう。もちろん、カークスで応戦できないこともないが、所詮は金属でできた弾丸を超高速で飛ばしているだけ。



 原理を見抜かれれば、対策もできてしまう。そんな簡単に分かるものではないのだが………。念の為だ。



 そんな訳で、アキハ教諭に教えを乞うのだ。アキハは、俺に教えるのが嬉しいのか鼻歌混じりで準備している。準備といっても、座学のための机と椅子を持ってくるだけなのだが。



 アキハは、眼鏡をかけいかにも教師風だ。うん、かわいい。木の棒を杖代わりにして、黒板代わりの木版に文字を書き、準備完了。



「さ、始めるわよ! まず、確認だけどアラタはどの属性が使えるの?」



「ん? 属性……無属性だけだけど……」



 正直、俺も驚いているが六属性の内一つも使えないのは少々異常らしい。無属性は、使える人は使える。だが、六属性のうちどれかは使えるものだ。



 やはり、無属性しか使えないというのは中々衝撃だったらしく………



「…………」



 あ、これやばいやつだ。嘘でも、何かしら使えるって言っとけば良かったかな……。何か飛んでくるかな、と思い身構えていたのだが……。



「もうっ、驚かないわよ……」



 良かった~~~。往復ビンタが飛んでくるものだと思っていた。



「はい、こちら注目っっ……!」

バンッ、と木板を叩くアキハ。



「おう……」



「いい? 魔法には六属性あるのは知っているわね?

火・水・土・雷・風・光ね。さらに、各魔法は第1陣から5陣までの段階で分かられているの。第1陣は、いわゆる初級ね。適正があればすぐにでも使えるレベルよ」



 ほうほう、陣というので分けられているのか……。

残念だけど、俺は六属性使えないので無駄なんだが。

でも、上の陣の魔法が放たれるのなら注意が必要だな……。



「アキハ先生! 質問よろしいでしょうか?」

アキハがそういうノリなので乗っかってあげよう。



「はい! アラタ君、なんでしょうか?」



 すっかり先生になりきってるな……。今は気分がいいみたいだし、しばらく付き合ってやるか。



「第5陣相当の魔法だと、どれくらいの威力があるのでしょうか?」



「そうね……。町一つを消し飛ばすくらいかしらね」

と、笑顔のアキハ。



 え……こわ……。表情と言っている言葉が一致してないよ! なにそれ……広範囲殲滅魔法とかいうやつなのか? そんなんすぐ死ぬやつやん……。



「でも、心配しないで。第5陣をノーリスクで放てる奴なんてまずいないし、ましてや一人で行使するのは不可能よ。膨大な魔力が必要な上、制御も難しいから」



 そ、そうなのか……。それなら大丈夫だよな。けど、嫌な予感がするな……。これが、俗に言うフラグというやつなのか? 回収されないように気をつけなば……。密かに、誓うアラタであった。



 そんなことを考えていると……アキハが何か考え込んでいる。なんだろう? 頭を抱えているし、問題でもあんのかな……?



「先生、どうされましたか?」

未だに、教師と先生の関係は継続中なので先生と呼ぶ。



「………アラタって無属性魔法だけ使えるのよね?」



「ええ、そうですけど」



 なんだ、なんだ……。不穏な空気が流れてる。こんな時にまで、生徒をちゃっかりと演じてしまっている……。



「ま、まあ……頑張ってね……」

明らかに作り笑いであろう顔でそう言った。



 せんせーーーーい!! なんですか!今のーーーー! そこまで引っ張ったなら答えを教えなさい!!

失礼ですよ……。 いかん、久々にツッコンデしまった……。



 本当なら、問い詰めるだけ問い詰めて吐かせるのだが、アキハ相手ではそうはいかない。今の俺の状況は、完全に嫁に尻に敷かれている夫状態だから…。(まだ、夫婦ではないけどね)



「ということで、話を続けるわね!」

ひとつ咳払いをしてから、強引に話を戻しにかかりやがった。一体、何を頑張ればいいってんだよ……。



「へいへ~い」

俺は、気の抜けた返事をし話を再開させる。



「えーーっと、第5陣は終わったから次は4陣ね。第4陣については、高位の魔術師が奥義として使うものね。冒険者でも一部の者しか扱えないくらい。何発か連発すれば、これまた町を吹き飛ばせるわ。第3陣は、少し怖めの魔法ってとこね」



 うん、これまた物騒だ。連発して町を吹き飛ばせるなら十分脅威だわ。俺死ぬわ。なんか、対策考えないとな―――



「あと……冒険者も、剣を極めた剣士と、魔法を極めた魔術師に分類されるわ。剣士でも、第3陣の魔法を使いこなす人は普通にいるから気をつけるのよ」



 そんなこんなで、13時くらいから始まった講義も2時間続いてクタクタだ。今は、各自部屋で休んでいる。



 さらに、聞いた話だと六属性や無属性のどちらにも入らない魔法系統があると聞いた。その名も古代魔法。名の通り、今では伝説級の魔法らしい。光魔法の上位に位置する《神聖魔法》、時空間を操る《時空間魔法》、重力を操る《重力魔法》の三つがあるのだと。



 ま、この三つに関しては縁がないだろうから興味はない。俺が興味を持ったのは、無属性に分類される《対魔法結界》。なんでも、この結界より中に入ろうとする魔法全てを打ち消すのだという。



 なんとも、すごい魔法だろうか! さらに無属性!

もう、俺にコピーしろと言っているもんだ。魔法戦がちっとも分からない俺にとっては、渡りに船だ。

なんとしてでも、コピーしなくては……。



 これにより、俺個人での当面の目標が決まった。

まず、魔法についての知識を蓄えること。(一番理想的なのは、魔術師相手に戦ってみることだな)



 二つ目は、《対魔法結界》と《空間収納》をコピーすること。これは最優先事項だな。



 三つ目は、カークスの弾丸の原料であるミスリル、オリハルコンを大量にゲットすること。すでに、残りの弾は、マガジン(弾倉)ひとつのみ。これも、早急に解決しなくては……。



▼▼▼



 俺は、その夜自室のベッドでを考えていた。



 何故か、俺の隣にはスースーと気持ちよさそうに眠っているアキハがいるのだが……。昨日、あんなことをしたからか? 別にいいんだけど。



 については、明日考えよう、と思い眠りにつくのだった―――。

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