33 / 38
第2章 冒険者クラン『真夜中の頂』始動
第32話 建国記念祭と一攫千金
しおりを挟む
ダンジョン第二十階層『門番』を倒した日の翌日、『真夜中の頂』の三人は厳かな表情で向かい合っていた。
新加入のエマが、始まりの言葉を告げる。
「それでは、これより第1回『真夜中の頂』のクラン会議を始めます。本日の議題は二つあります、まず一つめですが――」
「ちょっと待てぇッ、何だよその堅苦しい雰囲気は……もっと肩の力を抜いていこう。こっちがおかしくなりそうだ」
「そ、そう……? 『戦乙女』の時はこんな感じだったんだけど……」
至って普通な感じのエマと、突っ込みを禁じ得ないゼン。エマはどうにも真面目すぎる節がある。
決して悪いことではないが、ここは『戦乙女』ではない。もっと楽な雰囲気でいこうと、ゼンは声をかける。
「そういうことなら分かったわ。楽にいきましょう」
「お、おう……」
"楽"という単語だけ強調するエマに、少し顔を引き攣らせるゼン。
(何か、妙な方向に気持ちが向いている気がするが……)
そんなこんなで、会議は進む。
「まずはこのクランの目標を定めましょ」
エマが言う。この議題に関しては、議論の余地はない。初めから決まっており、何も変わらないからだ。
ゼンが堂々と発言する。
「目標は、ダンジョンの最下層の景色を見ること。これは絶対に変わらないし、必ず成し遂げる!!」
「ふふ、私も楽しみですの」
「そうね、必ず行きましょう」
全員と改めて目標を共有したゼンは、次の議題へ進むよう促す。
「じゃあ、次」
「問題はここからね。――クランハウスを手に入れましょう」
「クランハウスか……、もうあるじゃん」
「……は?」
エマは真面目に言ったつもりだったみたいだが、ゼンから予想外の答えが返ってくる。
「どういうことよ?」
「この家」
「……本気で言ってるの?」
「ああ」
「ありえない……ありえないでしょ!?」
エマは本気で引いている。クランハウスの必要性をこれでもかと力説し始めるエマ。
「ここじゃ狭いし、汚いじゃない。それに、ここに人を呼ぶわけにはいかないでしょ?」
「お前……序盤はこの家の悪口じゃないか。まあ、分からなくはないけど……そんな簡単に手に入るものなのか?」
「ピンキリだからね。条件とかにもよるけど……っていうか、資金はどれくらいあるの?」
もののついで程度の感覚でゼンとエレアノールに聞くエマ、だったのだが……ゼンとエレアノールはピシリと凍りつく。
実のところ、ゼンとエレアノールも資金を貯めなければいけないことを理解していた。
だが、エレアノールは甘いものに目がなく金遣いは荒いし、ゼンはと言うと、ミノタウロスの魔石を魔銀刀に使い尽くした。
結果、収入はあるが支出が上回りマイナス状態が続いていた。
そんな現状をエマが知ってしまった。
「……あんた達、本気で最下層目指す気あるの?」
「「あります……」」
「なら、どうすべきか分かるわよね?」
「「分かります……」」
エマによる説教の後、彼女は大きくため息を吐いた。
「はぁーー、こうなったら一攫千金を狙うしかないわね」
エマは現状を把握し、そう発言する。一攫千金ができるイベントごとに覚えがないゼンは、疑問を呈する。
「そんな夢みたいなイベントごとあったっけ?」
「これよ」
エマは一枚の紙を机上に置く。ゼンは手に取ると、読みながら声に出す。エレアノールも横から覗き込んできている。
「……遺物争奪戦。そうか、建国記念祭かっ」
「建国記念祭って何ですの?」
「そのままの意味だよ。『国』の建国記念を祝う祭りで、記念日の前後2週間はお祭り期間になる。その中のメインイベントの一つが、この遺物争奪戦だ」
「ふ~ん」
――遺物争奪戦はメインイベントの中でも、一番盛り上がるものだ。ダンジョンに隠された遺物を参加する冒険者達で奪い合う。
手に入れた遺物は手に入れることができ、上位に入れば賞金も貰えるため、エマの言う通り一攫千金も狙える。
エレアノールは興味なさがだが、ゼンは内心複雑な感じだった。
(こうして冒険者になる前は、ただの嫌なイベントだったからな……。今年は参加できるんだよな)
だんだんと気分が高ぶってきたゼンは、この場で参加することを宣言する。
「よし、出るぞ」
「面白そうですの」
「一攫千金を狙うわよ」
ゼンに続き、エレアノールとエマもやる気を見せる。
一応これで、全ての議題は片付いたはずだった……のだが、
「……あ」
ゼンが何か思い出したように、そう呟く。
そして、ゼンの口から漏れた言葉で順調だった一攫千金計画が頓挫する。
「そう言えば、俺とエレアノールは参加できないんじゃ……」
「あ」
「え?」
――ゼンとエレアノールは転移砂時計を介してしかダンジョンへ行けない。堂々とダンジョンの入り口から入れるのは、エマだけだ。
入る時はエマだけ入り、途中からゼンとエレアノールがダンジョンで合流することもできるが、そうなればどうやって入ったのか疑われるのは必然。
つまり、現状参加可能なのはエマだけなのである。
その事実をやっと理解した三人は、分かりやすく落ち込む。
「お、終わりよ……。私だけで勝ち残れるわけがない」
「……だ、大丈夫だろ。元『戦乙女』のエマなら、全員ぶっ倒せるだろ……」
「馬鹿言わないで……一対一とかならまだしも、私一人で他の全冒険者相手にできるわけないじゃない」
発言が全てネガティブであり、すでに諦めムードが漂っている中、エレアノールだけは違った。
「一つ疑問なんですが、その遺物争奪戦は一日だけですの?」
「え? っと……詳しくは発表されてからじゃ分からないけど、例年通りなら……複数日程で開催だったはず」
エマの答えを聞いて、エレアノールはふっと微笑む。何やら考えがある様子だ。
「複数日程なら、深夜の時間帯に私わたくし達が参加すればいいですの。参加者全員が一日中ダンジョンを動き回るわけじゃないですの。他が活動を制限する間、私達がダンジョンへ潜ればいいですの」
「……確かに、それなら――」
「――ルール違反ではない、かもね。例年通りなら、参加は個人かクラン毎になるわ。個人ならアウトだけど、クランに所属してる者が途中参加してても、違反にはならないと思う。ま、バレないっていうのが一番安全だけどね」
「かなりグレーなラインだな」
正確なルールというのを誰も知らないため、確かなことを誰も言えない。
ゼンの言うように、白か黒かはっきりしないグレーなラインであることに間違いはない。
(ガルシアさんに聞いてみるか……)
ゼンはギルドマスターのガルシアに聞いてみることを心の中で誓ったのだった。
◇◇◇
建国記念祭は一カ月間行われる。イベントはいくつもあるが、メインイベントとなるのは三つだ。
――遺物争奪戦
――国営剣術大会
――大魔法演武大会
他にも、新作魔導具や魔導機などのお披露目や販売などが行われ『国』全体が賑わうことから、商流が活発となる。
遺物争奪戦の開催期間中はダンジョンが封鎖され、『国』が厳重管理することから冒険者が潜ることはできなくなる。
国営剣術大会では優勝すると、首都へ招待され『王』への謁見が許されたりする。
一週間後に控える建国記念祭で、『真夜中の頂』は一攫千金できるのか――。
新加入のエマが、始まりの言葉を告げる。
「それでは、これより第1回『真夜中の頂』のクラン会議を始めます。本日の議題は二つあります、まず一つめですが――」
「ちょっと待てぇッ、何だよその堅苦しい雰囲気は……もっと肩の力を抜いていこう。こっちがおかしくなりそうだ」
「そ、そう……? 『戦乙女』の時はこんな感じだったんだけど……」
至って普通な感じのエマと、突っ込みを禁じ得ないゼン。エマはどうにも真面目すぎる節がある。
決して悪いことではないが、ここは『戦乙女』ではない。もっと楽な雰囲気でいこうと、ゼンは声をかける。
「そういうことなら分かったわ。楽にいきましょう」
「お、おう……」
"楽"という単語だけ強調するエマに、少し顔を引き攣らせるゼン。
(何か、妙な方向に気持ちが向いている気がするが……)
そんなこんなで、会議は進む。
「まずはこのクランの目標を定めましょ」
エマが言う。この議題に関しては、議論の余地はない。初めから決まっており、何も変わらないからだ。
ゼンが堂々と発言する。
「目標は、ダンジョンの最下層の景色を見ること。これは絶対に変わらないし、必ず成し遂げる!!」
「ふふ、私も楽しみですの」
「そうね、必ず行きましょう」
全員と改めて目標を共有したゼンは、次の議題へ進むよう促す。
「じゃあ、次」
「問題はここからね。――クランハウスを手に入れましょう」
「クランハウスか……、もうあるじゃん」
「……は?」
エマは真面目に言ったつもりだったみたいだが、ゼンから予想外の答えが返ってくる。
「どういうことよ?」
「この家」
「……本気で言ってるの?」
「ああ」
「ありえない……ありえないでしょ!?」
エマは本気で引いている。クランハウスの必要性をこれでもかと力説し始めるエマ。
「ここじゃ狭いし、汚いじゃない。それに、ここに人を呼ぶわけにはいかないでしょ?」
「お前……序盤はこの家の悪口じゃないか。まあ、分からなくはないけど……そんな簡単に手に入るものなのか?」
「ピンキリだからね。条件とかにもよるけど……っていうか、資金はどれくらいあるの?」
もののついで程度の感覚でゼンとエレアノールに聞くエマ、だったのだが……ゼンとエレアノールはピシリと凍りつく。
実のところ、ゼンとエレアノールも資金を貯めなければいけないことを理解していた。
だが、エレアノールは甘いものに目がなく金遣いは荒いし、ゼンはと言うと、ミノタウロスの魔石を魔銀刀に使い尽くした。
結果、収入はあるが支出が上回りマイナス状態が続いていた。
そんな現状をエマが知ってしまった。
「……あんた達、本気で最下層目指す気あるの?」
「「あります……」」
「なら、どうすべきか分かるわよね?」
「「分かります……」」
エマによる説教の後、彼女は大きくため息を吐いた。
「はぁーー、こうなったら一攫千金を狙うしかないわね」
エマは現状を把握し、そう発言する。一攫千金ができるイベントごとに覚えがないゼンは、疑問を呈する。
「そんな夢みたいなイベントごとあったっけ?」
「これよ」
エマは一枚の紙を机上に置く。ゼンは手に取ると、読みながら声に出す。エレアノールも横から覗き込んできている。
「……遺物争奪戦。そうか、建国記念祭かっ」
「建国記念祭って何ですの?」
「そのままの意味だよ。『国』の建国記念を祝う祭りで、記念日の前後2週間はお祭り期間になる。その中のメインイベントの一つが、この遺物争奪戦だ」
「ふ~ん」
――遺物争奪戦はメインイベントの中でも、一番盛り上がるものだ。ダンジョンに隠された遺物を参加する冒険者達で奪い合う。
手に入れた遺物は手に入れることができ、上位に入れば賞金も貰えるため、エマの言う通り一攫千金も狙える。
エレアノールは興味なさがだが、ゼンは内心複雑な感じだった。
(こうして冒険者になる前は、ただの嫌なイベントだったからな……。今年は参加できるんだよな)
だんだんと気分が高ぶってきたゼンは、この場で参加することを宣言する。
「よし、出るぞ」
「面白そうですの」
「一攫千金を狙うわよ」
ゼンに続き、エレアノールとエマもやる気を見せる。
一応これで、全ての議題は片付いたはずだった……のだが、
「……あ」
ゼンが何か思い出したように、そう呟く。
そして、ゼンの口から漏れた言葉で順調だった一攫千金計画が頓挫する。
「そう言えば、俺とエレアノールは参加できないんじゃ……」
「あ」
「え?」
――ゼンとエレアノールは転移砂時計を介してしかダンジョンへ行けない。堂々とダンジョンの入り口から入れるのは、エマだけだ。
入る時はエマだけ入り、途中からゼンとエレアノールがダンジョンで合流することもできるが、そうなればどうやって入ったのか疑われるのは必然。
つまり、現状参加可能なのはエマだけなのである。
その事実をやっと理解した三人は、分かりやすく落ち込む。
「お、終わりよ……。私だけで勝ち残れるわけがない」
「……だ、大丈夫だろ。元『戦乙女』のエマなら、全員ぶっ倒せるだろ……」
「馬鹿言わないで……一対一とかならまだしも、私一人で他の全冒険者相手にできるわけないじゃない」
発言が全てネガティブであり、すでに諦めムードが漂っている中、エレアノールだけは違った。
「一つ疑問なんですが、その遺物争奪戦は一日だけですの?」
「え? っと……詳しくは発表されてからじゃ分からないけど、例年通りなら……複数日程で開催だったはず」
エマの答えを聞いて、エレアノールはふっと微笑む。何やら考えがある様子だ。
「複数日程なら、深夜の時間帯に私わたくし達が参加すればいいですの。参加者全員が一日中ダンジョンを動き回るわけじゃないですの。他が活動を制限する間、私達がダンジョンへ潜ればいいですの」
「……確かに、それなら――」
「――ルール違反ではない、かもね。例年通りなら、参加は個人かクラン毎になるわ。個人ならアウトだけど、クランに所属してる者が途中参加してても、違反にはならないと思う。ま、バレないっていうのが一番安全だけどね」
「かなりグレーなラインだな」
正確なルールというのを誰も知らないため、確かなことを誰も言えない。
ゼンの言うように、白か黒かはっきりしないグレーなラインであることに間違いはない。
(ガルシアさんに聞いてみるか……)
ゼンはギルドマスターのガルシアに聞いてみることを心の中で誓ったのだった。
◇◇◇
建国記念祭は一カ月間行われる。イベントはいくつもあるが、メインイベントとなるのは三つだ。
――遺物争奪戦
――国営剣術大会
――大魔法演武大会
他にも、新作魔導具や魔導機などのお披露目や販売などが行われ『国』全体が賑わうことから、商流が活発となる。
遺物争奪戦の開催期間中はダンジョンが封鎖され、『国』が厳重管理することから冒険者が潜ることはできなくなる。
国営剣術大会では優勝すると、首都へ招待され『王』への謁見が許されたりする。
一週間後に控える建国記念祭で、『真夜中の頂』は一攫千金できるのか――。
0
お気に入りに追加
866
あなたにおすすめの小説
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる