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第2章 冒険者クラン『真夜中の頂』始動
第31話 『真夜中の頂』vs第二十階層『門番』
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エマが合流した当日に、クラン名が決定した。
――その名も、冒険者クラン『真夜中の頂』
ゼンが名付けたが、その理由として二つあると語った。
「まず一つ、『真夜中』は俺たちがダンジョンに潜る時間帯が夜中だからだ。俺たちを象徴する言葉だと思う。『頂』は、まだ見ぬダンジョンの最下層を目指すという意思を表したものだ。冒険者の頂点を取りに行く、という意味もある。その点を含めて、決定した。どうだ?」
「……私はいいと思いますの」
「エレアノールはいいと、エマはどうだ?」
「……い、いいんじゃない?」
ゼンは自信があり、エレアノールには受け入れられた。エマはそう言うが、何やら不服そうにも感じられる。
「……おい、不服なのか?」
「……悪くないとは思うけど、何か――」
「何か?」
「――インパクトが足りない、ような……」
エマは首を傾げながら、思ったことを口にする。エマの言い分にゼンは反論することはなく、意見を求める。
「まあ、エマの言う通りだいぶあっさりしてるとは思うが……他に意見あるのか?」
「そうね……こんなのはどうかしら? 『夜仮面の舞踏会』とか」
――数秒、沈黙が訪れる。
ゼンとエレアノールは互いの耳を近付けながら、ひそひそと小声で話す。
「な、なあ。まさかエマって……ネーミングセンス皆無とかないよな?」
「でもでも、真面目な感じでしたし……天然由来のダサいネーミングセンスなのかもしれないですの」
「ふむ……どうやら、『真夜中の頂』で決定のようだな」
「ですね」
そう話す二人をジト目で眺めながら、エマは頬をパンパンに膨らませている。どうやら、聞こえてしまっていたようだ。
「……もういいわよ!! どうせ私にネーミングセンスはないんだから。セリア達には何も言われなかったのに……」
ぶつぶつと不機嫌そうに呟くエマを横目で見ながらゼンは内心、クレセリアやセリア達に同情する。
(クレセリアさん……同情します。エマさんにネーミングを任せると大変なことになるということを……覚えておきますっ)
さらにゼンは心の中でそう誓った。
と、こんなことがありながらも、正式クラン名は『真夜中の頂』に決定したのだった。
◇◇◇
冒険者ギルドへの申請も終わり、無事『真夜中の頂』が正式結成された。
その事実はすぐに冒険者ギルド内を駆け巡り、大きな話題となった。
全員が仮面をつけた謎のクラン。団長はゼクスと名乗り、声色から女性と思われる二人は、エレアノールとエルを名乗っている。
エマに関してだが、その名前をそのまま使うわけにはいかないため、『エル』と名乗ることにした。
そんな冒険者クラン『真夜中』は現在、深夜の中ダンジョン第二十階層の『門番』と相対していた、のだが…………
…………戦っているのは、ゼン一人であった。
エレアノール、そして新加入のエマはと言うと、二人して身を寄せ合いながら、ぷるぷると震えていた。
「ぜ、ゼンッ。早くその虫を倒しなさい!!」
「そ、そうよ!! そのうねうねした動きを見てるだけで、鳥肌が立つのよ」
――そう、ムカデである。正式名称はセンチピードと言う。赤紫色の細長い体躯なのに対し、その力は硬い岩石をも捻り潰す。
おまけに動きも素早いことから、捉え切るのが非常に困難な魔物だ。
センチピードはその容姿や動きから、生理的に無理な冒険者が多く、そういった点からも要注意なのだ。
ゴツゴツした岩場をものともせず、うねうねと這いながらゼンへ接近するセンチピード。
ゼンは足元に注意を払いながら、魔銀刀に炎を纏わせる。
ボウッと発火する刀身をセンチピードの身体と刷るように横へ振り抜く。
だが、剣先が少し掠った程度で致命傷にはならない。
ゼンは顔を顰めながらも冷静に分析し、戦い方を変更する。
センチピードの身体には厚みがないため、魔銀刀で斬ろうとしても中々刃がしっかりと入らない。
(なら、突けばいい……地面と串刺しにした後、高火力の魔法で消し炭にしてやる)
そう考え、動き出そうとしたのだが……背後から女性二人のヤジが飛んでくる。
「な、何をしているんですか!? そんな悠長にしてないで、辺りを焼き尽くせばいいではないですの!!」
「お、お願いだから……早くしてぇ!!」
エレアノールはいかにも脳筋らしい方法でやってしまえと叫び、エマは半泣きになりながら懇願している。
その後もギャーギャーわーわー取り乱す女連中に、遂にゼンが痺れを切らす。
「お前らも戦えよ!? クラン結成したばっかりじゃん!!」
ゼンの発言はもっともである。クラン結成ということは、協力して踏破を目指すということ。ダンジョンに潜る前も、全員でその意思を再確認したばかりだったのだが……
……早くも瓦解しようとしていた。
「無理なものは無理ですの!! 男なら頑張ってください!!」
さっきから全くというほど、声のトーンが落ちない。エレアノールとエマは完全に戦意を喪失させている。
「あー、もうっ……後で覚えとけよ」
二人の助けは得られないと断定したゼンは、一人で倒すことを決める。
(エレアノールなしでやるのは、かなり不安だが……やってみるか)
そう思いながら、ゼンは絶賛訓練中のマナ操術を行う。
ゼンはすでにエレアノール達から自分が『精霊憑き』として目覚めたことを、伝えられていた。今はまだ完全に認識できているわけでもなく、精霊魔法は使えない。
精霊魔法を扱うには、素となるマナを自由に扱える必要がある。
――マナを知覚し、己の一部として操る。この一連の動作を、マナ操術と呼ぶ。
同じ『精霊憑き』であるエレアノールがいるため、マナの知覚は何なく終えた。
だが、その知覚したマナを操るのが至難なのだ。通常『精霊憑き』以外にマナは見えないため、戦闘の幅が大きく広がり、できる事も増えてくる。
――例えば、マナを鎖状に変化させ、対象の動きを封じることもできる。ゼンがやろうとしていることも、正しくそれだ。
ゼンは《火射》でセンチピードを足止めしながら、目を閉じマナを知覚する。
目を開けると、大気中に大量のマナが散らばっているのが分かる。
右眼でマナを視認し、左眼の魔眼で魔力を視認できる。何とも凄すぎる力だ。
そうしている内に、センチピードが速攻を仕掛けてきた。鋭い両牙でゼンを噛み切ろうとする。
それに対しゼンは魔銀刀で応戦する。センチピードの動きを正確に読み取りながら、的確に魔銀刀を振るう。
(手のひらに優しく吸い寄せるように……マナを収束させろ――ッ)
すると、手のひらに黄金色の粒子が集まってくる。拳大の大きさにまでマナを集めたゼンは、刀身にそっと纏わせる。
その間にセンチピードの牙がゼンの眼前まで迫る。大きく開かれた口がゼンを丸呑みするかと思われるが……
……マナを纏った魔銀刀を横一文字に力強く振り抜く。
「いっけぇッ」
マナの圧力に押され、センチピードは吹き飛ばされる。壁に激突したセンチピードはぴくぴくと痙攣している。
「今のうちに……」
魔銀刀を地面に突き刺したゼンは両手を前方に突き出し、センチピード近くに存在するマナを操る。
(何事もイメージだ……魔法と同じく過程を、そして完成をしっかりとイメージするっ)
ゼンはエレアノールからのアドバイスを思い出しながら、慎重にマナを集め、拘束するための鎖を形成していく。
鎖の端を壁に打ち込むための杭状に変化させ――一思いに壁へ打ち込む。
そして鎖でセンチピードを拘束する。次に地面に刺さる魔銀刀を握ると、もう片方の鎖の端を打ち込むため、槍投げの要領で投擲する。
――ヒュンッ……ガッ、ガンッ
壁に縫い付けるようにセンチピードを押さえつけると、ゼンは全速力で接近する。
かなりの至近距離で止まると――《火射》の構えをとる。
「――《火射》」
超至近距離で放たれた炎弾は、容赦なくセンチピードを貫き、その命を絶った。
やがて、雲散霧消し魔石だけがその場に残った。
ゼンは虫系の魔物が出ると、一切使い物にならないと分かった女二人を呼んだ。
「おい!! 終わったからこっちに来い!!」
恐る恐るゼンの下までやってきた二人は、地面に落ちている魔石を見て、安堵の息を吐く。
その様子を見て、ゼンも呆れたように息を吐く。
「あのなぁ。怖いのは分かるけど、下手したら俺死んでたんだけど……」
「「すいません……」」
「魔法で援護してくれるだけでも、すごい助かったんだけど」
「「仰る通りです……」」
「次からは、後方に下がってもいいから援護を頼む」
「「分かりました……」」
反省しているのか、反論せずに従順な姿勢を見せるエレアノールもエマ。
(少し言い過ぎたかな……)
ゼンも少し反省したのか、「魔石取ってくるわ」と言い、走っていった。
ゼンとの距離がある程度離れたところで、女二人はニヤリとする。
「やりましたわね。盛大に反省することで、罪悪感を植え付ける作戦」
「ちょっと悪い気もするけど、しばらくは虫系の魔物が出るから仕方ないわね」
――女二人は知っていた。二十階層以降、虫系の魔物が徘徊していることを。そのため、ゼンにはしばらく一人で戦ってもらうことになる。
そんなことを知らないまま、ゼンは魔石を回収して戻った。
(……エマも増えたし、誰がどういう位置で何をするのか、明確にしといた方がいいな)
これからのダンジョン探索のため、ゼンは一人そんなことを思っていたのだった。
ーーーあとがきーーー
いつもお読みいただき、ありがとうございます!!
感想など、お待ちしております!!
――その名も、冒険者クラン『真夜中の頂』
ゼンが名付けたが、その理由として二つあると語った。
「まず一つ、『真夜中』は俺たちがダンジョンに潜る時間帯が夜中だからだ。俺たちを象徴する言葉だと思う。『頂』は、まだ見ぬダンジョンの最下層を目指すという意思を表したものだ。冒険者の頂点を取りに行く、という意味もある。その点を含めて、決定した。どうだ?」
「……私はいいと思いますの」
「エレアノールはいいと、エマはどうだ?」
「……い、いいんじゃない?」
ゼンは自信があり、エレアノールには受け入れられた。エマはそう言うが、何やら不服そうにも感じられる。
「……おい、不服なのか?」
「……悪くないとは思うけど、何か――」
「何か?」
「――インパクトが足りない、ような……」
エマは首を傾げながら、思ったことを口にする。エマの言い分にゼンは反論することはなく、意見を求める。
「まあ、エマの言う通りだいぶあっさりしてるとは思うが……他に意見あるのか?」
「そうね……こんなのはどうかしら? 『夜仮面の舞踏会』とか」
――数秒、沈黙が訪れる。
ゼンとエレアノールは互いの耳を近付けながら、ひそひそと小声で話す。
「な、なあ。まさかエマって……ネーミングセンス皆無とかないよな?」
「でもでも、真面目な感じでしたし……天然由来のダサいネーミングセンスなのかもしれないですの」
「ふむ……どうやら、『真夜中の頂』で決定のようだな」
「ですね」
そう話す二人をジト目で眺めながら、エマは頬をパンパンに膨らませている。どうやら、聞こえてしまっていたようだ。
「……もういいわよ!! どうせ私にネーミングセンスはないんだから。セリア達には何も言われなかったのに……」
ぶつぶつと不機嫌そうに呟くエマを横目で見ながらゼンは内心、クレセリアやセリア達に同情する。
(クレセリアさん……同情します。エマさんにネーミングを任せると大変なことになるということを……覚えておきますっ)
さらにゼンは心の中でそう誓った。
と、こんなことがありながらも、正式クラン名は『真夜中の頂』に決定したのだった。
◇◇◇
冒険者ギルドへの申請も終わり、無事『真夜中の頂』が正式結成された。
その事実はすぐに冒険者ギルド内を駆け巡り、大きな話題となった。
全員が仮面をつけた謎のクラン。団長はゼクスと名乗り、声色から女性と思われる二人は、エレアノールとエルを名乗っている。
エマに関してだが、その名前をそのまま使うわけにはいかないため、『エル』と名乗ることにした。
そんな冒険者クラン『真夜中』は現在、深夜の中ダンジョン第二十階層の『門番』と相対していた、のだが…………
…………戦っているのは、ゼン一人であった。
エレアノール、そして新加入のエマはと言うと、二人して身を寄せ合いながら、ぷるぷると震えていた。
「ぜ、ゼンッ。早くその虫を倒しなさい!!」
「そ、そうよ!! そのうねうねした動きを見てるだけで、鳥肌が立つのよ」
――そう、ムカデである。正式名称はセンチピードと言う。赤紫色の細長い体躯なのに対し、その力は硬い岩石をも捻り潰す。
おまけに動きも素早いことから、捉え切るのが非常に困難な魔物だ。
センチピードはその容姿や動きから、生理的に無理な冒険者が多く、そういった点からも要注意なのだ。
ゴツゴツした岩場をものともせず、うねうねと這いながらゼンへ接近するセンチピード。
ゼンは足元に注意を払いながら、魔銀刀に炎を纏わせる。
ボウッと発火する刀身をセンチピードの身体と刷るように横へ振り抜く。
だが、剣先が少し掠った程度で致命傷にはならない。
ゼンは顔を顰めながらも冷静に分析し、戦い方を変更する。
センチピードの身体には厚みがないため、魔銀刀で斬ろうとしても中々刃がしっかりと入らない。
(なら、突けばいい……地面と串刺しにした後、高火力の魔法で消し炭にしてやる)
そう考え、動き出そうとしたのだが……背後から女性二人のヤジが飛んでくる。
「な、何をしているんですか!? そんな悠長にしてないで、辺りを焼き尽くせばいいではないですの!!」
「お、お願いだから……早くしてぇ!!」
エレアノールはいかにも脳筋らしい方法でやってしまえと叫び、エマは半泣きになりながら懇願している。
その後もギャーギャーわーわー取り乱す女連中に、遂にゼンが痺れを切らす。
「お前らも戦えよ!? クラン結成したばっかりじゃん!!」
ゼンの発言はもっともである。クラン結成ということは、協力して踏破を目指すということ。ダンジョンに潜る前も、全員でその意思を再確認したばかりだったのだが……
……早くも瓦解しようとしていた。
「無理なものは無理ですの!! 男なら頑張ってください!!」
さっきから全くというほど、声のトーンが落ちない。エレアノールとエマは完全に戦意を喪失させている。
「あー、もうっ……後で覚えとけよ」
二人の助けは得られないと断定したゼンは、一人で倒すことを決める。
(エレアノールなしでやるのは、かなり不安だが……やってみるか)
そう思いながら、ゼンは絶賛訓練中のマナ操術を行う。
ゼンはすでにエレアノール達から自分が『精霊憑き』として目覚めたことを、伝えられていた。今はまだ完全に認識できているわけでもなく、精霊魔法は使えない。
精霊魔法を扱うには、素となるマナを自由に扱える必要がある。
――マナを知覚し、己の一部として操る。この一連の動作を、マナ操術と呼ぶ。
同じ『精霊憑き』であるエレアノールがいるため、マナの知覚は何なく終えた。
だが、その知覚したマナを操るのが至難なのだ。通常『精霊憑き』以外にマナは見えないため、戦闘の幅が大きく広がり、できる事も増えてくる。
――例えば、マナを鎖状に変化させ、対象の動きを封じることもできる。ゼンがやろうとしていることも、正しくそれだ。
ゼンは《火射》でセンチピードを足止めしながら、目を閉じマナを知覚する。
目を開けると、大気中に大量のマナが散らばっているのが分かる。
右眼でマナを視認し、左眼の魔眼で魔力を視認できる。何とも凄すぎる力だ。
そうしている内に、センチピードが速攻を仕掛けてきた。鋭い両牙でゼンを噛み切ろうとする。
それに対しゼンは魔銀刀で応戦する。センチピードの動きを正確に読み取りながら、的確に魔銀刀を振るう。
(手のひらに優しく吸い寄せるように……マナを収束させろ――ッ)
すると、手のひらに黄金色の粒子が集まってくる。拳大の大きさにまでマナを集めたゼンは、刀身にそっと纏わせる。
その間にセンチピードの牙がゼンの眼前まで迫る。大きく開かれた口がゼンを丸呑みするかと思われるが……
……マナを纏った魔銀刀を横一文字に力強く振り抜く。
「いっけぇッ」
マナの圧力に押され、センチピードは吹き飛ばされる。壁に激突したセンチピードはぴくぴくと痙攣している。
「今のうちに……」
魔銀刀を地面に突き刺したゼンは両手を前方に突き出し、センチピード近くに存在するマナを操る。
(何事もイメージだ……魔法と同じく過程を、そして完成をしっかりとイメージするっ)
ゼンはエレアノールからのアドバイスを思い出しながら、慎重にマナを集め、拘束するための鎖を形成していく。
鎖の端を壁に打ち込むための杭状に変化させ――一思いに壁へ打ち込む。
そして鎖でセンチピードを拘束する。次に地面に刺さる魔銀刀を握ると、もう片方の鎖の端を打ち込むため、槍投げの要領で投擲する。
――ヒュンッ……ガッ、ガンッ
壁に縫い付けるようにセンチピードを押さえつけると、ゼンは全速力で接近する。
かなりの至近距離で止まると――《火射》の構えをとる。
「――《火射》」
超至近距離で放たれた炎弾は、容赦なくセンチピードを貫き、その命を絶った。
やがて、雲散霧消し魔石だけがその場に残った。
ゼンは虫系の魔物が出ると、一切使い物にならないと分かった女二人を呼んだ。
「おい!! 終わったからこっちに来い!!」
恐る恐るゼンの下までやってきた二人は、地面に落ちている魔石を見て、安堵の息を吐く。
その様子を見て、ゼンも呆れたように息を吐く。
「あのなぁ。怖いのは分かるけど、下手したら俺死んでたんだけど……」
「「すいません……」」
「魔法で援護してくれるだけでも、すごい助かったんだけど」
「「仰る通りです……」」
「次からは、後方に下がってもいいから援護を頼む」
「「分かりました……」」
反省しているのか、反論せずに従順な姿勢を見せるエレアノールもエマ。
(少し言い過ぎたかな……)
ゼンも少し反省したのか、「魔石取ってくるわ」と言い、走っていった。
ゼンとの距離がある程度離れたところで、女二人はニヤリとする。
「やりましたわね。盛大に反省することで、罪悪感を植え付ける作戦」
「ちょっと悪い気もするけど、しばらくは虫系の魔物が出るから仕方ないわね」
――女二人は知っていた。二十階層以降、虫系の魔物が徘徊していることを。そのため、ゼンにはしばらく一人で戦ってもらうことになる。
そんなことを知らないまま、ゼンは魔石を回収して戻った。
(……エマも増えたし、誰がどういう位置で何をするのか、明確にしといた方がいいな)
これからのダンジョン探索のため、ゼンは一人そんなことを思っていたのだった。
ーーーあとがきーーー
いつもお読みいただき、ありがとうございます!!
感想など、お待ちしております!!
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