ダンジョン受付担当の俺は、夜中こっそりダンジョンに潜る 〜史上最強の受付が誕生するまで〜

長谷川 心

文字の大きさ
上 下
31 / 38
第1章 仮面の冒険者誕生

第30話 その後とクラン結成

しおりを挟む
 
 ――あれから一週間が経過した。

 ゼンが目覚めたのはつい昨日のことで、約6日間眠り続けていた。
 今回の件に関しては、冒険者ギルドにより徹底した情報秘匿がなされた。

 珍しく『異狩騎士団』も積極的に協力姿勢を見せたため、あまり広がらずに事が済んだ。
 重傷を負ったクレセリアとエマは無事回復し、死の心配はない。

 だが、死者は出た。『戦乙女ワルキューレ』が8名、『異狩騎士団』側は11名の死者を出してしまった。

 そして今日、今回の件に関しての話し合いが行われる。時刻は夜20時、場所はギルドマスターの執務室だ。
 ゼンはエレアノールに肩を借りながら向かった。

 出席者は、ガルシア。クレセリア、エマ、セリア。ゼン、そしてエレアノールだ。
 エレアノールに関しては仮面を付けた状態で、ゼンのダンジョン仲間だと伝えられている。

 ゼンとエレアノールが入室すると、すでに全員が揃っていた。

 ゼンはゼクスとしてではなく、受付のゼンとしてやって来ている。この際、もう正体を隠すつもりはないと判断した。ガルシアも協力してくれるため、ゼンは決断した。

「……よし、揃ったな。早速始めよう」

 ガルシアが進行役となり、話し合いを始める旨を伝えた。
 初めはエマによる謝罪から始まり、その他の者達へ感謝を伝えていた。

 そこからつつがなく話し合いは進み、本題となりうる議題へ入る。
 ガルシアが緊張の面持ちで机に資料を置くと、口を開いた。

「……まあ、資料に書かれていることが全てだが、直接口で伝えさせてもらう。――クレセリアが連れ帰って来たルードという男だが……あれはもう、ではなかった」

 ガルシアから放たれた言葉に、全員が一斉に息を呑む。
 あの場に実際にいた者は知っている。ルードは途中から、人が変わったようにおかしくなったことを。

 重苦しい雰囲気のまま、ガルシアは話しを続ける。

「正確には、は人間のそれだ。何ら可笑しなところはない。……だが、は別だ。臓器には虫のような異物が巣食い、所々に機械化も見られた。君達が言っていた魔導機腕もそのせいだろう。魔導機などの研究チームの見解だと、あれは急拵えらしい。その証拠に、本来魔導機などに虫は使われない。つまりだ、ルードは変化する数時間前に身体を改造されたことになる」

 そのガルシアの言葉に、ゼンとエレアノールが顔を見合わせる。
 ゼンは自分達が遭遇した奇怪な出来事について話した。『異狩騎士団』の遺体の数が一人足りなかった件だ。

「うぅむ……それなら、その変装したと思われる団員にやられた可能性が高い、か……」
「可能性はあると思います」
「……確かに、黒為冒険者ならやりかねないわね」

 概ね、全員の意見は一致したようだ。
 今回、黒為冒険者と思われる輩は姿を見せなかったが、ルードの件もあり、単独での可能性は著しく減った。

 ゼンは、自分が気になっていたことをガルシアに質問する。

「あと、例の教団の紋章はあったんですか?」
「ウロボロス教団のことか……」
「はい」
「それに関しては、何もなかった。ルードの遺体でおかしな所は、先程話したことだけだ」

 元々は『異狩騎士団』所属のルードだ。スパイとして潜入していたなら、紋章が刻まれていてもおかしくない。
 だが、ルードは紛れもなく『異狩騎士団』の騎士である。

 新たな情報が得られはしたが、大きな進展があったかと言われると、それもない。
 黒為冒険者とウロボロス教団に関しては、我慢強く調べていくしかない、とガルシアは結論づけた。

 ルードの議題が終了したところで、今回の裏の本題について話し合いが行われようとしていた。

「……それでは、今回集まってもらった本題について話そう」

 ガルシアは複雑な心境なのか、声のトーンが低くなる。
 さらに、渦中の人物に対して視線が注がれる。

 ――『戦乙女』のエマは、沈痛な表情で顔を曇らせる。

 それもそのはず、今回の件はエマの失踪から始まったものだ。その結果として、死者まで出た。責任を感じないわけがない。

 再びガルシアが話し始めようとした時、クレセリアから待ったがかかる。

「ギルドマスター、その前にいいかしら?」
「ん、何だ?」
「ここに来る前にゼクス、いえ――ゼンくんと話したんだけど……エマの処遇に関しては決定したの」
「何!? どういうことだ……」

 クレセリアの発言にガルシアは目を見開く。ガルシアが直接関わることではないが、やはり気になる所ではあるのだろう。

「決定と言っても、選択肢はかなり絞られるぞ。すでに知っているとは思うが……『国』から異端者認定されれば、それが取消しされることはない。それが、冤罪であったとしてもだ。――彼女はこれから、追われる身となる。それを踏まえての決定か?」

 ガルシアがクレセリアを問う目付きは鋭い。
 彼の言う通り、異端者認定されればそれまでだ。『国』が判断を覆すことはない。

 つまり、エマは『異狩騎士団』、ひいては『国』から追われることになる。

「ええ。個人的にツテがあって、ノアに事情は話したの。彼は冷酷だけれども、話を全く聞かない男じゃない。
 その上での彼の回答は――『たとえそれが冤罪だったとしても、俺には口を挟む権利はない。国が判断した異端者をただ捕えるだけだ。悪いが、俺にもどうすることはできない。……だが、今回の件は少し強引な気もする。可能な範囲で俺も調べておく』――そう言ってたわ」
「彼がそんなことを……にわかには信じられんが……」
「――その上で、エマは『戦乙女』から永久追放すわ」
「……妥当な判断、か」

 クレセリアが下した決断を聞いて、ガルシアはそう呟いた。
 仲間を思うなら、ここような決断には至らないだろう。
 だが、今回の件では死者が出ている。クレセリアにとっても非情な判断のはずだ。

 静寂の中を切り裂くように、エマから言葉が漏れる。

「仕方のないことです。私のせいでッ、みんなが……『戦乙女』にいたら、また巻き込むことになる。だから……ッ」
「だから、ゼンくんの仲間に入れてもらうことになったの」
「!? しょ、正気か……?」

 目玉が飛び出んばかりに瞳孔を開かせたガルシアは、首を捻りゼンの方を向く。

「はい、俺も納得してますし。自分で言うのも何ですけど、一番安全だと思います。あと、俺もエマさんが入ってくれれば、ダンジョン踏破が進むと思って……」

 これは、あながち間違いではない。これから身を隠すならば、ゼン家の地下室はうってつけだ。
 さらに、万が一の場合は転移砂時計でダンジョンへ逃げることもできる。

 理想的とまではいかないが、エマの安全を考えると、これも妥当な判断だと言える。
 ガルシアはあまり気の進まない様子だが、各々が決定したことに口を挟むつもりはないようだ。

「……というわけで、お世話になります。ゼン殿……」

 エマにゼン殿と呼ばれ、むず痒くなったゼンは呼び捨てで構わないと告げる。
 そして、エマはこれに応じた。

 この時を以て、エマは『戦乙女』を追放される。立ち上がった
 団長のクレセリアが、エマに正式に告げる。

「――エマ。現時刻を以て、あなたを『戦乙女』から追放します。そして、二度とその敷居を跨ぐことのないように」
「……はい。――団長、今までお世話になりました……っ。これを、返却いたします……」

 声を震えさせながら最後の挨拶を終えたエマは、『戦乙女』としての冒険者証を返却する。
『戦乙女』団長としての仕事を終えたクレセリアは、今度は一人の友人としてエマを抱き締める。

「エマ……不甲斐ない団長でごめんね。……こんな私を許してちょうだい。元気でね……」

 その様子を見て、セリアも泣きながら抱きついてくる。

「……ぇ、エマ姉……大好き。守ってくれてありがとう……っ、絶対死なないでね。また必ず会いにいくから」
「ぅん、うんっ……待ってる。私こそごめんね、セリアも団長の言う事を聞いて、いい子にね」
「……はいっ」

 団長のクレセリアが二人を囲むように抱きしめ、その後も三人は『戦乙女』としての最後の時を全うした。

 こうして、ゼン・エレアノール・エマの三人となり、遂に冒険者クランを立ち上げることになる。


 ◇◇◇


 さらに時は過ぎ、一週間後のとある夜――ゼン、エレアノール、エマは机を囲み真剣な表情で顔を見合わせていた。

「――それじゃ、クラン名を決めましょう」

 すっかり馴染んだエマが、そう話を切り出す。いたって真剣な様子のエマに対し、ゼンとエレアノールはむすっとした表情をしている。

「急ぎすぎじゃね?」

 ゼンの一言に、エマの額に青筋が浮かぶ。

「あの、ねぇッ……あなた達はもうちょっと真剣に――」
「――わたくしも急ぎ過ぎではないかと?」
「いや、エレアノールまで……」
「だって、貴女……今日来たばっかりじゃないですの?」
「うっ、それは……」

 この一週間、エマは準備などを行なっており、ゼン達と本格的に合流したのは今夜だ。
 とはいえ、危機感や緊張感というものを全く持ってない二人に、エマは強く進言する。

「とりあえず!! クラン名だけでも決めて、明日にはギルドへ申請しに行くから!!」
「まぁ……それもそうだな。エマも来たことだし、クラン名だけでも決めるか」

 ちなみに年齢はエマの方がやや上だが、同じ仲間になったので、敬語などはあえて不要ということになった。そのため、ゼンもエマと、呼び捨てにしている。

「となると、クラン名は……」
「「う~~ん……」」

 互いに唸りながら考えること数十分後――ゼンが答えを出した。

「よし、決めた。俺たちはこれから、冒険者クラン『真夜中の頂ミッドナイト・トップ』だ」


 ――新たに結成された全員仮面の冒険者クラン『真夜中の頂』として、ゼン達は新たな道を進む。





ーーーあとがきーーー

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

これにて、第1章完結でございます。次回からは第2章に入っていきます。

よろしければ、感想など頂けると嬉しいです!!

それでは、これからも拙作をよろしくお願い致します!!
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか

藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中
ファンタジー
小さな村で平凡な日々を過ごしていた少年リオル。11歳の誕生日を迎え、両親に祝われながら幸せに眠りに着いた翌日、目を覚ますと全く知らないジャングルに居た。 そこは人類が滅ぼされ、伝説の霊獣達の住まう地獄のような無人島だった。 次々の襲い来る霊獣達にリオルは絶望しどん底に突き落とされるが、生き残るため戦うことを決意する。だが、現実は最弱のネズミの霊獣にすら敗北して……。 サバイバル生活の中、霊獣によって殺されかけたリオルは理解する。 弱ければ、何も得ることはできないと。 生きるためリオルはやがて力を求め始める。 堅実に努力を重ね少しずつ成長していくなか、やがて仲間(もふもふ?)に出会っていく。 地獄のような島でただの少年はいかにして最強へと至ったのか。

ダンジョンのモンスターになってしまいましたが、テイマーの少女が救ってくれたので恩返しします。

紗沙
ファンタジー
成長に限界を感じていた探索者、織田隆二。 彼はダンジョンで非常に強力なモンスターに襲われる。 死を覚悟するも、その際に起きた天災で気を失ってしまう。 目を覚ましたときには、襲い掛かってきたモンスターと入れ替わってしまっていた。 「嘘だぁぁあああ!」 元に戻ることが絶望的なだけでなく、探索者だった頃からは想像もつかないほど弱体化したことに絶望する。 ダンジョン内ではモンスターや今まで同じ人間だった探索者にも命を脅かされてしまう始末。 このままこのダンジョンで死んでいくのか、そう諦めかけたとき。 「大丈夫?」 薄れていく視界で彼を助けたのは、テイマーの少女だった。 救われた恩を返すために、織田隆二はモンスターとして強くなりながら遠くから彼女を見守る。 そしてあわよくば、彼女にテイムしてもらうことを夢見て。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

俺の召喚魔術が特殊な件〜留年3年目から始まる、いずれ最強の召喚術士の成り上がり〜

あおぞら
ファンタジー
 2050年、地球にのちにダンジョンと呼ばれる次元の裂け目が開いた。  そこから大量のモンスターが溢れ出し、人類は1度滅亡の危機に立たされた。  しかし人類は、ダンジョンが発生したことによって誕生した、空気中の物質、《マナ》を発見し、《魔導バングル》と言う物を発明し、そのバングルに《マナ》を通すことによって、この世界の伝承や神話から召喚獣を呼び出せる様になり、その力を使ってモンスターに対抗できる様になった。  時は流れて2250年。  地球では魔術と化学の共存が当たり前になった時代。  そんな中、主人公である八条降魔は国立召喚術士育成学園都市に入学した。  この学園の生徒はまず、精霊や妖精などのスピリットや、鬼、狼、竜などの神話や伝承の生き物を召喚し契約する。  他の生徒が続々と成功させていく中で、降魔だけは、何も召喚することができなかった。  そのせいで何年も留年を繰り返してしまう。  しかしそれにはある理由があって———  これは学園を3年留年してから始まる、いずれ最強になる召喚術士の物語。    

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮
ファンタジー
 子爵家の長男であるレアンデル=アリウスは、剣は得意だが魔法が大の苦手。  生まれ持った火の紋章の加護により得意になるはずの火魔法も上手く使えない。  そのせいで通っている学園でも同級生にバカにされる日々を送っていた。  そんなある日、レアンデルは森の中で龍と出会う。  その龍はあらゆる知識を修め、龍の世界でも教鞭を執るほどの教え好き。  レアンデルの秘められた力に気付いた龍は自らの知識や経験を叩きこむ。  レアンデルの成長と出会いの物語。  紋章とは。龍とは。そして秘められた力とは――

処理中です...