1 / 2
勧善懲悪のルール
しおりを挟む
「時々考えるんだけどね」
私の前に座る友人は、そう言った。
「なにを?」
「神がいればさ、世の中の悪事が完全になくなるだろうなってことを」
「あー、どうだろうね」
「思わない?きっと大量の悪人が裁かれるよ」
「どうかな」
私はペットボトルの水を飲み干す。
少し、体がよろける。
二階堂氏は目を覚ます。
顔を洗い、朝食を済ますと会社に向かう。
半年前世界に大きな衝撃が走ったが、今となってはなにも変わらない。
通勤に使う電車は混んでいるというほどではなく、立っている人がちらほらといる程度だ。
一人の、立っている老人に目が止まる。
気の毒だと思いながら、席を譲る気にもならない。仕方ないだろう。
と思っていると、頭をつままれる感触を覚える。
突如正体のわからないリングに吸われた。
リングの先は、真っ暗な、この世のものとは思えない空間が広がっていた。
頭がついていかない。
目の前にいるのが半年前、悪を裁くと宣言した神だからだ。罪状が読み上げられる。
二階堂氏は、絶望する。
「俺はなにを聞かされてるの?」
「この後、悪人を裁いて退屈した神が道徳的な悪を裁き続けて、人類は反乱し大幅に数が減るんだ」
「なるほどね」
そう言ったきり黙り込む。
彼の空想が実現すれば、現在進行形で、例えば目の前の老人に席を譲らない彼のことを、神は遅かれ早かれ裁くだろう。
私の前に座る友人は、そう言った。
「なにを?」
「神がいればさ、世の中の悪事が完全になくなるだろうなってことを」
「あー、どうだろうね」
「思わない?きっと大量の悪人が裁かれるよ」
「どうかな」
私はペットボトルの水を飲み干す。
少し、体がよろける。
二階堂氏は目を覚ます。
顔を洗い、朝食を済ますと会社に向かう。
半年前世界に大きな衝撃が走ったが、今となってはなにも変わらない。
通勤に使う電車は混んでいるというほどではなく、立っている人がちらほらといる程度だ。
一人の、立っている老人に目が止まる。
気の毒だと思いながら、席を譲る気にもならない。仕方ないだろう。
と思っていると、頭をつままれる感触を覚える。
突如正体のわからないリングに吸われた。
リングの先は、真っ暗な、この世のものとは思えない空間が広がっていた。
頭がついていかない。
目の前にいるのが半年前、悪を裁くと宣言した神だからだ。罪状が読み上げられる。
二階堂氏は、絶望する。
「俺はなにを聞かされてるの?」
「この後、悪人を裁いて退屈した神が道徳的な悪を裁き続けて、人類は反乱し大幅に数が減るんだ」
「なるほどね」
そう言ったきり黙り込む。
彼の空想が実現すれば、現在進行形で、例えば目の前の老人に席を譲らない彼のことを、神は遅かれ早かれ裁くだろう。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる