気化囲兵

藤白 圭次郎

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気化囲兵 主人公の記憶喪失

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何故、という二文字が真っ先に浮かんだ。
もう一度何故、と脳から信号が発せられる。
遅れて体を起こしている。
いつ起き上がったのかわからない。
脳の動きなんて、まるでわからない、と何故かそんなことを思った。
霞んでいるのかもわからぬ目を酷使して、周囲を見渡す。
荒廃した焼け野原も、辛うじて立っている痛ましい木もまるで見覚えがない。
というより、見覚えのある景色というのがわからない。
ここはどこだ。
その疑問が私の脳に浮上したのは、周囲を一通り歩いてからだ。
私は誰だ。
こちらの疑問は、いつ浮かんだのかわからぬほど自然に感じていた。
それが何を意味するのか。
記憶喪失というやつではないだろうか。
フィクションでよく見る記憶喪失と違ってやけに私は落ち着いている。
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