16 / 17
【第九話】怒られるのも友となら?
しおりを挟む
視点: 岩木 龍
大学構内の広場。僕は暖かい日差しを受けながらベンチに座り、てっちゃんを待っている。
今日はてっちゃんと2講が一緒でお昼ご飯を一緒に食べるはずだったのだが、てっちゃんは講義に来なかった。
ただLANEでメッセージは来ていて、
徹:『広場のベンチで待ち合わせしよう!』
という連絡が来ていたので、僕は何をする訳でもなくただぼーっとしていた。
ブーッ
スマホの振動し、僕は画面を見る。
てっちゃんからの連絡からかと思ったが、詞乃ちゃんからだった。
詞:『おはようございます!ってもうお昼ですね……。龍さんしっかり講義行けましたか?』
龍:『おはよう!詞乃ちゃんは今起きたのかな?バッチリ講義行ったよー!』
僕はそうLANEを返すと返信を待つことにした。
ブーッ
返信早いな内心嬉しく思いながらスマホを見ると
徹:『残念。僕でした』
というてっちゃんからのメッセージに僕は思わず辺りを見回す。
木陰の下、スマホを片手にニヤニヤしてるてっちゃんを見つける。
てっちゃんはスマホを軽く振ったあと、僕の方に駆け寄ってきた。
龍:「てっちゃん!なんで講義来なかったの?」
僕がベンチから立ち上がりながらてっちゃんに言う。
徹:「今日は気分が乗らなかったのだよー。おかげで快眠ですわ!」
龍:「もー、後期始まってまだ二回目なのにそんな気軽に休んで大丈夫?」
徹:「まぁ、前回行ったしなんとかなるしょ」
龍:「休みすぎちゃダメだよー?僕だって最近気をつけてるんだから」
徹:「へいへーい。気をつけますよっと。んな事より、詞乃ちゃんだと思ったろ?」
てっちゃんがイタズラな表情を僕に向けながら聞いてくる。
龍:「そう!なんで僕が詞乃ちゃんとLANEしてたってわかったの!?」
徹:「ん?君の表情だよ。自覚ないかもだけど詞乃ちゃんからのLANEのとき、普段とは違う表情になってるぞ」
龍:「えっ!?そうなの!?全然自覚無かった……」
徹:「だろうね。はぁ……幸せそうで何よりだよ」
龍:「……まぁ、そうだね」
僕は嘘をつくことができず、普通に照れながら答える。
それを見たてっちゃんから右肩パンを貰った。痛い……。
徹:「じゃあ、購買行こうぜ。お腹空いた」
龍:「食堂行かないの?」
徹:「今混んでるだろうからあんま行きたくないんよなー。食堂行く?」
龍:「いや、それなら購買行こう!」
徹:「さんきゅー。じゃあ行こうか」
僕らは購買に向かって歩き始める。てっちゃんから詞乃ちゃんのことを色々聞かれたり、逆に間宮さんのことを聞いたりしながら歩いていると
夢:「あーーーーっ!!」
聞き覚えのある声が僕らの背中にぶつかる。
僕とてっちゃんが同時に振り返ると
徹:「げっ……」
てっちゃんがつぶやいた。
どうやら、ゆめちゃんこと指宿夢奈が10m程の後方で僕らのことを指差しながら、声を上げたらしい。
龍:「ゆめちゃん。やっほー」
僕がそう声をかけると、隣にいたてっちゃんは、さっきまで進んでいた方向に、先程よりも少し速いスピードで歩みを進める。
夢:「待てーーーー!!!」
ゆめちゃんがてっちゃんに向かってダッシュで近づく。
あっと言う間に僕を追い越し、てっちゃんに詰め寄る。
僕も軽く駆け足でてっちゃん達に近づく。
ゆめちゃんがてっちゃんに対してなにか怒っているようだった。
徹:「や、やぁ。夢奈。……おはよう!」
最初、少しバツの悪そうな表情をしていたてっちゃんが開き直ったように笑顔で挨拶をする。
夢:「おはようじゃないでしょ!なんで1講来なかったの!私、あの講義てっちゃんしか友達いないからすっごい寂しかったんだよ!」
徹:「あー、だからあんなにたくさんの着信履歴が……。朝からご苦労さん」
夢:「なんだとー!!」
ゆめちゃんがポカポカとてっちゃんを叩き始める。
徹:「あー、悪かった悪かったって。次から行くから許してよー」
夢:「何そのめんどくさそうな態度!レジュメあげないし、テストも助けてあげないよ!?」
徹:「えっ!?そりゃ困るよ!ごめんってゆめちゃん!次からしっかり起きて行くから!」
てっちゃんは手のひらを返したように、手を合わせながらゆめちゃんに許しを乞う。
夢:「次来なかったら本当に怒るから!」
徹:「行く行く!……たぶん」
夢:「たぶんってー!?」
徹:「行くって!行く行く!」
そのやり取りを僕はずっと笑いながら見ていた。
夢:「龍ちゃんもてっちゃんになんか言ってあげてよ」
龍:「いやぁ。僕も人のこと言えなかったりするからなぁ」
夢:「まったく。二人ともみっちゃんのこと見習いなよ」
徹:「充だって、講義来たら基本寝てるぞ?」
夢:「来てないより遥かにマシでしょ!?」
徹:「へいへい」
龍:「そうだね……」
僕とてっちゃんは苦笑いを浮かべながら答える。
徹:「ところでこんなとこで僕の説教なんかしてていいのか?昼休み潰れるぞ?」
夢:「そう言って自分の昼休みが潰れるのが嫌なだけなんじゃないの?私はもうご飯買ってあるから大丈夫なんですー」
徹:「へいへい。そうですか。僕らまだだからそろそろ失礼するぞ?」
夢「うん、わかった。次絶対来なよ!?」
徹:「わーったって!じゃあな」
夢:「うん。じゃあね。龍ちゃんもまたねー!」
龍:「うん!またねー!」
僕らは軽く手を振りながら、それぞれ目的地へ向かう。
龍:「ほんと仲良いよね」
徹:「あん?あー、なんだろうね。確かに女友達の中では一番仲良いかもなー。彼女がどう思ってるかわかんないけど」
龍:「えー?ゆめちゃんも仲良いって思ってると思うよー」
徹:「ははっ、まぁ確かに。あれで嫌われてたら僕は間違いなく人間不信になるね」
龍:「でしょー?だからいい関係だと思うよ」
徹:「そうかもなー。まぁ、いつもの3人もそういう関係で居心地いいけどね」
てっちゃんが少しはにかみながら言う
龍:「うん!そうだね!」
僕は笑顔で返した。
購買につくと、お弁当、おにぎりのコーナーに僕らは向かう。僕がお弁当コーナーを眺めていると、てっちゃんがおにぎりコーナーを見つめ、小刻みに震えていた。
徹:「おにぎりが……梅しかない……」
龍:「あー……食堂行く?」
僕がそう聞くと、てっちゃんは少しの間悩んだ後、ため息を一つ吐き、
徹:「食堂行く……」
諦めたようなてっちゃんの顔を見て、僕は軽く笑ったあと食堂に向かった。
大学構内の広場。僕は暖かい日差しを受けながらベンチに座り、てっちゃんを待っている。
今日はてっちゃんと2講が一緒でお昼ご飯を一緒に食べるはずだったのだが、てっちゃんは講義に来なかった。
ただLANEでメッセージは来ていて、
徹:『広場のベンチで待ち合わせしよう!』
という連絡が来ていたので、僕は何をする訳でもなくただぼーっとしていた。
ブーッ
スマホの振動し、僕は画面を見る。
てっちゃんからの連絡からかと思ったが、詞乃ちゃんからだった。
詞:『おはようございます!ってもうお昼ですね……。龍さんしっかり講義行けましたか?』
龍:『おはよう!詞乃ちゃんは今起きたのかな?バッチリ講義行ったよー!』
僕はそうLANEを返すと返信を待つことにした。
ブーッ
返信早いな内心嬉しく思いながらスマホを見ると
徹:『残念。僕でした』
というてっちゃんからのメッセージに僕は思わず辺りを見回す。
木陰の下、スマホを片手にニヤニヤしてるてっちゃんを見つける。
てっちゃんはスマホを軽く振ったあと、僕の方に駆け寄ってきた。
龍:「てっちゃん!なんで講義来なかったの?」
僕がベンチから立ち上がりながらてっちゃんに言う。
徹:「今日は気分が乗らなかったのだよー。おかげで快眠ですわ!」
龍:「もー、後期始まってまだ二回目なのにそんな気軽に休んで大丈夫?」
徹:「まぁ、前回行ったしなんとかなるしょ」
龍:「休みすぎちゃダメだよー?僕だって最近気をつけてるんだから」
徹:「へいへーい。気をつけますよっと。んな事より、詞乃ちゃんだと思ったろ?」
てっちゃんがイタズラな表情を僕に向けながら聞いてくる。
龍:「そう!なんで僕が詞乃ちゃんとLANEしてたってわかったの!?」
徹:「ん?君の表情だよ。自覚ないかもだけど詞乃ちゃんからのLANEのとき、普段とは違う表情になってるぞ」
龍:「えっ!?そうなの!?全然自覚無かった……」
徹:「だろうね。はぁ……幸せそうで何よりだよ」
龍:「……まぁ、そうだね」
僕は嘘をつくことができず、普通に照れながら答える。
それを見たてっちゃんから右肩パンを貰った。痛い……。
徹:「じゃあ、購買行こうぜ。お腹空いた」
龍:「食堂行かないの?」
徹:「今混んでるだろうからあんま行きたくないんよなー。食堂行く?」
龍:「いや、それなら購買行こう!」
徹:「さんきゅー。じゃあ行こうか」
僕らは購買に向かって歩き始める。てっちゃんから詞乃ちゃんのことを色々聞かれたり、逆に間宮さんのことを聞いたりしながら歩いていると
夢:「あーーーーっ!!」
聞き覚えのある声が僕らの背中にぶつかる。
僕とてっちゃんが同時に振り返ると
徹:「げっ……」
てっちゃんがつぶやいた。
どうやら、ゆめちゃんこと指宿夢奈が10m程の後方で僕らのことを指差しながら、声を上げたらしい。
龍:「ゆめちゃん。やっほー」
僕がそう声をかけると、隣にいたてっちゃんは、さっきまで進んでいた方向に、先程よりも少し速いスピードで歩みを進める。
夢:「待てーーーー!!!」
ゆめちゃんがてっちゃんに向かってダッシュで近づく。
あっと言う間に僕を追い越し、てっちゃんに詰め寄る。
僕も軽く駆け足でてっちゃん達に近づく。
ゆめちゃんがてっちゃんに対してなにか怒っているようだった。
徹:「や、やぁ。夢奈。……おはよう!」
最初、少しバツの悪そうな表情をしていたてっちゃんが開き直ったように笑顔で挨拶をする。
夢:「おはようじゃないでしょ!なんで1講来なかったの!私、あの講義てっちゃんしか友達いないからすっごい寂しかったんだよ!」
徹:「あー、だからあんなにたくさんの着信履歴が……。朝からご苦労さん」
夢:「なんだとー!!」
ゆめちゃんがポカポカとてっちゃんを叩き始める。
徹:「あー、悪かった悪かったって。次から行くから許してよー」
夢:「何そのめんどくさそうな態度!レジュメあげないし、テストも助けてあげないよ!?」
徹:「えっ!?そりゃ困るよ!ごめんってゆめちゃん!次からしっかり起きて行くから!」
てっちゃんは手のひらを返したように、手を合わせながらゆめちゃんに許しを乞う。
夢:「次来なかったら本当に怒るから!」
徹:「行く行く!……たぶん」
夢:「たぶんってー!?」
徹:「行くって!行く行く!」
そのやり取りを僕はずっと笑いながら見ていた。
夢:「龍ちゃんもてっちゃんになんか言ってあげてよ」
龍:「いやぁ。僕も人のこと言えなかったりするからなぁ」
夢:「まったく。二人ともみっちゃんのこと見習いなよ」
徹:「充だって、講義来たら基本寝てるぞ?」
夢:「来てないより遥かにマシでしょ!?」
徹:「へいへい」
龍:「そうだね……」
僕とてっちゃんは苦笑いを浮かべながら答える。
徹:「ところでこんなとこで僕の説教なんかしてていいのか?昼休み潰れるぞ?」
夢:「そう言って自分の昼休みが潰れるのが嫌なだけなんじゃないの?私はもうご飯買ってあるから大丈夫なんですー」
徹:「へいへい。そうですか。僕らまだだからそろそろ失礼するぞ?」
夢「うん、わかった。次絶対来なよ!?」
徹:「わーったって!じゃあな」
夢:「うん。じゃあね。龍ちゃんもまたねー!」
龍:「うん!またねー!」
僕らは軽く手を振りながら、それぞれ目的地へ向かう。
龍:「ほんと仲良いよね」
徹:「あん?あー、なんだろうね。確かに女友達の中では一番仲良いかもなー。彼女がどう思ってるかわかんないけど」
龍:「えー?ゆめちゃんも仲良いって思ってると思うよー」
徹:「ははっ、まぁ確かに。あれで嫌われてたら僕は間違いなく人間不信になるね」
龍:「でしょー?だからいい関係だと思うよ」
徹:「そうかもなー。まぁ、いつもの3人もそういう関係で居心地いいけどね」
てっちゃんが少しはにかみながら言う
龍:「うん!そうだね!」
僕は笑顔で返した。
購買につくと、お弁当、おにぎりのコーナーに僕らは向かう。僕がお弁当コーナーを眺めていると、てっちゃんがおにぎりコーナーを見つめ、小刻みに震えていた。
徹:「おにぎりが……梅しかない……」
龍:「あー……食堂行く?」
僕がそう聞くと、てっちゃんは少しの間悩んだ後、ため息を一つ吐き、
徹:「食堂行く……」
諦めたようなてっちゃんの顔を見て、僕は軽く笑ったあと食堂に向かった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
アルバイトの効用
しらい かの
青春
アルバイト禁止の学校、多いよね。
学生は勉強するべきだと思う。青春をアルバイトで埋める必要なんてない。
今すぐ遊んで、今すぐ学びなさい。
そんな簡単に時間を浪費するな。
一瞬で人生は終わる。
広くて狭いQの上で
白川ちさと
青春
ーーあなたに私の学園の全てを遺贈します。
私立慈従学園 坂東和泉
若狭透は大家族の長男で、毎日のように家事に追われている。
そんな中、向井巧という強面の青年が訪れて来た。彼は坂東理事長の遺言を透に届けに来たのだ。手紙には学園長と縁もゆかりもない透に学園を相続させると書かれていた――。
四人の学生が理事長の遺した謎を解いていく、謎解き青春ミステリー。
八法の拳
篠崎流
青春
戦国から現代まで九重の一族に伝わってきた拳法・八陣拳。現代の直系継承者の3人の子らが東京へ出て来た事から起こる様々な事件
正直此処でのジャンルが不明ですが、学校日常+現代格闘物なので一応青春辺りに入れてます
冬馬君の夏休み
だかずお
青春
冬馬君の夏休みの日々
キャンプや恋、お祭りや海水浴 夏休みの
楽しい生活
たくさんの思い出や体験が冬馬君を成長させる 一緒に思い出を体験しよう。
きっと懐かしの子供の頃の思いが蘇る
さあ!!
あの頃の夏を再び
現在、You Tubeにて冬馬君の夏休み、聴く物語として、公開中!!
是非You Tubeで、冬馬君の夏休み で検索してみてね(^^)v
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる