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消えて産まれる編
蠢く『もの』
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塚田さんに連れられ、何時もの小会議室へと案内される
「ここが今日から私達の事務所です」
内装が随分と変わっている、デスクが2つソファーに……おお! パソコン迄用意してある。
ついでに目に入ったが、神棚迄で用意してあるアイツらのじゃないだろうな?
神棚の下辺りに衝立てがあり、こちら側から中は見えない。
「塚田さんあの衝立ては何ですか?」
「あの中だけは絶対に見ては行けません、男子禁制の特別な呪いを掛けておきましたから、特に八神さんにはより効果的ですので」
怖いことを言う
「はっはぁ? まぁ良いですけど」
触らぬ神に祟りなしだ、余計な事も聞かない方がいいだろう。
「八神さんのデスクそしてロッカーを用意してあります」
案内された俺のデスクは
窓際だった……良いけどさ…別に…日当たり良いし
気持ちを切り替える事にしよう
「じゃあ何から始めましょうか?」
「そうですね天気も良いので、パトロールにでも行って貰いましょうか」
「でも俺運転出来ないですよ?」
「問題ありません、仕事で必要であれば車の運転を許可される事を御存知ですよね?」
そう言えばそうだった、今は雇われの身だ問題なしってことか。
「了解です」
「でも俺そういうのはもう見えないんですが?」
「大丈夫ですよ、ヤエ様どうぞ」
何と衝立ての裏からヤエが出て来た
「はぁ!?」
「何でそんな所から出てくんの?意味が分からいよ塚田さん!」
「健、今はそんな事はどうでも良いの」
「私が五泉側をアンタと一緒に回ってあげる、一緒に回れば何かしら感知できると思ってね」
じゃあ村松側は?
「そうヒエがアンタのフォローにまわるわ」
「なるほどねそれは解ったよ、でもさこの前みたいに気付かないの?」
「ええ分からないわ、この前の綻びの様な力は感じられない。それに私達に綻びが感じられた事自体がおかしいのよ!」
「まるで気付いてくださいって言ってる様なもんだと?」
「そうよ私達『土地神』はこの地を見渡せる力はあるけれど完璧とは行かない……なのに」
「なのにあんなにもくっきりと綻びの反応を感知出来た」
「なぁ見渡す力ってどのぐらいなんだ?」
気になって聞いてみた
「五泉市全体を、私とヒエで感覚を共有させてるから見れるけど。さっきも行ったように完璧じゃないの」
「何で?」
「はっきりと言えば大雑把なのよ、だから民が願いを乞えば初めてその地を見定めて見えるの」
「広く浅くってところか?」
「そういう事になるわね、だからこそ人為的だと思うの」
「じゃあもしかして俺達はまんまと誘き出されたと?」
「恐らく私とヤエ様、ついでに八神さんの顔は見られたでしょうね」
たちが悪い、『呪い(ヒエ)』の時とは違い明確に俺達を狙ってる事になる。
狙いは何だ? 検討もつかない。
神様復活させたからか? そんな筈はないと思いたい。
「ヤエ一応確認するが、恨み買ってないよな例えば他の神様とか?」
「どうかしらね、私達の他にこの五泉市に土地神は居ないはずだけど。ただ私達に使える眷族ならいるわ」
「階級でもあんの?」
「まぁね、でもその眷族は私達の力を持ってして初めて活動する事ができるのよ……まぁ……」
「悪い、話が長くなりそうだからもう良いよ」
「要は俺達で囮にって事ですか、塚田さん?」
「気を付けてください、狙われてるのは恐らく私と八神さんだけだと思われます」
「じゃあ尚更だ、ヤエは此処で塚田さんを守ってくれ街には俺一人で行く」
「ちょっと待って! あなた今力が無いでしょう?」
「相手が人間ならぶっ飛ばす! 化け物なら逃げまくる! 以上! はい行動開始!!」
「八神さん!?」
そう言うと俺は事務所を出て行った。
車はまずいだろう何かあった時、市民に犠牲が出る。
なら歩くしかないか、しょうがない適当にぶらついて見るか、街に向かい歩きだした。
◇ ◇ ◇
「何よアイツ」
「そんな言い方しないで下さい、きっとヤエ様の身を案じているのでしょう」
「わかってるわよ、アイツとは繋がりがあるから。だから余計心配なのよ、どこか無茶しそうで……」
実際2ヶ月前はそうだった、捨て身のような行動ばかりだったでも……
結果的には、打ち祓う事に成功した
「大丈夫ですよヤエ様、きっと何とかしてくれます。ヤエ様達はそう信じて彼の所へ一番最初に向かったのでしょう?」
「ええそうよ、駄目だったけどね」
「でも私の前に現れたときは本当に驚きました」
「他に頼れる人間居ないもの……」
「ですが、その人の身になると裸になってしまうのだけはどうにかなりませんか?」
「しょうがないわよ人間の服なんて持ってないし」
「はぁ」
事務所の衝立てはその為に付けたものである
「とにかく待ちましょう?」
今回の件、長期戦も覚悟をして置かなければならない。また市役所で泊まり込む事にしよう。私には家庭がある、巻き込む訳には行かない。主人に連絡を取り荷物を届けて貰うよう頼んだ。
下手に取りに行くと、私の家がバレてしまう。それだけは避けたい、彼はどうするだろう? 取り敢えず無事に戻ってくる事を願った。
ヤエ様と今後について話し合っていると、突然ヤエ様の目の色が青く光りだした。そのまま私に向かって
「京子! アイツに連絡取れる!? 早く!」
◇ ◇ ◇
大分歩いた、特に何も起こらない、と言うか誰も付けて来ない。以外と五泉市は無駄に広い、町中で遭遇する事は無いのかもしれない。さてどうする? このままもう少し歩いてみるか、一旦戻るか? 思案した結果、村松の方にも行って見ることにした。
早速、市内循環バスに乗り込み。村松公園迄で足を伸ばしてみた、桜の名所と言う事になっている。近くには姪っ子の通う愛宕中学校がある。最後に会ったのは、お彼岸の時だったか少し遠くから学校の方を見る、当たり前だが不審者とは思われない様、遠巻きに見る。まあ見てみても今の俺には何も感じられない。
俺のスマホが着信を告げる、塚田さんだ。すぐさま応答する
「もしも……」
「ちょっとアンタ! 今いる所から動かないで」
「ヤエか? どうした急に」
「ヒエがそこから動くなって言ってるのよ!」
どうやら俺の行動はヒエが見守ってくれていたらしい。
「何で動くな、何だよ普通だったら逃げて! とかじゃないの?」
「いい? 今アンタへ向けて放たれてる敵意があるらしいの、ヒエが今探ってる! それが終わるまで待機して」
と言われてもなぁ、今中学校の正門前なんだよなあ
「それってすぐに終わる? 今不審がられると色々な意味でヤバいんだよ」
「なんでよ?」
「俺みたいなオッサンが、中学校の前で徘徊してたら完全に不審者扱いされちまうよ。」
「敵も考えたわね……不審者扱いさせるだなんて」
「違うと思うよ!?とにかくヒエに急がさせて!」
「分かってるわよ、でも学校何でしょう? 数が多すぎて……ああもうアンタ何か注目されすぎてない? アンタへと注意が集まり過ぎてるってヒエが言ってるわよ!」
でしょうね、だって俺の後ろにパトカーいるもん。
「ヤエここ迄だよ今日の所は、後で塚田さんと一緒に迎えに来て……」
「はぁ!?」
涙声で伝えた後電話を切った。
数十分後、警察署に連行されていた俺の元へ鷲尾刑事がやって来た。
「八神さんさぁ何してるの? 中学校の周りを徘徊するなんて」
「すみません事情が有りまして……」
「あんまり変な事しないで貰えますか? 全く」
でも何でいきなりパトカー呼んだ?普通なら教師なり管理の人が先に出てくるもんじゃないの?
「鷲尾さん何で通報が先だったんですか? 俺そこまで変なことしてませんよ」
「あ~それについては話せません守秘義務があるんで、八神さんくれぐれも変な行動は控える様に! 今日は注意とさせて頂きます良いですね」
「気を付けます……」
うなだれて玄関を出ると、鬼の形相で立っている美女3人が待っていた、静かに車へと促される。そして誰も口を開かず市役所の事務所へと着いた。
「あ~ん~たは!」
ほら来た、御説教タイムだ。
「もう少し抵抗しなさいよ! 私必死になって気配を追っていたのよ!」
ヒエが、怒鳴る
「でも変なのよ、気配を感じたその後、一斉にアンタへ向かう気配が増えたのよ?」
「それ程目立っていた行動は、取っていなかったつもりだけど」
「そうなのよね、私が見ていて不審なところと言えば学校を3週回っていたぐらいよ?」
う~ん何だろう違和感を感じる
「俺に敵意を向けてたのは学校側からなんだよな?」
「ええそうよ、結構強めにね……だから私も気付いて、すぐさまに探り始めたんだけど、間に合わなかったって訳よ」
「ヒエ様ですが少しは前進したかと思います、少なくとも中学校には何らかの関係者がいた事になります」
「それが生徒なのか教師なのか、まだ分かりませんが」
皆で考え込む、神様も悔しいけれど万能ではないんだよな。この二人はこの地に恵みをもたらす土地神様だ。本来ならこんな事には顔を突っ込まないはずだ。
「アンタが気にする事じゃないわ」
「でもなんか悪い気がしてゴメン」
沈黙が重たい、そんな時だった俺のスマホに着信があった。親父からだった、3人に確認してから電話に出る
「おう健お前、愛宕中学校前で捕まったらしいじゃないか?」
「何で知ってんの?」
そこでスマホの通話をスピーカーへと変えた
「孫娘から聞いた、頼むから恥ずかしい思いをさせるなって怒っていたぞ」
「あ~ゴメン悪気は無いんだよ」
「そんなに有名な話しになってたの?」
「何か同じクラスの娘が授業中に、外に変な人が居るって騒いでたらしいぞ」
「ふ~ん電話替われる?」
「いや」
電話の向こうから姪っ子の声が聞こえる、嫌われたもんだな……
「とにかく気を付けるようにな!」
「ああじゃまた」
通話を終える。
尻尾は掴んだらしい、だが名前や顔迄は分からない。さぁどうする? 悩んでいると塚田さんが思い出した様に言ってきた
「そうだ八神さんも今日からこの事務所に暫く泊まって頂きます」
「何で!?」
「お互い狙われていますから、お互いの身を守るためです。取り敢えず荷物をまとめて来てください車使っても良いので」
そう言うと俺を事務所から追い出した。ヤエも一緒に来てくれるらしい
「何でお前まで来るんだよ?」
「念の為よ」
そうですかと思い車に乗って、アパートへと向かうアパートに近づくと
「止まって!アンタのアパートこの先なのよね」
「そうだけど」
「変な気配を感じる、ちょっと探るから静かにしてて」
俺は息を殺し黙る。
「一人ね、それも男。多分アンタの部屋のドアに何か細工をしようとしているわ!」
「よしわかった、任せとけ」
「ちょっと!」
「良いから任せとけって」
スマホを取り出し、ある所に電話する
「じゃあちょっと行ってくる」
「無理しちゃ駄目よ?」
車を降りて自分のアパートへと裏道を使い向かって行く、確かに俺の部屋の玄関に何かしている様だ。後ろからバレるかバレないギリギリの所まで近づき、膝カックンを繰り出し、体制が崩れたところ目がけて思いっ切り拳を叩きつけた。そしてそのまま伸し掛かり押さえ付ける、どうやら気絶したらしい。取り押さえていると、電話しておいたパトカーがやって来て、鷲尾刑事が降りてきた
「八神さん! 大丈夫ですか? そいつが不審者ですね」
「えぇ俺の部屋のドアノブに細工してました」
犯人を引き渡す
「そいつには聞きたいことがあります、俺にも聴取に立ち合わせてください」
「ですが一般市民を、聴取には立ち会わせられないんですよ」
「コイツが、普通じゃ無かったとしたら?」
「まさか!」
「そこのドアノブ触ってみて下さい」
鷲尾刑事がドアノブに触れた瞬間
「ぎゃああああああああああああ!?」
やっぱりヤエの言った通り何か仕掛けてやがった、失神した鷲尾刑事を部下たちが連れて行く。俺は、ヤエの元へと戻る
「終わったよ一緒に来てくれ」
ヤエにドアノブを見てもらう
「呪いね、ちょっとまってなさい」
ドアノブに手をかざしなにか呟いている
「良いわよ、もう触っても」
一応用心して部屋の中に入る、ヤエも付いてくる
「大丈夫よ何も感じない、今のうちよ」
そう促され手早く荷物をまとめて、アパートを後にする。
「どんな呪いだったんだ?」
「半日は意識不明になる位には強力なんじゃない? 普通の人間には」
「そっか助かったよ、ありがとうな」
「別に礼何かいらないわよ!」
「じゃあ戻るか!」
事務所へと戻り、塚田さんと一応ヒエにも報告をした。
「やっぱりね」
ヒエが事もなしに言う
「見えたのよ私達には、だから京子に言わせてアンタをアパート迄で戻らせたのよ」
「お前! もしヤエになにかあったらどうするつもりだったんだよ!」
「でもヤエが居なけれどうなっていたと思う? 今の力が無いアンタに」
「ぐぅっ」
「それでも俺は、お前等には危険な目にはあって欲しくない」
「大丈夫よ私達は、人の手では死なないわ」
「取り敢えず今日はお疲れ様」
ヒエが俺の額に手をかざす、急激な眠気に襲われ俺は眠りに落ちていった。
「ここが今日から私達の事務所です」
内装が随分と変わっている、デスクが2つソファーに……おお! パソコン迄用意してある。
ついでに目に入ったが、神棚迄で用意してあるアイツらのじゃないだろうな?
神棚の下辺りに衝立てがあり、こちら側から中は見えない。
「塚田さんあの衝立ては何ですか?」
「あの中だけは絶対に見ては行けません、男子禁制の特別な呪いを掛けておきましたから、特に八神さんにはより効果的ですので」
怖いことを言う
「はっはぁ? まぁ良いですけど」
触らぬ神に祟りなしだ、余計な事も聞かない方がいいだろう。
「八神さんのデスクそしてロッカーを用意してあります」
案内された俺のデスクは
窓際だった……良いけどさ…別に…日当たり良いし
気持ちを切り替える事にしよう
「じゃあ何から始めましょうか?」
「そうですね天気も良いので、パトロールにでも行って貰いましょうか」
「でも俺運転出来ないですよ?」
「問題ありません、仕事で必要であれば車の運転を許可される事を御存知ですよね?」
そう言えばそうだった、今は雇われの身だ問題なしってことか。
「了解です」
「でも俺そういうのはもう見えないんですが?」
「大丈夫ですよ、ヤエ様どうぞ」
何と衝立ての裏からヤエが出て来た
「はぁ!?」
「何でそんな所から出てくんの?意味が分からいよ塚田さん!」
「健、今はそんな事はどうでも良いの」
「私が五泉側をアンタと一緒に回ってあげる、一緒に回れば何かしら感知できると思ってね」
じゃあ村松側は?
「そうヒエがアンタのフォローにまわるわ」
「なるほどねそれは解ったよ、でもさこの前みたいに気付かないの?」
「ええ分からないわ、この前の綻びの様な力は感じられない。それに私達に綻びが感じられた事自体がおかしいのよ!」
「まるで気付いてくださいって言ってる様なもんだと?」
「そうよ私達『土地神』はこの地を見渡せる力はあるけれど完璧とは行かない……なのに」
「なのにあんなにもくっきりと綻びの反応を感知出来た」
「なぁ見渡す力ってどのぐらいなんだ?」
気になって聞いてみた
「五泉市全体を、私とヒエで感覚を共有させてるから見れるけど。さっきも行ったように完璧じゃないの」
「何で?」
「はっきりと言えば大雑把なのよ、だから民が願いを乞えば初めてその地を見定めて見えるの」
「広く浅くってところか?」
「そういう事になるわね、だからこそ人為的だと思うの」
「じゃあもしかして俺達はまんまと誘き出されたと?」
「恐らく私とヤエ様、ついでに八神さんの顔は見られたでしょうね」
たちが悪い、『呪い(ヒエ)』の時とは違い明確に俺達を狙ってる事になる。
狙いは何だ? 検討もつかない。
神様復活させたからか? そんな筈はないと思いたい。
「ヤエ一応確認するが、恨み買ってないよな例えば他の神様とか?」
「どうかしらね、私達の他にこの五泉市に土地神は居ないはずだけど。ただ私達に使える眷族ならいるわ」
「階級でもあんの?」
「まぁね、でもその眷族は私達の力を持ってして初めて活動する事ができるのよ……まぁ……」
「悪い、話が長くなりそうだからもう良いよ」
「要は俺達で囮にって事ですか、塚田さん?」
「気を付けてください、狙われてるのは恐らく私と八神さんだけだと思われます」
「じゃあ尚更だ、ヤエは此処で塚田さんを守ってくれ街には俺一人で行く」
「ちょっと待って! あなた今力が無いでしょう?」
「相手が人間ならぶっ飛ばす! 化け物なら逃げまくる! 以上! はい行動開始!!」
「八神さん!?」
そう言うと俺は事務所を出て行った。
車はまずいだろう何かあった時、市民に犠牲が出る。
なら歩くしかないか、しょうがない適当にぶらついて見るか、街に向かい歩きだした。
◇ ◇ ◇
「何よアイツ」
「そんな言い方しないで下さい、きっとヤエ様の身を案じているのでしょう」
「わかってるわよ、アイツとは繋がりがあるから。だから余計心配なのよ、どこか無茶しそうで……」
実際2ヶ月前はそうだった、捨て身のような行動ばかりだったでも……
結果的には、打ち祓う事に成功した
「大丈夫ですよヤエ様、きっと何とかしてくれます。ヤエ様達はそう信じて彼の所へ一番最初に向かったのでしょう?」
「ええそうよ、駄目だったけどね」
「でも私の前に現れたときは本当に驚きました」
「他に頼れる人間居ないもの……」
「ですが、その人の身になると裸になってしまうのだけはどうにかなりませんか?」
「しょうがないわよ人間の服なんて持ってないし」
「はぁ」
事務所の衝立てはその為に付けたものである
「とにかく待ちましょう?」
今回の件、長期戦も覚悟をして置かなければならない。また市役所で泊まり込む事にしよう。私には家庭がある、巻き込む訳には行かない。主人に連絡を取り荷物を届けて貰うよう頼んだ。
下手に取りに行くと、私の家がバレてしまう。それだけは避けたい、彼はどうするだろう? 取り敢えず無事に戻ってくる事を願った。
ヤエ様と今後について話し合っていると、突然ヤエ様の目の色が青く光りだした。そのまま私に向かって
「京子! アイツに連絡取れる!? 早く!」
◇ ◇ ◇
大分歩いた、特に何も起こらない、と言うか誰も付けて来ない。以外と五泉市は無駄に広い、町中で遭遇する事は無いのかもしれない。さてどうする? このままもう少し歩いてみるか、一旦戻るか? 思案した結果、村松の方にも行って見ることにした。
早速、市内循環バスに乗り込み。村松公園迄で足を伸ばしてみた、桜の名所と言う事になっている。近くには姪っ子の通う愛宕中学校がある。最後に会ったのは、お彼岸の時だったか少し遠くから学校の方を見る、当たり前だが不審者とは思われない様、遠巻きに見る。まあ見てみても今の俺には何も感じられない。
俺のスマホが着信を告げる、塚田さんだ。すぐさま応答する
「もしも……」
「ちょっとアンタ! 今いる所から動かないで」
「ヤエか? どうした急に」
「ヒエがそこから動くなって言ってるのよ!」
どうやら俺の行動はヒエが見守ってくれていたらしい。
「何で動くな、何だよ普通だったら逃げて! とかじゃないの?」
「いい? 今アンタへ向けて放たれてる敵意があるらしいの、ヒエが今探ってる! それが終わるまで待機して」
と言われてもなぁ、今中学校の正門前なんだよなあ
「それってすぐに終わる? 今不審がられると色々な意味でヤバいんだよ」
「なんでよ?」
「俺みたいなオッサンが、中学校の前で徘徊してたら完全に不審者扱いされちまうよ。」
「敵も考えたわね……不審者扱いさせるだなんて」
「違うと思うよ!?とにかくヒエに急がさせて!」
「分かってるわよ、でも学校何でしょう? 数が多すぎて……ああもうアンタ何か注目されすぎてない? アンタへと注意が集まり過ぎてるってヒエが言ってるわよ!」
でしょうね、だって俺の後ろにパトカーいるもん。
「ヤエここ迄だよ今日の所は、後で塚田さんと一緒に迎えに来て……」
「はぁ!?」
涙声で伝えた後電話を切った。
数十分後、警察署に連行されていた俺の元へ鷲尾刑事がやって来た。
「八神さんさぁ何してるの? 中学校の周りを徘徊するなんて」
「すみません事情が有りまして……」
「あんまり変な事しないで貰えますか? 全く」
でも何でいきなりパトカー呼んだ?普通なら教師なり管理の人が先に出てくるもんじゃないの?
「鷲尾さん何で通報が先だったんですか? 俺そこまで変なことしてませんよ」
「あ~それについては話せません守秘義務があるんで、八神さんくれぐれも変な行動は控える様に! 今日は注意とさせて頂きます良いですね」
「気を付けます……」
うなだれて玄関を出ると、鬼の形相で立っている美女3人が待っていた、静かに車へと促される。そして誰も口を開かず市役所の事務所へと着いた。
「あ~ん~たは!」
ほら来た、御説教タイムだ。
「もう少し抵抗しなさいよ! 私必死になって気配を追っていたのよ!」
ヒエが、怒鳴る
「でも変なのよ、気配を感じたその後、一斉にアンタへ向かう気配が増えたのよ?」
「それ程目立っていた行動は、取っていなかったつもりだけど」
「そうなのよね、私が見ていて不審なところと言えば学校を3週回っていたぐらいよ?」
う~ん何だろう違和感を感じる
「俺に敵意を向けてたのは学校側からなんだよな?」
「ええそうよ、結構強めにね……だから私も気付いて、すぐさまに探り始めたんだけど、間に合わなかったって訳よ」
「ヒエ様ですが少しは前進したかと思います、少なくとも中学校には何らかの関係者がいた事になります」
「それが生徒なのか教師なのか、まだ分かりませんが」
皆で考え込む、神様も悔しいけれど万能ではないんだよな。この二人はこの地に恵みをもたらす土地神様だ。本来ならこんな事には顔を突っ込まないはずだ。
「アンタが気にする事じゃないわ」
「でもなんか悪い気がしてゴメン」
沈黙が重たい、そんな時だった俺のスマホに着信があった。親父からだった、3人に確認してから電話に出る
「おう健お前、愛宕中学校前で捕まったらしいじゃないか?」
「何で知ってんの?」
そこでスマホの通話をスピーカーへと変えた
「孫娘から聞いた、頼むから恥ずかしい思いをさせるなって怒っていたぞ」
「あ~ゴメン悪気は無いんだよ」
「そんなに有名な話しになってたの?」
「何か同じクラスの娘が授業中に、外に変な人が居るって騒いでたらしいぞ」
「ふ~ん電話替われる?」
「いや」
電話の向こうから姪っ子の声が聞こえる、嫌われたもんだな……
「とにかく気を付けるようにな!」
「ああじゃまた」
通話を終える。
尻尾は掴んだらしい、だが名前や顔迄は分からない。さぁどうする? 悩んでいると塚田さんが思い出した様に言ってきた
「そうだ八神さんも今日からこの事務所に暫く泊まって頂きます」
「何で!?」
「お互い狙われていますから、お互いの身を守るためです。取り敢えず荷物をまとめて来てください車使っても良いので」
そう言うと俺を事務所から追い出した。ヤエも一緒に来てくれるらしい
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「念の為よ」
そうですかと思い車に乗って、アパートへと向かうアパートに近づくと
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「そうだけど」
「変な気配を感じる、ちょっと探るから静かにしてて」
俺は息を殺し黙る。
「一人ね、それも男。多分アンタの部屋のドアに何か細工をしようとしているわ!」
「よしわかった、任せとけ」
「ちょっと!」
「良いから任せとけって」
スマホを取り出し、ある所に電話する
「じゃあちょっと行ってくる」
「無理しちゃ駄目よ?」
車を降りて自分のアパートへと裏道を使い向かって行く、確かに俺の部屋の玄関に何かしている様だ。後ろからバレるかバレないギリギリの所まで近づき、膝カックンを繰り出し、体制が崩れたところ目がけて思いっ切り拳を叩きつけた。そしてそのまま伸し掛かり押さえ付ける、どうやら気絶したらしい。取り押さえていると、電話しておいたパトカーがやって来て、鷲尾刑事が降りてきた
「八神さん! 大丈夫ですか? そいつが不審者ですね」
「えぇ俺の部屋のドアノブに細工してました」
犯人を引き渡す
「そいつには聞きたいことがあります、俺にも聴取に立ち合わせてください」
「ですが一般市民を、聴取には立ち会わせられないんですよ」
「コイツが、普通じゃ無かったとしたら?」
「まさか!」
「そこのドアノブ触ってみて下さい」
鷲尾刑事がドアノブに触れた瞬間
「ぎゃああああああああああああ!?」
やっぱりヤエの言った通り何か仕掛けてやがった、失神した鷲尾刑事を部下たちが連れて行く。俺は、ヤエの元へと戻る
「終わったよ一緒に来てくれ」
ヤエにドアノブを見てもらう
「呪いね、ちょっとまってなさい」
ドアノブに手をかざしなにか呟いている
「良いわよ、もう触っても」
一応用心して部屋の中に入る、ヤエも付いてくる
「大丈夫よ何も感じない、今のうちよ」
そう促され手早く荷物をまとめて、アパートを後にする。
「どんな呪いだったんだ?」
「半日は意識不明になる位には強力なんじゃない? 普通の人間には」
「そっか助かったよ、ありがとうな」
「別に礼何かいらないわよ!」
「じゃあ戻るか!」
事務所へと戻り、塚田さんと一応ヒエにも報告をした。
「やっぱりね」
ヒエが事もなしに言う
「見えたのよ私達には、だから京子に言わせてアンタをアパート迄で戻らせたのよ」
「お前! もしヤエになにかあったらどうするつもりだったんだよ!」
「でもヤエが居なけれどうなっていたと思う? 今の力が無いアンタに」
「ぐぅっ」
「それでも俺は、お前等には危険な目にはあって欲しくない」
「大丈夫よ私達は、人の手では死なないわ」
「取り敢えず今日はお疲れ様」
ヒエが俺の額に手をかざす、急激な眠気に襲われ俺は眠りに落ちていった。
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《ヒト・人》動物界‐脊索動物門‐哺乳網‐サル目‐ヒト科‐ヒト属‐ヒト種、別名"人間"ともいう。~~~~~~~~など様々なものを発展させ、かつて生物の頂点に立った。25XX年から存在は確認されておらず、絶滅したと考えるべきである。かつて生態系の頂点に君臨した生物が絶滅まで至る経緯と原因としては、、、
“ヒト”の知の保管場所、図書館とその近辺を生活エリアとし、ずっとそこで生活してきた二人。ある日、偶然手に取った本の最後のページに嘗て生物の頂点に君臨した"ヒト”に関する少し他のとは違った記述を発見する。その違いは彼らの脳内に強烈な疑問を与え、彼らから離れない。二人はその答えを見つけるために長年生活していた地を初めて離れ、旅に出る。そして、そこで彼らが出会うのは“ヒト”が生み出し、残した全て、伝説、神話、伝承、物語、、。彼らは、かつて“ヒト”が創造・空想・想像した世界を旅するーーー
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