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天界決戦編

a New Horizon

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「ノエはまだかよ!?」
「ヒエ助けて!」
 俺たちは黄金の間の崩壊に巻き込まれていた、壁が床が崩れていく……イグドラシルの樹の根にしがみついてた。女神は飛べるから良いけど……俺と茉希は落ちたら、眼下に広がるエネルギーが吹き出している空間目指して真っ直ぐ落ちて……ゾッとする。
「アナタ! 茉希! 頑張って!」
 さっきアムトを突き落とした反動か今にも爆発しそうだ、今度ばかりは……観念しかけたが、イグドラシルが輝きを放つと、俺達の身体が宙に浮くとイグドラシルに吸い寄せられる。やったかノエ!
『八神さん! 今からイグドラシルと共に黄金の間から脱出します』
「黄金の間は?」
『もう手遅れです、アムトの残滓もろともこのまま消滅させてしまいましょう!』
「それじゃさっさと逃げようか! ノエ!」
『しっかり掴まってて下さい!』
 イグドラシルが猛スピードで黄金の間を駆け抜ける、空間の裂け目を抜けて外に飛び出すと、黄金の間の頂上を蒼い火柱が天を穿く天界を揺るがすほどのエネルギーの大噴火だった。 ゆっくりと天界が地上に降りていく
『八神さん! 私に考えがあります!』
「もう何でも任せる! ちょっと疲れたよ……」
『イグドラシルを先に地上へ転移させます!』
 視界が歪むと、愛宕山の上だった。空の上から天界が降りてくる……
「おいおい……」
『大丈夫です! このまま天界をあるべき場所に返します!』
 地上に天界が落ちると衝撃はなかった、そしてそのまま地面に沈み始めた。周囲が逆再生されるように元に戻りながらゆっくりと天界が沈んでいく……
「出て来たときは、あんだけやらかしたのにねぇ」
「あっさりと沈んだな」
 朝焼けがイグドラシルを照らす……終わったか~!!
「ヤッタァ! タケシ! 愛してる!」
 茉希が抱きついてくる
「どきなさいな小娘! そこは私の場所よ!」
「良いんじゃないかな!」
 茉希、ヤエ、ヒエを3人纏めて力いっぱいに抱きしめる。
「皆……愛してる、俺の大切な人だ! ちょっと翼が邪魔だな……」
「アナタ……」
 ヤエが目を閉じて唇を近付けてくる、茉希もヒエも下がる……気は使うんだ……ヤエを抱きしめてキスをすると積極的に絡ませ合う蕩けて1つになるまで……
『あの~ちょっと良いですか?』
「あっまだ居たんだ? 今2人共、良いところなのに!」
『当たり前です! 後始末が終わっていません!』
 ヤエから唇を離すと
「っていうかノエはもうイグドラシルになっちゃったのか?」
『それが……今回の後始末と再生が終わったらお話します……』
「そっか何処まで再生出来るんだ?」
『街は元通りにして世界からこの記憶を改変させます、小さな地震があった位に』
「アパートも!?」
『はい! 八神さんの大切な場所ですよね!』
「あぁ! そうだとも!」
『ヒエ様ヤエ様……八神さんの事ですがどうします?』
「あっ! もう死んでて転神を待って神になるんだっけ健?」
『そうです』
「それなんだけどさ……俺を頑張ったご褒美ってことで普通の人間に戻してくれないかな?」
「あっ! だったらアタシも人間に戻りたい!」
『八神さん茉希さんはもう既に神の領域に片足を踏み込んでいます』
「はぁ~~そっか……」
『ですが……力を封印させることで限りなく人間に近い存在に戻すことは出来ます』
「そっか……それでも良いか……」
『おおよそ50年……お待ちしてます!』
「ノエ! 私達もお願い! その時までは私達、健の側にいたい!」
「どうせ一緒の神の座に戻るんだけどね~私達」
「お願い出来るかなノエ?」
『わかりました、八神さん茉希さん武器をイグドラシルへ』
「おん? 何で?」
『その武器は既に神具へと変わっています、人の世界には必要ないでしょう……』
「それもそっかじゃ、宜しく!」
 イグドラシルの樹の根本に武具を納める。
「もう2度と使うことが有りませんように! っと!」
『それでは封印と再生を行いますが宜しいですか?』
「ノエとはもう会えないのか? 新潟はどうなる?」
『それなのですが私……実は@◎#□様の名を頂きまして……』
 何か聞き取れない名前? を聞いた途端ヤエとヒエがイグドラシルに向かって跪く
「もっ! 申し訳ございませんでした失礼な口を……」
『やめて下さい! お2人共! 今迄通りノエと呼んでください!』
「なんか凄いのノエ?」
「バカ! 唯一神様の名よ! 頭を下げなさい2人共!」
「でもノエが良いって言ってるんだから、なぁ?」
『はい! 八神さんのそういう所、大好きです!』
「「「ああぁん!?」」」
『……という訳なので、そろそろ良いですか?』
「おう! やってくれ!」
 眩しい光が広がる、これで終わった……大切な人を助け出した……心は充実感で満たされていた。色々あったな……本当に……そして、新しい日々が始まる。
 光が消えていくとイグドラシルの樹が消えていく……
「またなノエ!」
 返事は聞こえなかったが優しい風が頬を撫でてくれた。
「良し! 帰るか我が家へ!」
「タケシ……ここさ村松だよ……どうやって帰るのさ? アタシらボロボロだし」
「私達裸足だし……もう飛べないし」
「夜が明けたばかりだし……」
「フミャ~ン」
 ノエ様……詰めが甘いよ、俺頑張ったじゃん! 酷いよ……スマホも無いし……
「茉希……ヒエを頼む、ヤエは俺が背負う」
「本気で……?」
「歩き続ければ着くよ……」
 
 ヤエを背負うとアパートを目指して歩き出した。
 

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