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女だらけの社員旅行〜転〜

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「半神半人の誕生です」

 思考が理解の範疇を超えると逆に冷静になってきた。そして人間ですらなくなったのか俺……
「あの~誕生って事は、俺って死んだんですよね」
「ですから慌てて時を止めました、まさかこんな事になるとは思いませんでしたので……」
 って事はノエのせいってことか?
「ん~~そうしないとヤガミさん帰っちゃうから」
「どこにさ?」
「神の座です」
「はぁん? そっか……じゃあ、もうヤエ達は?」
「温泉を満喫しているようですね」
「俺だけかよ……って何でここに来ないの? いくら大女神様が時間を止めてるからって、アイツ等神でしょ?」
「半神半人だからかも知れませんね、健さんが……少しだけ時を動かします」
「ちょまっ!」
 大女神様が杖で床を突くと、時が動き出す。
「うおっとと!」
「何だよ! ヤガミのオッサン瞬間移動出来んの? ってか身体は大丈夫か?」
 そうか! こいつら全員止まってて俺が動いてたのか……身体を擦りながら違和感が無い事を確認すると。
「あっあぁ大丈夫みたいだ……多分」
 改めてノエ以外の6人を見渡すと……見えるなそれぞれの霊気が、ちょっと試すか?
「ノエちょっと見ててくれないかな」
「いいですよ!」
 神気を軽く解放して見た
「アマネさんだっけ? 何か感じる?」
「いえ邪気の様な物は感じられませんが……」
「他には? わかる人! 挙手!」
 全員が何か探っているようだが……誰も手を挙げてくれないのがちょっと悲しい、もうちょい出すか。
「ふん!」
 すぐに手を挙げるリーダーのアマネと盾役の誰だっけ? 男だった。
「ノエ様以外の神気を感じますが……まさか?」
「僕もです、でもこれ」

『ここまでです』
 再び時は止まる、大女神が窓際のソファーに座っていた。3人分のお茶を静止した時間の中で淹れてテーブルに置くと。
「やはり半神半人です健さんは、人でもない神でもない祀ろわぬ存在」
 お茶を飲みながら大女神様に尋ねる
「やっぱり存在していない方が良いですよね?」
 何だか達観してしまった、良く分からない存在何てさ居ないほうが良いしきっと。
「ですが、先程一時的に時を動かしましたがヒエとヤエに変化はありませんでした」
「そしてその間に一度天界に戻り調べてまいりました」
 すげぇな大女神様……なんでノエがドヤ顔してんだ?
「なんと言えばいいのか……健さんは後、五十年ほど過ぎると……その……」
「消滅ですか? 別に良いですよ、それだけあればヤエと子供を作って成人させることが出来るんで」
「転神します」
「はっ?」
「やったですね! ヤガミさん!」
「てんしん? 料理ですか?」
 パッシーン! 大女神様から平手打ちされたかとうとう……結構痛いちょっと涙目だ。
「そう云うボケは要りません! 人間から転じて神になるという事です!」
「へぇ~何でそんなに感情的になるんですか?」
 話が飛躍しすぎて俺の方が落ち着いてきた。
「神となればそれもいいでしょう、ですが健さんは半神半人、一歩間違えれば魔神になる危険も有るのです!」
「どっちもヤダなぁ~」
 
 『ビキィッ!?』

 その一言で大女神様が遂にキレた、見た目麗しい美人ほど怒ったときの顔が怖い。ノエが俺の後ろに隠れた、お前のせいなんだけどな多分。
「私が! どれだけ遡って調べて健さんとヤエ達の暮らしまで確認して! 天界迄行ったと思ってるんですか!!」
 マジで怖い、海辺でデートした仲だと思ってたのに。
「すみません、ほらお前もだノエ! 土下座して!」
 平身低頭土下座して床に頭を擦り付ける。
「とにかく! 健さんは一歩間違えれば天界の敵となりうる存在になると! ここまでは良いですね! あと顔を上げる!」
「は……はぃ……」
 顔は上げるが目を逸らす、だって怖いもん。
「貴方という存在は本当に……! ヒエとヤエも巻き込むことになるのですよ! 最悪の場合! ヒエとヤエと戦えますか!?」
 出来るわけがない……それなら自らを消滅させたほうが良い。
「それなら貴方の為ならきっと天界にすら叛く可能性だってありうる! それが彼女達の幸せですか!?」
 そんな事をさせられない……それなら自らを消滅させたほうが良い。
「まさか……新たなる神の誕生を……まして人間から転神何て! どれだけ重大問題か! 正直な話、既に私の手に負えない問題です!」
 実感が湧かない……つまり俺は疫病『神』なんつって……

 パン! パッシーン!
 
 いったーい!! 流石にこっちもキレた。
「往復ビンタはないでしょうが! こっちだって好きでそんな存在になってないんですよ!」
「どうしてっ! 私迄こんなにも心が乱されているのに! よくもそんなに減らず口をたたけるものです!」
「だいたいコレはそもそもノエが発動させたんじゃないですか!」
「でもそうしないとヤガミさん消えてたよ?」
「じゃあ何か? 俺は偶然出会った幼女神の……」
 それ以上は言うのをやめた、ノエは良かれと思って俺を助けてくれたのだろうから……子供相手に八つ当たりみたいで……
「ヤガミさんならだいじょうぶです!」
 精一杯励ましてくれて……
「「ありがとうノエ」」
 大女神様と声が重なった、お互い少しだけ冷静になった様だ。少し気まずい、あれ? どんな関係だっけ俺と大女神様って、こんなに喧嘩するような仲じゃないよな?
「とっ取り敢えず健さん、これからは私も近くで見守ります! 良いですね!」
「覗きですか?」

 パーン!!
 今日1番の平手打ちをくらい、時が動き出し俺は派手にぶっ飛んだ。
「どうしたヤガミのオッサン! 今度は急にぶっ飛んで敵か!?」
「だっ大丈夫!」
 涙目で親指を立てる。
「さぁ皆で温泉いくです!!」
「お前等も行くの風呂?」
「おう! 息抜きだな! ヤガミのオッサンもどうだ?」
「勘弁してくれ部屋の風呂にするよ、じゃあなノエ様」
 そう言って頬を擦りながら自分の部屋に戻るとソファーに横になる、どっと疲れた……何か1か月位働いた感じがする。大女神様との時間って実は凄い時間経過してたりして……もう良いやテレビでも見るか、温泉旅行に来たはずなのにやることは変わんないな~。18時に夕飯って言ってたっけ……ゲーム機持ってくれば良かった。現在17時、女子組は誰も帰ってこない……取り敢えず全裸でスイートルームの窓際に立って眼下に広がる景色をみた、妙な優越感と満足感に心が満たされて俺は部屋風呂へと向かった。
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