27 / 28
27
しおりを挟む魔幻とくしの動きを抑える。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説



生徒会長の包囲
きの
BL
昔から自分に自信が持てず、ネガティブな考えばっかりしてしまう高校生、朔太。
何もかもだめだめで、どんくさい朔太を周りは遠巻きにするが、彼の幼なじみである生徒会長だけは、見放したりなんかしなくて______。
不定期更新です。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

BL短編まとめ(甘い話多め)
白井由貴
BL
BLの短編詰め合わせです。
主に10000文字前後のお話が多いです。
性的描写がないものもあればがっつりあるものもあります。
性的描写のある話につきましては、各話「あらすじ」をご覧ください。
(※性的描写のないものは各話上部に書いています)
もしかすると続きを書くお話もあるかもしれません。
その場合、あまりにも長くなってしまいそうな時は別作品として分離する可能性がありますので、その点ご留意いただければと思います。
【不定期更新】
※性的描写を含む話には「※」がついています。
※投稿日時が前後する場合もあります。
※一部の話のみムーンライトノベルズ様にも掲載しています。
■追記
R6.02.22 話が多くなってきたので、タイトル別にしました。タイトル横に「※」があるものは性的描写が含まれるお話です。(性的描写が含まれる話にもこれまで通り「※」がつきます)
誤字脱字がありましたらご報告頂けると助かります。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる