月の兎 ―真夜中のラブレター

19

　ちょっと……と引き気味な卯夏を抱き寄せて、くちびるをちゅうちゅうと吸い、くちの中への領有権を得る。敏感になった口内を舐めるだけで、うめいてびくびくする卯夏がかわいい。

　当たり前みたいに手を服の中に忍ばせた。

　ぺたり。汗ばんだ肌が、指に吸いつく。それだけで僕は、さっき卯夏のくちのなかで達したことなんて忘れて、性器をふくらませた。

　こんなふうにそばにいて、がまんすることなんて無理だ。それどころかいつだって繋がりたくて、カケラの冷静さもなくしてしまったみたいだった。


　クーラーを強くしてセックスしてさいご、卯夏は気を失うみたいに寝てしまった。卯夏は仕事でつかれているのに、僕はちっとも加減ができなくて、これじゃだめだと落ち込む。
　けれども、そうやって落ち込むのはきのうもおとといもで、ほとんど毎日の日課のようになってしまっている。

　卯夏も受け入れるし、それどころか積極的に欲しがるから、よけいに歯止めが効かない。卯夏のからだは麻薬みたいだった。
　視線で誘われるともう、抱くことしか考えられなくなる。夜だけでもこうなのに、ときには朝まで誘われて、遅刻ぎりぎりで飛びだすこともある。

　世の中のひとはみんなこんなふうなんだろうか。付き合い始めはみんな、こんなに理性がなくなってがまんが利かないものなんだろうか。

　こんなふうにしていたら、いつか卯夏を壊してしまうかもしれない。僕は、自分がこわかった。