月の兎 ―真夜中のラブレター

ふうか

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 もう夕方の時間だというのに、ただ居るだけで汗のふきでる部屋のクーラーをつけて、冷蔵庫から麦茶を取り出す。たっぷりの氷と一緒にコップに注いで、僕と卯夏のぶんを調理台に置いた。

 すぐにでもシャワーを浴びたいけれど、狭い浴室に僕が入っていけばいやがることは一目瞭然で、とりあえず蛇口から流れるぬくい水で顔をあらう。ついでに首まわりもぬらしてぬぐい、すこしだけさっぱりする。

 部屋の真ん中の小さなちゃぶ台に、買ってきたピザを置いた。いまは暑くて食べる気にならないけれど、若い胃袋はきっと、チーズのにおいを感じたら、盛大に腹の虫を鳴らすだろう。

 そうしているうちに、汗を流した卯夏が浴室から出てくる。それから念入りに歯をみがく。

「これからごはんなのに、歯みがきは後でよくない?」

「よくない。玄も歯、みがいて」

「えー……、めんどくさいよ」

「玄」

 本気で怒っている声音に「へーい」と返事をして歯ブラシを手にとった。
 からだをすみずみまできれいにして、それでようやく安心したのか、キスをしかけた僕に卯夏が応えた。軽くなんどかキスをして、ぐぅぅ〰️〰️とお腹がなる。

「食べよっか?」

 どちらともなくそう言って、僕らはようやくピザにありついた。
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