月の兎 ―真夜中のラブレター

ふうか

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 ◇

 大学二年生の僕と、卯夏は中学までの同級生だ。小学校までの卯夏は、落ち着きがなくて勉強は苦手だったけれど、普通のこどもだった。僕らは家がちかいおさななじみで、小学生のときは学校へ行くのも一緒なら、学校でも、帰ってきてからもずっと一緒に遊んで過ごしていた。そんなふうにして、卯夏とはずっと一緒にいるんだと思っていた。

 それがすこしずつくるってきたのは、中学に入ったころだ。それまでも勉強の苦手だった卯夏は、中学の授業はまったくわからなかったらしい。僕だったら授業にでているだけで平均点が取れてしまいそうなテストでも、卯夏は赤点になってしまう。すべてのテストで赤点も当たり前、苦手な教科は一桁。

 あまりの出来に勉強を教えたこともあるけれど、わからないことがわからない。そもそも問題の意味もわからないというありさま。当然それで学校が楽しいわけもなく、同じように学校からはみ出している仲間とつるみだした。

 学校の枠をとってしまえば、年齢も場所も関係ない。見た目もよく人すきのする卯夏はみるみる学校以外に居場所をつくって、良くないうわさのある仲間とすごすようになった。かろうじて高校にも入学したけれど、一ヶ月で謹慎になり、そのまま退学してしまった。

 そのころには僕は近くの進学校に入学して、部活に勉強に、学校のことで手一杯で卯夏とすごすこともほとんどなくなっていた。けれど卯夏のことを忘れていたわけじゃない。夜中、バイクで仲間に家まで送ってもらう卯夏のすがたを、部屋からながめては、どうしてああなっちゃったんだろう、と考えた。
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