5 / 28
5
しおりを挟む
◇
大学二年生の僕と、卯夏は中学までの同級生だ。小学校までの卯夏は、落ち着きがなくて勉強は苦手だったけれど、普通のこどもだった。僕らは家がちかいおさななじみで、小学生のときは学校へ行くのも一緒なら、学校でも、帰ってきてからもずっと一緒に遊んで過ごしていた。そんなふうにして、卯夏とはずっと一緒にいるんだと思っていた。
それがすこしずつくるってきたのは、中学に入ったころだ。それまでも勉強の苦手だった卯夏は、中学の授業はまったくわからなかったらしい。僕だったら授業にでているだけで平均点が取れてしまいそうなテストでも、卯夏は赤点になってしまう。すべてのテストで赤点も当たり前、苦手な教科は一桁。
あまりの出来に勉強を教えたこともあるけれど、わからないことがわからない。そもそも問題の意味もわからないというありさま。当然それで学校が楽しいわけもなく、同じように学校からはみ出している仲間とつるみだした。
学校の枠をとってしまえば、年齢も場所も関係ない。見た目もよく人すきのする卯夏はみるみる学校以外に居場所をつくって、良くないうわさのある仲間とすごすようになった。かろうじて高校にも入学したけれど、一ヶ月で謹慎になり、そのまま退学してしまった。
そのころには僕は近くの進学校に入学して、部活に勉強に、学校のことで手一杯で卯夏とすごすこともほとんどなくなっていた。けれど卯夏のことを忘れていたわけじゃない。夜中、バイクで仲間に家まで送ってもらう卯夏のすがたを、部屋からながめては、どうしてああなっちゃったんだろう、と考えた。
大学二年生の僕と、卯夏は中学までの同級生だ。小学校までの卯夏は、落ち着きがなくて勉強は苦手だったけれど、普通のこどもだった。僕らは家がちかいおさななじみで、小学生のときは学校へ行くのも一緒なら、学校でも、帰ってきてからもずっと一緒に遊んで過ごしていた。そんなふうにして、卯夏とはずっと一緒にいるんだと思っていた。
それがすこしずつくるってきたのは、中学に入ったころだ。それまでも勉強の苦手だった卯夏は、中学の授業はまったくわからなかったらしい。僕だったら授業にでているだけで平均点が取れてしまいそうなテストでも、卯夏は赤点になってしまう。すべてのテストで赤点も当たり前、苦手な教科は一桁。
あまりの出来に勉強を教えたこともあるけれど、わからないことがわからない。そもそも問題の意味もわからないというありさま。当然それで学校が楽しいわけもなく、同じように学校からはみ出している仲間とつるみだした。
学校の枠をとってしまえば、年齢も場所も関係ない。見た目もよく人すきのする卯夏はみるみる学校以外に居場所をつくって、良くないうわさのある仲間とすごすようになった。かろうじて高校にも入学したけれど、一ヶ月で謹慎になり、そのまま退学してしまった。
そのころには僕は近くの進学校に入学して、部活に勉強に、学校のことで手一杯で卯夏とすごすこともほとんどなくなっていた。けれど卯夏のことを忘れていたわけじゃない。夜中、バイクで仲間に家まで送ってもらう卯夏のすがたを、部屋からながめては、どうしてああなっちゃったんだろう、と考えた。
10
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

生徒会長の包囲
きの
BL
昔から自分に自信が持てず、ネガティブな考えばっかりしてしまう高校生、朔太。
何もかもだめだめで、どんくさい朔太を周りは遠巻きにするが、彼の幼なじみである生徒会長だけは、見放したりなんかしなくて______。
不定期更新です。


百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる