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カルピスサワー 35
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頭の中で火花が散る。
小さく身体が震えて、射精こそしなかったけれど、小さな頂点を見る。
「ぁ、あー……」
ピンと張り詰めた体から一瞬だけ力が抜けて、けれど挿し込まれたままの凶器がズクと動いて、すぐにピクリと反応した。
「入れただけで少しイキました?」
背筋をするりと撫でて聞かれる。その感触を「ぅ」と小さく声を逃して耐えるだけで、とても返事なんてできない。
「ねぇ、深いとこ、好きですか?」
くぽくぽとあともう少しという場所を亀頭の先端でつつかれて、その苦しさに背筋を震わせた。
「まだ、つらい……」
「ん…、すみません。ゆっくり、しますね?」
ゆっくりと引き抜かれて、辛かったはずなのにその喪失感に「あぁ……」と切ない声が上がる。
「加藤さーん……、ゆっくりって言ったの、加藤さんですからね?」
そう言いながら、慣らすようにゆるゆると浅い場所を抜き挿しされて、その気持ち良さとの物足りなさに恍惚とする。
俺は返事を放棄して、ただその快感に揺さぶられた。
初めてネコした時から気持ち良くはあったんだけど、俺の身体はあの時からずっと新境地を開拓しつづけている。……っていうか、いつまでたっても限界がなくてちょっと怖い。
昔よく通ったバーのママの『アナルはハマったら抜けらんないわよ』って言葉を思い出す。そう言えば、若かった俺はその言葉のおかげで『絶対ネコはやらない』なんて思ったような気がする。
……今更ハマっちゃったわけだが。
まあでも、今の状況はあながち間違いでも失敗でもない、なんて思っている。体力と性欲の差もあるけど、それなりに色々やり切ってきて、新境地を開くのもいいんじゃないかとか。
まるで、老後の趣味みたいな言い草ではあるけど、歳を重ねたから諦めたものもあれば、手放すことができたものもある。今まで頑なだったものを手放したことで、手に入れたものもある。
……例えばこの抱擁だとか、熱だとか。甘えた時に嬉しそうにしてくれる笑顔だとか、グズグズに溶かされたことを理由に素直になれることだとか。そこから得られる幸福感、とか。
言うなれば俺は若い頃から頑なに守っていた矜持を手放すことによって、この快感と幸福感を手に入れたわけで。──いいことづくめじゃないか? むしろ良すぎてこの後なにかトンデモない穴があるんじゃないかって心配になる程。
淡々と浅く抜き挿しされていたはずが、いつの間にか中も緩んで段々と深くまで受け入れてきている。深くなる程、ビリビリと脳まで届くような快感が時折走り抜けて、何かを考える余裕がなくなってくる。
俺の様子を伺うように、一度だけタンと奥まで挿し込まれて「んぁっ」と低い声が出た。指がこたつの天板を掻く。ビクリと震えた身体は奥深くまで潜り込まれることを期待していて、太ももがヒクヒクと震えた。
「きもちい?」
宮下はピタリと止まって、もどかしさに悶える俺を見下ろす。その視線にすら感じて、ゾクゾクと快感が背中を走った。こらえらなくて、腰を抑える手を押して、ゆる、と腰が動く。
動いてくれたら、もっといいところに当たるのに、動いてくれたら、イけるのに……。もどかしくて焦れて身体が揺れる。
「かとうさん、どう? きもちいい?」
宮下はどうしても俺の口から言わせたいらしい。
「う…ごけよ……、止まんな」
「止まるとダメ? 動いて欲しいんですか?」
「もー…、宮下、今日ほんとに意地悪…、動けって、このまんまじゃ、イケない」
「動いた方がイイ? でも、加藤さんのナカ、動いてます。このままでも、イケるんじゃないですかね…?」
そう指摘されると胎の中に意識が向く。確かに、胎の中がビクリビクリと宮下を欲しがっているのがわかった。……でも、それだけじゃイケない。
「ばか、無理……。なぁ、欲しがってるの、わかってるんだろ?」
もう少し、奥まで欲しくて腰を押し付けようとするけれど、尻を掴んだ手がそれを阻む。
──宮下、今日はなんでそんなに焦らすんだよ!
なんかもう、よく分からなくて堪らなくなる。涙腺が決壊しそうになる。
「なぁ、宮下、動いてって……」
湿った声でねだる。
ピク、と宮下の性器が反応して入ったまま大きくなった。
「せっ…かく、ゆっくりしようと思ったのに……、加藤さん、ズルい。煽んないで下さい」
「ぁ、……煽ってなんか、」
反論はするけども、待ち続けた中が小さな刺激にも喜んできゅんと宮下の性器を締め付ける。
「泣きそうな声とか、反則ですから。そんなんされたら、動かなくても俺のが先にイっちゃいそう……っ」
吐息と一緒に吐き出される言葉に反応して、またググッと胎の中がうねるのがわかった。
「……ん、はっ…」
じん……と下半身が痺れて、鈴口から体液がとろりと垂れる。
「加藤さんっ…! 待ってって!! そんなに締めないで……」
「そんな、言われても……っ」
締めたくて締めてるんじゃない。身体が勝手に……。
尻を掴んだ宮下の手にグッと力が入り、「ぅっ」と宮下が快感に耐える声を出す。
……その、声だけでもヤバいんだけど。
それでも、必死に身体の力を抜いた。
「っ…はっ……」
波を超えたらしい宮下が息を吐きながらゆるゆると腰を引いて、俺の中から抜けていく。締め付けていたものが無くなって、安堵か落胆かわからないけれど、名残惜し気に胎の中がうごめく。
「いつも、何回もすると最後は辛そうだから……、今日は一回にしようかと思って、ゆっくりしてたんです」
「だったら、変に、煽るなよっ……」
「煽ったのは加藤さんだと思うけど。……だから、ちょっと、休憩」
「……休憩って、入れたまんまか」
「ゆっくり……、ゆっくりしますから。加藤さんも煽らないでくださいね。我慢できなくなっちゃいますから」
「最初から、煽ってないだろ…。…っ」
「そういう、声とか」
「無茶、言うな。……だったら、動かすなよ」
「ゆっくりだから、大丈夫でしょう? ゆっくり感じてて下さい」
って、そんなこと言ったって、ずるずると引き抜かれる感触と、ぬるぬると入って来る感触と……。叫ぶような激しい快感はないけれど、じわじわと内側から崩されていくみたいで、ぐずぐずと蕩けていくのが止められない。
小さく身体が震えて、射精こそしなかったけれど、小さな頂点を見る。
「ぁ、あー……」
ピンと張り詰めた体から一瞬だけ力が抜けて、けれど挿し込まれたままの凶器がズクと動いて、すぐにピクリと反応した。
「入れただけで少しイキました?」
背筋をするりと撫でて聞かれる。その感触を「ぅ」と小さく声を逃して耐えるだけで、とても返事なんてできない。
「ねぇ、深いとこ、好きですか?」
くぽくぽとあともう少しという場所を亀頭の先端でつつかれて、その苦しさに背筋を震わせた。
「まだ、つらい……」
「ん…、すみません。ゆっくり、しますね?」
ゆっくりと引き抜かれて、辛かったはずなのにその喪失感に「あぁ……」と切ない声が上がる。
「加藤さーん……、ゆっくりって言ったの、加藤さんですからね?」
そう言いながら、慣らすようにゆるゆると浅い場所を抜き挿しされて、その気持ち良さとの物足りなさに恍惚とする。
俺は返事を放棄して、ただその快感に揺さぶられた。
初めてネコした時から気持ち良くはあったんだけど、俺の身体はあの時からずっと新境地を開拓しつづけている。……っていうか、いつまでたっても限界がなくてちょっと怖い。
昔よく通ったバーのママの『アナルはハマったら抜けらんないわよ』って言葉を思い出す。そう言えば、若かった俺はその言葉のおかげで『絶対ネコはやらない』なんて思ったような気がする。
……今更ハマっちゃったわけだが。
まあでも、今の状況はあながち間違いでも失敗でもない、なんて思っている。体力と性欲の差もあるけど、それなりに色々やり切ってきて、新境地を開くのもいいんじゃないかとか。
まるで、老後の趣味みたいな言い草ではあるけど、歳を重ねたから諦めたものもあれば、手放すことができたものもある。今まで頑なだったものを手放したことで、手に入れたものもある。
……例えばこの抱擁だとか、熱だとか。甘えた時に嬉しそうにしてくれる笑顔だとか、グズグズに溶かされたことを理由に素直になれることだとか。そこから得られる幸福感、とか。
言うなれば俺は若い頃から頑なに守っていた矜持を手放すことによって、この快感と幸福感を手に入れたわけで。──いいことづくめじゃないか? むしろ良すぎてこの後なにかトンデモない穴があるんじゃないかって心配になる程。
淡々と浅く抜き挿しされていたはずが、いつの間にか中も緩んで段々と深くまで受け入れてきている。深くなる程、ビリビリと脳まで届くような快感が時折走り抜けて、何かを考える余裕がなくなってくる。
俺の様子を伺うように、一度だけタンと奥まで挿し込まれて「んぁっ」と低い声が出た。指がこたつの天板を掻く。ビクリと震えた身体は奥深くまで潜り込まれることを期待していて、太ももがヒクヒクと震えた。
「きもちい?」
宮下はピタリと止まって、もどかしさに悶える俺を見下ろす。その視線にすら感じて、ゾクゾクと快感が背中を走った。こらえらなくて、腰を抑える手を押して、ゆる、と腰が動く。
動いてくれたら、もっといいところに当たるのに、動いてくれたら、イけるのに……。もどかしくて焦れて身体が揺れる。
「かとうさん、どう? きもちいい?」
宮下はどうしても俺の口から言わせたいらしい。
「う…ごけよ……、止まんな」
「止まるとダメ? 動いて欲しいんですか?」
「もー…、宮下、今日ほんとに意地悪…、動けって、このまんまじゃ、イケない」
「動いた方がイイ? でも、加藤さんのナカ、動いてます。このままでも、イケるんじゃないですかね…?」
そう指摘されると胎の中に意識が向く。確かに、胎の中がビクリビクリと宮下を欲しがっているのがわかった。……でも、それだけじゃイケない。
「ばか、無理……。なぁ、欲しがってるの、わかってるんだろ?」
もう少し、奥まで欲しくて腰を押し付けようとするけれど、尻を掴んだ手がそれを阻む。
──宮下、今日はなんでそんなに焦らすんだよ!
なんかもう、よく分からなくて堪らなくなる。涙腺が決壊しそうになる。
「なぁ、宮下、動いてって……」
湿った声でねだる。
ピク、と宮下の性器が反応して入ったまま大きくなった。
「せっ…かく、ゆっくりしようと思ったのに……、加藤さん、ズルい。煽んないで下さい」
「ぁ、……煽ってなんか、」
反論はするけども、待ち続けた中が小さな刺激にも喜んできゅんと宮下の性器を締め付ける。
「泣きそうな声とか、反則ですから。そんなんされたら、動かなくても俺のが先にイっちゃいそう……っ」
吐息と一緒に吐き出される言葉に反応して、またググッと胎の中がうねるのがわかった。
「……ん、はっ…」
じん……と下半身が痺れて、鈴口から体液がとろりと垂れる。
「加藤さんっ…! 待ってって!! そんなに締めないで……」
「そんな、言われても……っ」
締めたくて締めてるんじゃない。身体が勝手に……。
尻を掴んだ宮下の手にグッと力が入り、「ぅっ」と宮下が快感に耐える声を出す。
……その、声だけでもヤバいんだけど。
それでも、必死に身体の力を抜いた。
「っ…はっ……」
波を超えたらしい宮下が息を吐きながらゆるゆると腰を引いて、俺の中から抜けていく。締め付けていたものが無くなって、安堵か落胆かわからないけれど、名残惜し気に胎の中がうごめく。
「いつも、何回もすると最後は辛そうだから……、今日は一回にしようかと思って、ゆっくりしてたんです」
「だったら、変に、煽るなよっ……」
「煽ったのは加藤さんだと思うけど。……だから、ちょっと、休憩」
「……休憩って、入れたまんまか」
「ゆっくり……、ゆっくりしますから。加藤さんも煽らないでくださいね。我慢できなくなっちゃいますから」
「最初から、煽ってないだろ…。…っ」
「そういう、声とか」
「無茶、言うな。……だったら、動かすなよ」
「ゆっくりだから、大丈夫でしょう? ゆっくり感じてて下さい」
って、そんなこと言ったって、ずるずると引き抜かれる感触と、ぬるぬると入って来る感触と……。叫ぶような激しい快感はないけれど、じわじわと内側から崩されていくみたいで、ぐずぐずと蕩けていくのが止められない。
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