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ギュっと抱き締めたまま鼻をすする白狼に玄兎が問いかけた。
「泣いてんの?」
「泣いてない」
反射的に答えて、これじゃ余計に泣いてるみたいだと思う。……実際、泣いているわけだけど、認めるのはなんか悔しい。
「そっか」
思いがけず優しい声で呟いた玄兎が、そっと白狼の頭を撫でた。
白狼はますます、涙が止まらなくて困る。
「……白狼の家も教えろよ。ばあ様のこと知らせたかったのに、どうしたらいいかわかんなくて結構困った」
「うん」
「白狼の家見てみたい」
「うん」
「泊まりにも行ってやる。そしたら、寂しくないだろ?」
「……うん」
寂しいわけじゃないんだけど、と思いながら肯定する。寂しいよりも、玄兎といられるのが嬉しい。でも、それを口にするのはあまりに恥ずかしすぎる。
ああだけど、寂しいのかも知れない。
でなければ、こんなに恋しいなんておかしい。会いに来てくれる、それだけで泣きたくなるなんて……。
「あのさぁ……、白狼、でっかい割にはよく泣くし、結構甘えん坊だよな」
そんな事ない、と言いたいのに、言ったら涙声がバレてしまう。
大きな白狼の身体を、小さな玄兎が抱きしめる。
「しょうがないから、俺が甘やかしてやる」
小さな、やさしい手のひらが、白狼の頭を撫でた。
「泣いてんの?」
「泣いてない」
反射的に答えて、これじゃ余計に泣いてるみたいだと思う。……実際、泣いているわけだけど、認めるのはなんか悔しい。
「そっか」
思いがけず優しい声で呟いた玄兎が、そっと白狼の頭を撫でた。
白狼はますます、涙が止まらなくて困る。
「……白狼の家も教えろよ。ばあ様のこと知らせたかったのに、どうしたらいいかわかんなくて結構困った」
「うん」
「白狼の家見てみたい」
「うん」
「泊まりにも行ってやる。そしたら、寂しくないだろ?」
「……うん」
寂しいわけじゃないんだけど、と思いながら肯定する。寂しいよりも、玄兎といられるのが嬉しい。でも、それを口にするのはあまりに恥ずかしすぎる。
ああだけど、寂しいのかも知れない。
でなければ、こんなに恋しいなんておかしい。会いに来てくれる、それだけで泣きたくなるなんて……。
「あのさぁ……、白狼、でっかい割にはよく泣くし、結構甘えん坊だよな」
そんな事ない、と言いたいのに、言ったら涙声がバレてしまう。
大きな白狼の身体を、小さな玄兎が抱きしめる。
「しょうがないから、俺が甘やかしてやる」
小さな、やさしい手のひらが、白狼の頭を撫でた。
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