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「あの、さ……」
「ありがとう」
言いづらそうな玄兎と覚悟を決めた白狼の言葉が重なる。白狼は玄兎の言葉の続きを待ち、玄兎は白狼の言葉を促した。
「何?」
「お前が先に言え」
「……ありがとう、って言ったんだ」
「何だよ、ありがとうって。改まって礼をされるような事した覚えないぞ」
「俺と恐がらずに話して一緒にいるから、……」
「何言ってんだ? そんなのに礼を言われたら、俺もお前に言わなきゃいけなくなるじゃねーか、俺は礼なんか言わないぞ」
「それはそうだけど……」
あまりに勝気で負けず嫌いな玄兎らしい理屈に困って笑う。
「でも、チーズとか貰ったし」
「あ、そっか、それはありがとうだな。よし、礼を言え! って言っても元々俺のじゃないし、ばあ様に直接言えよ。そっちの方が喜ぶし、ばあさまが喜んだ方が俺も嬉しい」
怒っていた事なんて忘れたようにコロリと笑う玄兎に、白狼もようやく緊張が解けてくる。
「いいのか、俺なんかに合わせても。大事なばあ様なんだろう?」
「いいに決まってるだろ。そもそもばあ様が連れて来いって言ってるし」
「そうなのか?」
「でなきゃ誘わねーよ。お前、もしかして自分が怖がられるとか思ってんのか? ヤダヤダ、これだから自意識過剰は……。ばあ様が白狼なんか怖がるわけないだろ」
「だけど……」
「狼の知り合いはお前だけじゃないからな。元々、死んだじい様の親友が狼だったから、あんな所に住んだんだってさ。だからお前なんか怖いわけがない。俺だってお前が怖くないしな」
玄兎は屈託なくコロコロと笑い、白狼はつられて笑顔になりながら、『怖くない』と言われた事が嬉しくてうっかり涙腺がゆるみそうになった。
「で、お前の話はそれだけか?」
いつも見下ろしている相手に見下ろされて聞かれ、見上げるっていうのは、それだけで圧迫感を感じるものなんだと気付く。
「ありがとう」
言いづらそうな玄兎と覚悟を決めた白狼の言葉が重なる。白狼は玄兎の言葉の続きを待ち、玄兎は白狼の言葉を促した。
「何?」
「お前が先に言え」
「……ありがとう、って言ったんだ」
「何だよ、ありがとうって。改まって礼をされるような事した覚えないぞ」
「俺と恐がらずに話して一緒にいるから、……」
「何言ってんだ? そんなのに礼を言われたら、俺もお前に言わなきゃいけなくなるじゃねーか、俺は礼なんか言わないぞ」
「それはそうだけど……」
あまりに勝気で負けず嫌いな玄兎らしい理屈に困って笑う。
「でも、チーズとか貰ったし」
「あ、そっか、それはありがとうだな。よし、礼を言え! って言っても元々俺のじゃないし、ばあ様に直接言えよ。そっちの方が喜ぶし、ばあさまが喜んだ方が俺も嬉しい」
怒っていた事なんて忘れたようにコロリと笑う玄兎に、白狼もようやく緊張が解けてくる。
「いいのか、俺なんかに合わせても。大事なばあ様なんだろう?」
「いいに決まってるだろ。そもそもばあ様が連れて来いって言ってるし」
「そうなのか?」
「でなきゃ誘わねーよ。お前、もしかして自分が怖がられるとか思ってんのか? ヤダヤダ、これだから自意識過剰は……。ばあ様が白狼なんか怖がるわけないだろ」
「だけど……」
「狼の知り合いはお前だけじゃないからな。元々、死んだじい様の親友が狼だったから、あんな所に住んだんだってさ。だからお前なんか怖いわけがない。俺だってお前が怖くないしな」
玄兎は屈託なくコロコロと笑い、白狼はつられて笑顔になりながら、『怖くない』と言われた事が嬉しくてうっかり涙腺がゆるみそうになった。
「で、お前の話はそれだけか?」
いつも見下ろしている相手に見下ろされて聞かれ、見上げるっていうのは、それだけで圧迫感を感じるものなんだと気付く。
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