11 / 12
春の11ページ
しおりを挟む
それから月日が経ち、夏休みに入ろうとしていた。入学してからこれまでの間に、今までは常に4人で行動を共にしていたが、環境が変わればそれだけ周りの人間関係にも影響を及ぼす。それは、集団行動を共にする学校にも起こりうることである。
彼らはこれまでとは違う友達ができ、自然とバラバラになるようになっていたのだ。それは同時に、周りの人間が声をかけやすい環境ができるということ。つまり、4人は既に学校中に知れ渡るほどの、美男美女集団であり、そんな4人をほっておく訳もなく、常に告白やラブレターを貰う日々であった。
こういうことが面倒な春斗はと言うと・・・
屋上に逃げ込んでいた。しかし、突如扉が開き春斗は隠れ場所を探してキョロキョロと辺りを見回した。
その時・・・
「おい、何してんの?」
聞き覚えのある声に春斗が振り向くと、そこに居たのは玲だったのだ。
「玲じゃん。お前も逃げてきたのかよ・・・。」
その問いに答える玲。
「やっぱり春斗もここまで逃げてきたの?お互い大変だね?」
玲がいつものように笑顔で答える。
「けど、どうしてだろうね?いきなりこんなにモテるなんて・・・中学の頃は考えらんないよ」
玲の不思議そうな顔を見て春斗がため息をついた。
「よく思い出してみろよ、俺ら中学の頃は1年からほとんど4人でいただろ?けど、今の俺らはどうだ?4人でいるどころか皆バラバラになっちまっただろ?だからその頃より声掛けやすくなったってことだろ?」
玲がなるほどと感心していた。
「それじゃー、由紀も薫も同じような感じなのかな?」
玲がわざとなのか天然なのか分からない雰囲気で尋ねた。
「そうなんじゃねーの?てか、んなもん知るかよ・・・」
玲は春斗が拗ねていることに気が付いた。
「へ~、そっかー。由紀モテるもんねー、もしかするともう付き合ってるかもね?」
玲がニヤリと笑って春斗を見た。
「ば、ばか!あの由紀が?ないない、絶対ねーよ!」
少し考えて春斗が答えるが、玲がそれに対して話を続ける。
「でもさ、多分近すぎて見えなくなってるんじゃない?ほんとはさ、由紀のこと好きなんじゃないの?あの時はさ、謝るタイミングとか色々逃しちゃって言えなかったけどさ。ごめんね?ほんとは春斗が由紀を好きなの知ってたんだ~。でもさ、俺も由紀が好きなんだよね!」
その言葉に春斗が驚きながら玲を見る。
「でもね、ふられちゃった~」
それを聞いて春斗が安心する。しかし、玲がそれを見逃すはずはなく。
「ほらね?ほんとに素直じゃないよね~2人ともさ」
春斗が玲の言葉に疑問を抱く。
「2人?それってどういうことだよ!?まさか、由紀も?」
答えを言わずに玲がその場を離れる。
「さてと~、そろそろ教室戻らないとな~。」
「おい!ちょっと待てって!まだ話は終わってねーだろ!」
玲は逃げるように走り出した。春斗もそれを追うように走り始める。
「待てよ玲!どういうことだよ!!」
「さーねー、本人に聞けばいいじゃーん」
「んなもんできるかよ!てか、本人?は?何言ってんだよ!」
玲が曲がり角を曲がる所まで遠目で追いかける春斗だったが、春斗が玲が曲がったところに差し掛かった時、玲の姿はどこにもなかった。
玲を探す春斗だったが突然教室の扉が開き誰かとぶつかった。慌てて謝る春斗。春斗が頭をあげると、そこには由紀が立っていた。
「由紀・・・」
久しぶりにお互いに顔を合わせるも、今までは意識して話したことなどなく何を話せばいいか分からず、2人の間には気まずい空気が流れていた。
「あ、そうだ!玲見なかった?」
春斗が悩んだ末出した会話だったが、ここであることを思い出す。
(何やってんだよ、これじゃあん時と何一つ変わらねーじゃねーかよ!もう、十分過ぎるほど後悔しただろ!?いつまでも逃げ道に使ってんじゃねーよ!親友は言ったんだ、その上であいつは俺の事を応援してくれてんだぞ!いつまでもうじうじしてんじゃねーよ!)
春斗が心の中で葛藤していた。
「玲?ごめん、私見てないや・・・。」
「ありがとう!てか、なんで由紀はこんなとこいんだよ?」
その質問に由紀が指を上に向けて言った。
「図書委員だから」
そう言って由紀が振り返った時・・・。後ろから強く抱きしめられた。由紀が顔を赤くして言った。
「ちょ、ちょっと何してんの?ここ、廊下だよ?誰かに見られたらどうすんの?」
恥ずかしがる由紀に言った。
「ごめん、俺も驚いてる」
春斗が由紀を強く抱き締めた。
「ど、どうしたの?なんか、春斗らしくないね・・・」
由紀の言葉に少しだけ照れるも、いつもの調子で答えた。
「俺さ、ずっと由紀に言わなきゃなって思ってたことがある。でもさ、俺って不器用だしどうやって伝えたらいいのかも分からないし、何よりお前との関係も壊したくなかった。」
動揺を隠しきれない由紀、春斗がずっと隠してきたこととは一体なんなのか・・・
彼らはこれまでとは違う友達ができ、自然とバラバラになるようになっていたのだ。それは同時に、周りの人間が声をかけやすい環境ができるということ。つまり、4人は既に学校中に知れ渡るほどの、美男美女集団であり、そんな4人をほっておく訳もなく、常に告白やラブレターを貰う日々であった。
こういうことが面倒な春斗はと言うと・・・
屋上に逃げ込んでいた。しかし、突如扉が開き春斗は隠れ場所を探してキョロキョロと辺りを見回した。
その時・・・
「おい、何してんの?」
聞き覚えのある声に春斗が振り向くと、そこに居たのは玲だったのだ。
「玲じゃん。お前も逃げてきたのかよ・・・。」
その問いに答える玲。
「やっぱり春斗もここまで逃げてきたの?お互い大変だね?」
玲がいつものように笑顔で答える。
「けど、どうしてだろうね?いきなりこんなにモテるなんて・・・中学の頃は考えらんないよ」
玲の不思議そうな顔を見て春斗がため息をついた。
「よく思い出してみろよ、俺ら中学の頃は1年からほとんど4人でいただろ?けど、今の俺らはどうだ?4人でいるどころか皆バラバラになっちまっただろ?だからその頃より声掛けやすくなったってことだろ?」
玲がなるほどと感心していた。
「それじゃー、由紀も薫も同じような感じなのかな?」
玲がわざとなのか天然なのか分からない雰囲気で尋ねた。
「そうなんじゃねーの?てか、んなもん知るかよ・・・」
玲は春斗が拗ねていることに気が付いた。
「へ~、そっかー。由紀モテるもんねー、もしかするともう付き合ってるかもね?」
玲がニヤリと笑って春斗を見た。
「ば、ばか!あの由紀が?ないない、絶対ねーよ!」
少し考えて春斗が答えるが、玲がそれに対して話を続ける。
「でもさ、多分近すぎて見えなくなってるんじゃない?ほんとはさ、由紀のこと好きなんじゃないの?あの時はさ、謝るタイミングとか色々逃しちゃって言えなかったけどさ。ごめんね?ほんとは春斗が由紀を好きなの知ってたんだ~。でもさ、俺も由紀が好きなんだよね!」
その言葉に春斗が驚きながら玲を見る。
「でもね、ふられちゃった~」
それを聞いて春斗が安心する。しかし、玲がそれを見逃すはずはなく。
「ほらね?ほんとに素直じゃないよね~2人ともさ」
春斗が玲の言葉に疑問を抱く。
「2人?それってどういうことだよ!?まさか、由紀も?」
答えを言わずに玲がその場を離れる。
「さてと~、そろそろ教室戻らないとな~。」
「おい!ちょっと待てって!まだ話は終わってねーだろ!」
玲は逃げるように走り出した。春斗もそれを追うように走り始める。
「待てよ玲!どういうことだよ!!」
「さーねー、本人に聞けばいいじゃーん」
「んなもんできるかよ!てか、本人?は?何言ってんだよ!」
玲が曲がり角を曲がる所まで遠目で追いかける春斗だったが、春斗が玲が曲がったところに差し掛かった時、玲の姿はどこにもなかった。
玲を探す春斗だったが突然教室の扉が開き誰かとぶつかった。慌てて謝る春斗。春斗が頭をあげると、そこには由紀が立っていた。
「由紀・・・」
久しぶりにお互いに顔を合わせるも、今までは意識して話したことなどなく何を話せばいいか分からず、2人の間には気まずい空気が流れていた。
「あ、そうだ!玲見なかった?」
春斗が悩んだ末出した会話だったが、ここであることを思い出す。
(何やってんだよ、これじゃあん時と何一つ変わらねーじゃねーかよ!もう、十分過ぎるほど後悔しただろ!?いつまでも逃げ道に使ってんじゃねーよ!親友は言ったんだ、その上であいつは俺の事を応援してくれてんだぞ!いつまでもうじうじしてんじゃねーよ!)
春斗が心の中で葛藤していた。
「玲?ごめん、私見てないや・・・。」
「ありがとう!てか、なんで由紀はこんなとこいんだよ?」
その質問に由紀が指を上に向けて言った。
「図書委員だから」
そう言って由紀が振り返った時・・・。後ろから強く抱きしめられた。由紀が顔を赤くして言った。
「ちょ、ちょっと何してんの?ここ、廊下だよ?誰かに見られたらどうすんの?」
恥ずかしがる由紀に言った。
「ごめん、俺も驚いてる」
春斗が由紀を強く抱き締めた。
「ど、どうしたの?なんか、春斗らしくないね・・・」
由紀の言葉に少しだけ照れるも、いつもの調子で答えた。
「俺さ、ずっと由紀に言わなきゃなって思ってたことがある。でもさ、俺って不器用だしどうやって伝えたらいいのかも分からないし、何よりお前との関係も壊したくなかった。」
動揺を隠しきれない由紀、春斗がずっと隠してきたこととは一体なんなのか・・・
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
やくびょう神とおせっかい天使
倉希あさし
青春
一希児雄(はじめきじお)名義で執筆。疫病神と呼ばれた少女・神崎りこは、誰も不幸に見舞われないよう独り寂しく過ごしていた。ある日、同じクラスの少女・明星アイリがりこに話しかけてきた。アイリに不幸が訪れないよう避け続けるりこだったが…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです
珠宮さくら
青春
親の転勤で、引っ越しばかりをしていた佐久間凛。でも、高校の間は転校することはないと約束してくれていたこともあり、凛は友達を作って親友も作り、更には彼氏を作って青春を謳歌していた。
それが、再び転勤することになったと父に言われて現状を見つめるいいきっかけになるとは、凛自身も思ってもいなかった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者に心変わりされた私は、悪女が巣食う学園から姿を消す事にします──。
Nao*
恋愛
ある役目を終え、学園に戻ったシルビア。
すると友人から、自分が居ない間に婚約者のライオスが別の女に心変わりしたと教えられる。
その相手は元平民のナナリーで、可愛く可憐な彼女はライオスだけでなく友人の婚約者や他の男達をも虜にして居るらしい。
事情を知ったシルビアはライオスに会いに行くが、やがて婚約破棄を言い渡される。
しかしその後、ナナリーのある驚きの行動を目にして──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
Cutie Skip ★
月琴そう🌱*
青春
少年期の友情が破綻してしまった小学生も最後の年。瑞月と恵風はそれぞれに原因を察しながら、自分たちの元を離れた結日を呼び戻すことをしなかった。それまでの男、男、女の三人から男女一対一となり、思春期の繊細な障害を乗り越えて、ふたりは腹心の友という間柄になる。それは一方的に離れて行った結日を、再び振り向かせるほどだった。
自分が置き去りにした後悔を掘り起こし、結日は瑞月とよりを戻そうと企むが、想いが強いあまりそれは少し怪しげな方向へ。
高校生になり、瑞月は恵風に友情とは別の想いを打ち明けるが、それに対して慎重な恵風。学校生活での様々な出会いや出来事が、煮え切らない恵風の気付きとなり瑞月の想いが実る。
学校では瑞月と恵風の微笑ましい関係に嫉妬を膨らます、瑞月のクラスメイトの虹生と旺汰。虹生と旺汰は結日の想いを知り、”自分たちのやり方”で協力を図る。
どんな荒波が自分にぶち当たろうとも、瑞月はへこたれやしない。恵風のそばを離れない。離れてはいけないのだ。なぜなら恵風は人間以外をも恋に落とす強力なフェロモンの持ち主であると、自身が身を持って気付いてしまったからである。恵風の幸せ、そして自分のためにもその引力には誰も巻き込んではいけない。
一方、恵風の片割れである結日にも、得体の知れないものが備わっているようだ。瑞月との友情を二度と手放そうとしないその執念は、周りが翻弄するほどだ。一度は手放したがそれは幼い頃から育てもの。自分たちの友情を将来の義兄弟関係と位置付け遠慮を知らない。
こどもの頃の風景を練り込んだ、幼なじみの男女、同性の友情と恋愛の風景。
表紙:むにさん
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる