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桜が舞う春の季節。
今日から新しい人生が始まる。
中学生を終え、高校生となる。
ワクワクとドキドキで胸踊る新生活。
それは、新しい本との出会いを彷彿とさせるような感情を思わせる。
これから始まる物語は、2人の男女の物語。
それでは、人生と云う名の本のページをめくって行こう。
「入学式も終わって今日から高校生か~。なんか実感わかないなー。」
彼女の名は桜乃 由紀。
彼女は、今日から新1年生として三州高校に通うこととなった。
「あ!!」
由紀が驚きながらも嬉しそうな声で叫んだ。その視線の先にいた人物こそが、この物語におけるもう1人の重要人物である。
「おっはよ!!」
由紀に肩を強く叩かれ少し痛がる素振りを見せる。彼の名は井上 春斗である。
2人は幼稚園の頃からの幼なじみで住む家も隣同士、小学生からずっと2人で人生を歩んできた。2人は一心同体と言っても過言ではない程の仲である。
しかしながら、2人には互いに言えない秘密があった。
それは・・・
互いに互いを好きであるということ。勿論それは友達や幼なじみといった感情ではなく男女として、つまり初恋の相手として好きであるということである。
しかしながらお互いに初恋同士。恋愛などしたこともない2人が揃うとどうなるか?
「おう、相変わらず痛えな」
「う、うるさい!」
「てか由紀の教室別じゃん?早く行かねーと最初のHRから遅刻すんぞ?」
お互いに素直になれない現状が生まれるのだ。
(本当は同じ教室になりたかった・・・)
「とは、口が裂けても言えない・・・」
由紀が思わず口に出してしまった言葉を聞かれていないか辺りを見渡し、人影がないことにほっと肩を撫で下ろすと、由紀の背後から突如として肩を軽く叩かれる。
由紀が思わず声を出し驚きながら後ろを向くと中学からの同級生だった速水 玲がいた。
「玲!?」
由紀のその声に反応するように自身の教室に入りかけていた春斗が由紀を見る。しかし、2人との距離は遠く会話まで聞こえない春斗は気になるのを隠すことができず、2人のことを見つめていた。
(あの2人、中学から仲良いよな・・・。てか何話してんだよ!こっからじゃ会話も聞こえないし・・・)
春斗がそんなことを考えていると、教室の中から春斗
を呼ぶ声が聞こえる。しかし、春斗は2人の様子が気になるあまりその声を聴き逃していた。
「ちょっと聞いてるの?春斗ってば!?」
突如として春斗の耳に入る声に驚きを隠せず、春斗は少し動揺しながら声の主の方に視線を移した。
「何回も呼んでるのにさー、春斗ってほんと集中しだすと周りのこととか見えなくなるよね。」
春斗に声をかけてきたのは、玲と同じく中学からの同級生だった天海 薫である。
その2人の姿は由紀の視線に不本意ながら入ってしまう位置であり、春斗と同じく由紀も全く同じことを考えていた。
(中学の時から思ってたけど、なんであんなに春斗にべったりなのよ!ここからじゃ何話してるかなんて聞こえないし!!)
そう、2人は無意識に以心伝心してしまうのだ。
「早く行こー!春斗!」
薫は春斗の手を握りながら由紀の方に目線だけ移した。薫が由紀と視線があったことを確認すると、由紀に勝ち誇ったような笑みを浮かべて教室に入った。
(あいつ!絶対わざとだ!)
由紀の変化に気がついた玲は由紀をなだめるように言った。
「また薫か?ったくあいつも暇だよな~。由紀の気持ち知っててやってんだろ?」
玲は苦笑いをしながら由紀の気持ちを察して続けた。
「けどさ!中学の頃の噂?じゃないけど、薫って春斗にふられてるらしいぜ?」
玲のその言葉に一瞬言葉を無くした由紀だったが、すぐにその意味を理解しほっとしたように笑った。
玲が何かを思い出したように言った。
「そうだ!俺らも早く教室行くぞ!HR始まっちまう!」
その言葉で我に返った由紀が玲の腕を持ち走り出した。
案の定、教室は2人の席以外埋まっており注目の的になっていた。
(こんなはずじゃなかったのに・・・)
由紀が懸念していたことはすぐに起こってしまった。
桜乃さんているじゃん?あの子2組の速水くんとできてるらしいよ?
え~、速水くんちょータイプだったのに・・・
速水くんと桜乃さん廊下で見たんだけど、あの2人どんな関係なんだろ?
お互いに名前で呼びあってたし・・・。もしかして・・・。
同級生の女子たちの間で入学初日から噂になってしまった由紀。
しかし、それとは別でまたもうひとつの噂も広がっていた。
(やっぱりこうなるよね・・・。)
由紀は自身の机にうつ伏せになり状況整理をしていた。
入学初日からズレ始める歯車、2人の恋の行方はどうなってしまうのだろうか・・・。
今日から新しい人生が始まる。
中学生を終え、高校生となる。
ワクワクとドキドキで胸踊る新生活。
それは、新しい本との出会いを彷彿とさせるような感情を思わせる。
これから始まる物語は、2人の男女の物語。
それでは、人生と云う名の本のページをめくって行こう。
「入学式も終わって今日から高校生か~。なんか実感わかないなー。」
彼女の名は桜乃 由紀。
彼女は、今日から新1年生として三州高校に通うこととなった。
「あ!!」
由紀が驚きながらも嬉しそうな声で叫んだ。その視線の先にいた人物こそが、この物語におけるもう1人の重要人物である。
「おっはよ!!」
由紀に肩を強く叩かれ少し痛がる素振りを見せる。彼の名は井上 春斗である。
2人は幼稚園の頃からの幼なじみで住む家も隣同士、小学生からずっと2人で人生を歩んできた。2人は一心同体と言っても過言ではない程の仲である。
しかしながら、2人には互いに言えない秘密があった。
それは・・・
互いに互いを好きであるということ。勿論それは友達や幼なじみといった感情ではなく男女として、つまり初恋の相手として好きであるということである。
しかしながらお互いに初恋同士。恋愛などしたこともない2人が揃うとどうなるか?
「おう、相変わらず痛えな」
「う、うるさい!」
「てか由紀の教室別じゃん?早く行かねーと最初のHRから遅刻すんぞ?」
お互いに素直になれない現状が生まれるのだ。
(本当は同じ教室になりたかった・・・)
「とは、口が裂けても言えない・・・」
由紀が思わず口に出してしまった言葉を聞かれていないか辺りを見渡し、人影がないことにほっと肩を撫で下ろすと、由紀の背後から突如として肩を軽く叩かれる。
由紀が思わず声を出し驚きながら後ろを向くと中学からの同級生だった速水 玲がいた。
「玲!?」
由紀のその声に反応するように自身の教室に入りかけていた春斗が由紀を見る。しかし、2人との距離は遠く会話まで聞こえない春斗は気になるのを隠すことができず、2人のことを見つめていた。
(あの2人、中学から仲良いよな・・・。てか何話してんだよ!こっからじゃ会話も聞こえないし・・・)
春斗がそんなことを考えていると、教室の中から春斗
を呼ぶ声が聞こえる。しかし、春斗は2人の様子が気になるあまりその声を聴き逃していた。
「ちょっと聞いてるの?春斗ってば!?」
突如として春斗の耳に入る声に驚きを隠せず、春斗は少し動揺しながら声の主の方に視線を移した。
「何回も呼んでるのにさー、春斗ってほんと集中しだすと周りのこととか見えなくなるよね。」
春斗に声をかけてきたのは、玲と同じく中学からの同級生だった天海 薫である。
その2人の姿は由紀の視線に不本意ながら入ってしまう位置であり、春斗と同じく由紀も全く同じことを考えていた。
(中学の時から思ってたけど、なんであんなに春斗にべったりなのよ!ここからじゃ何話してるかなんて聞こえないし!!)
そう、2人は無意識に以心伝心してしまうのだ。
「早く行こー!春斗!」
薫は春斗の手を握りながら由紀の方に目線だけ移した。薫が由紀と視線があったことを確認すると、由紀に勝ち誇ったような笑みを浮かべて教室に入った。
(あいつ!絶対わざとだ!)
由紀の変化に気がついた玲は由紀をなだめるように言った。
「また薫か?ったくあいつも暇だよな~。由紀の気持ち知っててやってんだろ?」
玲は苦笑いをしながら由紀の気持ちを察して続けた。
「けどさ!中学の頃の噂?じゃないけど、薫って春斗にふられてるらしいぜ?」
玲のその言葉に一瞬言葉を無くした由紀だったが、すぐにその意味を理解しほっとしたように笑った。
玲が何かを思い出したように言った。
「そうだ!俺らも早く教室行くぞ!HR始まっちまう!」
その言葉で我に返った由紀が玲の腕を持ち走り出した。
案の定、教室は2人の席以外埋まっており注目の的になっていた。
(こんなはずじゃなかったのに・・・)
由紀が懸念していたことはすぐに起こってしまった。
桜乃さんているじゃん?あの子2組の速水くんとできてるらしいよ?
え~、速水くんちょータイプだったのに・・・
速水くんと桜乃さん廊下で見たんだけど、あの2人どんな関係なんだろ?
お互いに名前で呼びあってたし・・・。もしかして・・・。
同級生の女子たちの間で入学初日から噂になってしまった由紀。
しかし、それとは別でまたもうひとつの噂も広がっていた。
(やっぱりこうなるよね・・・。)
由紀は自身の机にうつ伏せになり状況整理をしていた。
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