【完結】不思議なホラー

竹内 晴

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嵐の夜

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 これは、俺が高校の卒業をひかえたとある冬の夜のことだった。

 俺はその日は特に予定もなく家でのんびり過ごしていた。すると、友人Bからメールが届いた。

 「今日Cの家で鍋パやるけどお前も来いよ」といった内容のものだった。俺は行くことをじぶっていたが、友人Bと友人Cが迎えに来たこともあって行くことにした。

 友人Cの家は俺の家から電車で約1時間程の田舎の方にあった。俺は準備を急いで家を出た。
 しかし、これが全ての失敗だったのだとこの時は知る由もないなかった……。

 俺たちは最寄りの駅に到着し、3人で電車に乗り込んだ。しばらく電車に乗ると景色も畑や田んぼが多くなり、漫画やアニメで見る様な田舎町の風景へと変わった。
 電車は2両編成の向かい合う座席のタイプの電車で、俺は田んぼ側を背中に座席に座っていた。友人二人は俺の向かい側の席に座り、田んぼの方を見て何やらコソコソと話をしていたが、この時はそれに気にもとめず風景を眺めていた。
 そうこうしている間に、電車が目的の駅へと到着した。そこで俺は真実を知ることとなる。

 俺は「このまま歩いて行くやろ?」と友人2人に声をかけると、友人Bが「いや、タクシーで行こ!」と言い出した。俺は歩いて行ける距離だし無駄金だなーと思いその提案を拒否したが、友人Cもその提案に賛同したので渋々タクシーで友人Cの家に行くことにした。
 俺は、タクシーの中である事を思い出した。「そういえばさっき2人でコソコソ話してたけどなんやったん?」と2人に尋ねると、友人Bの口からとんでもない話が「あ~、あれか。……田んぼのところあったやん?あそこでさ、髪の長い白い服の女の人がずっとこっち見て立っててん。」と話し始めた。
 友人Bは続けて離そうとすると、友人Cが「俺は止めてんで?やめとけって!」と慌てながら弁解をする。友人Bが「ごめんて、俺も」と意味深いみしんなことを言い始めた。
 友人Bが「あ、女の人おるでって言うたらこっちに気づいてさっきからずっと付いてきててさ。だからタクシーで行こうって言うてん。」とその時の出来事を話してくれたのだ。

 友人Bが「1つだけ守って欲しいねん、俺が最後に降りるからお前らは家入ったら絶対にこっちから玄関のドアを上げんといて欲しい!」と俺たち2人に念を押すように言った。その言葉に俺たちは無言でうなずいた。

 俺たちが到着してから3時間後、同級生達が集まり始めた。あたりもすっかり暗くなり俺たちは鍋パを楽しんでいた。



 それからさらに時間が経ち、夜中の2時頃事件が起きた。



 玄関のドアノブがガチャガチャと音を立てたので慌てて友人Cが玄関の方に走った。しかし、友人Cは顔色を悪くしながら俺たちのいる部屋に戻ってきた。

 「誰もおらん……」

 この一言であたりは緊張へと一気に変わった。先程までの楽しい時間がまるで嘘のようにあたりは静まり返った。

 友人CとBには霊感があり、霊を見ることができるが、俺は感じることはできても見ることができない。しかし、そんな俺でもやばいとわかるほど異様な空気がただよっていた。

 ここで俺たちだけの問題では無くなったと思い、ことの経緯いきさつを全員に話した。その直後だった、再びドアノブがガチャガチャと激しく音を立てた。

 「首のない男性がドアの前におる、もしかしたらあの女の霊の連れかもしれん」友人Bが扉の前の見えない存在の詳細を語った。

 先程まで静かだった外の風の音が激しい嵐のような強風に変わった。ドアノブもガチャガチャとさっきよりも激しく動く。おそらく数分間の出来事だったのだろうが、俺にとってその時間は何分間にも思えた。しばらくして音は鳴り止み、さっきまで激しく吹いていた風も止んでいた。

 俺は友人Bに「ちょっとこっち来て」と呼ばれたのでテーブルを挟んで対角線上に位置する友人Bの元へ向かった。

 「止まれ!」

 突然友人Bが叫んだ。

 「そのまま動くなよ……」

 再び緊張がはしった。俺は歩いていた途中の体制で体幹トレーニングの様な状態で身動き出来ずにいた。すると、俺の隣のカーテン越しの小窓から家の周りの砂利道を歩く音が1だけした。
 しばらくして友人Bが、「もう大丈夫や」と言い再び俺は移動した。

 友人Bが「今狙われてるのお前やねん」と俺に言った。すると続けて「あの状態で動いてたら入られてた」と俺に言った。

 友人Bの話によると、俺には守護霊がいるらしい。それも2人もだ。しかし、突然の出発で普段は自宅を守っている守護霊がついてこれなかったのだという。つまり、今の俺は完全に危険な状態だと言える。

 その事実を知った直後の事だ、2階の廊下を走り抜ける音がした。もちろん2階には誰もいない。

 俺たちが無事にやり過ごすことが出来ているのも、全ては友人Bの守護霊の存在だった。友人Bが眠ってしまえばその時点で俺たちは危険な状態となる。夜が明ければこの状況から開放されるかもしれない。その僅かな可能性に賭けて俺たちは必死で起こし続けた。

 友人Bが眠ってしまうかもというその時、辺りが明るくなり先程までの怪奇現象が嘘のようにおさまった。ホッと肩をなでおろし、俺たちは仮眠をとって友人Cの家を後にした。

 俺は帰り際不可解なことを思い出した。(そういえば、来る時に見たカーブミラーの女性誰やったんやろ?)
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