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シンシア

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愛知ドームのインターホンを押す。

「どちら様でしょうか」

「横浜ドームエンジニアのジャギーと言います。
情報交換がしたくて伺いました」

問題なくドーム内に通された。
自動操縦のエアーバイクが迎えに来る。

すんなりとエンジニアのものに誘導された。
愛知ドームのエンジニアも、横浜ドームと同じように、人型のアンドロイドを操っている。

「では、リンクさせてもらって良いかな」

「はい、その方が早いですからね」

コネクトケーブルをヘッドセットに接続して回線をつなぐ。

「なるほど、やはりここと同じように出生率の低下が問題となっているのか」

「ええ、同じ状況ですね」

「ほう、人工授精からのホムンクルスか。そして受精・出産に成功したとは」

「僕の子供ですが、順調に育っていますよ」

「そこのデータも提供してもらいたいのだが……おお、これか。
うむ、卵子をストックしておく必要があるんじゃな」

「ええ、完全に一からの生命創造は無理みたいですね」

「それで、ドーム外への移住か……
それは我々も検討しているところだが、どうしたもんかな」

「生身で動けるエンジニアがいないと難しいかもしれませんね」

「一人、娘がおるんじゃが、はたしてあやつにそのような事が可能かどうか……」

「必要ならば協力しますよ」

「おお、そうしてもらえると助かる。
ジャギーじゃったな、お前にも管理者権限を貸与するので、シンシアを助けてもらえるか」

こうして愛知ドームの管理者権限をもらった。

シンシアは16歳で、最後の自然出産の女性だそうだ。

「ジャギーね、よろしくお願いするわ」

「じゃあ、外の様子を確認しながら、横浜と平塚キャンプの状況を見てもらおうか。

俺は、シンシアを連れて平塚へ飛び、トムに挨拶する。

「8つのドーム以外に、生存者がいるなんて……」

「ここだけじゃないさ、なん箇所か、ドーム以外で生き延びている集落も見つけたよ」

「こんな風に家を建てて暮らすのね。
自然の……例えば雷や強風は怖くないんですか」

「別に、怖いって程じゃないさ。
自然とうまく付き合っていけば、生きてるって実感できるしな」

次に、横浜ドームの外を見てもらう。

「すごいわ。
ドームの中よりも、整然としてる。
牛や豚はドームから持ち出したの?」

「いや、愛知と同じように、ドーム内のものは全滅した。
ドーム外で生き延びていたのを集めたんだよ」
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