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第六章 異世界ツアー

アルバイト

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「俺は続けたい」

「だけどよお、井戸も浄水タンクもダメになっちまったんだろ」

 関東テレビの会議室で異世界村の継続可否について打ち合わせ中である。
継続したいと言ったのは国立で、他は反対だった。

「畑もやり直しだし、何より台風の度に一からやりなおしってのは辛いぜ」

「もっと山側の、風の影響を受けない場所に移動すれば大丈夫だと思う」

「今の小屋はどうやって運ぶつもりなんだ。解体して組み直しってのは勘弁して欲しいぜ」

「それは……」

「スポンサーにだって、相当無理いってきたんだ。これ以上は無理だぞ」

「そこは自費で何とかする。
だから、頼む……」

 国立の説得で、異世界村はもう一か月様子を見ることになった。



「日曜なのに無理いってごめんね」

「いいですよ。
でも、この10万円は内緒のお金ですから、人に言わないでくださいね。
その分働きますから」

「えっ、だって移動費用が10万円でしょ」

「それは、公式の費用です。
今日はアルバイトですから。
それに、ほかのところは、みなさん撤退が決まったみたいなので、島を自由に使えますよ」

「アカネちゃん、ありがとう!」

「まずは、島から1kmの位置で結界を張りましょう。
これで、大型の生物は入ってこれなくなりますから」

「そんなことができるなら、何で?」

「とりあえずは、ありのままの世界を知ってほしかったからです。
興味本位で近づくと危ないですよって」

「確かに、身に染みたよ」

「次は住むところですね。
こんな場所じゃあ、強風で飛ばされちゃいますからね」

「マジで怖かったよ」

「でも、死人は出なかったでしょ。サメの時もですけど」

「まさか、アカネちゃんが?」

「さすがに、ここで死なれるのは困りますから」

「そうだったんだ。
テントであの台風乗り切れるはずないもんね」

「この家だって同じですよ」

「えっ、まさか……」

「えへへっ」

「そういう事なんだね。ありがとう」

「どういたしまして」

「それで、どこに家を移すかなんだけど、もう少し内陸にしようと思うんだけど」

「だったら、いい場所がありますよ」

 アカネが案内したのは、木々に囲まれた平地だった。

「へえ、こんな場所があったんだ。
よし、次に来る時はチェーンソーで……」

「大丈夫ですよ、瞬間移動で根っこごと抜けますから」

シュン! シュン! シュン!

 あっという間に木のない平地に変わった。

「いいの?こんなことまで」

「今日はアルバイトなんですから、どんどん指示してくださいね」
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