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第四章

ニューフェイス

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エリーはふわっとした金髪で、黒のパンツにチェックのベスト、スリムで長身の女性だ。

俺たちは一日かけてテキサス州を回り、州知事と面会した。

「やあやあ、ご苦労様。
おかげでテキサスは救われたよ」

「シュウと言います。
早速ですが、明日ホワイトハウスに行くにあたって、エリーさんをしばらくお借りしたいのですが」

「うーん、今エリーに抜けられるのは困るんだよ」

「そうですか。じゃあ、結構です。
では、これで失礼します。
エリー、明日ホワイトハウスを訪ねることだけ連絡しておいてくれるかな」

「ちょっと待ってください。
知事、全米の危機なんですよ。
私が数日抜けることで、シュウさんの活動が円滑に進むなら……」

「エリー、君は僕の補佐官なんだよ。
明日にはマスコミに会見を開かないといけない。その原稿作りとか、仕事は山積みなんだ」

「そうですか。
わかりました。今日付でやめさせて頂きます。
では、失礼」

「お、おい、エリー!」

「さあ、シュウさん行きましょう」

「いいのか?」

「他からもオファーが来ていますから、まったく問題ありません」

「じゃあ、うちのスタッフとして働いてみないか。
優秀な人材はいくらでも歓迎するよ」

「ホントですか!喜んで参加させていただきます」

こうして、エリーがスタッフに加わった。


早速、スタッフミーティングに参加してもらう。

「この第18世界は、鳥インフルエンザに汚染されている。
明日ホワイトハウスに行って調整してくるから、みんなはバンパイアと組んで各国に出向き、クリーンとハイキュアで対処してほしい。
車はこっちで手配するから、バンパイアの招集を頼む。
それから、うちの嫁たちも総動員する。アメリカはおれがやるから、他はよろしく頼む」

「「「了解です」」」

「エリーは俺と同行してくれ」

「はい」



翌日、エリーを拾ってホワイトハウスに出向く。

「大統領のジミー・ワシントンだ。
昨日のテキサスでの活躍は聞いている。
我々は何をすればいい」

「処置する州の順番と、州の中での案内をつけてください。
半径5kmで効率よく回れるように誘導してもらいます。
当面、奇蹟を授けるのは後回しにして、除菌と治療だけ先に済ませます。
病院へは立ち寄らず、上空から処置しますから、対空は2秒程度。
処置が終わったら、病院へ連絡して確認する。
こんな感じでいかがでしょう」

「分かった。今日中に手配する」

「それから、同じことのできる人間を15班手配します。
各国へ1班づつ派遣しますから、各国でも同じように手配させてください」

「その、アメリカだけ先に済ませてもらことは」

「世界中が同じ状況なんですから、それはご遠慮願います」

「そうか、わかった」

「国の順番はアメリカにお任せします。
できれば、重傷者や感染者の多いところからやったほうがいいと思います。
とはいえ、同盟国優先で結構ですよ」

「では、今日の午後の分をやりましょう。
スタートはここから。
『クリーン!』 『ハイキュア!』
これで、半径5kmは除菌完了です」

「ジャック、ワシントン州の周り順を30分で作れ、案内も君が頼む」

「はい」


「ボス、そういえば、嫁たちって言ってましたよね。
まさか、複数の?」

「ああ、5人の嫁がいる。
子供の世話もあるから、3人に対応させるよ」

「ご、5人ですか……」

「最初の嫁以外は、政治的な思惑や、いろいろなしがらみからだ。
決して好色ではないと……思う」

「政治的?」

「相手が、国の王女様とかで、王様から頼まれた場合、拒否できると思うか?」

「うーん、難しいですね」

「まあ、5人とも、仲良く同居してるから、問題はないと思う」

エリーにもスキルを一通りセットし、いつでも瞬間移動で自分の家に帰れるようにしてある。

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