俺の部屋が異世界に転移したみたいだ‼

第四章

治療

「知事補佐官のエリーです。
病院の責任者をお願いします」

「連絡を受けて待機していました。
病院長のダンカンです」

「シュウといいます。
これから、半径５ｋｍを除菌します。
体の中まで除菌しますので、後で確認してください。
それから、同じ範囲で炎症を治します」

「な、なにを言い出すかと思えば……」

『クリーン！』　『ハイキュア！』

「さあ、確認をお願いします」

「な、……まあ、確認すればいいだけですな。
こちらへ」

院長の後について病院に入る。

「あっ、院長！病人が！」

「どうした」

「急に回復しました！」

「こっちもです！」

「いったい何が」

「体内のウィルスは検査しないとわからないですよね」

「今やっています。
……陰性です」

「こっちも陰性です！」

「し、信じられん……」

「優秀でやる気のある看護師を二人選んでください」

「な、いや分かった。いうとおりにする」

「エリーさんは、スタッフに頼んで、半径５ｋｍ換算で、効果的に実施できる病院をピックアップさせてください」

「わかったわ」

「この二人が優秀な看護師だ」

「はい。
では、二人に僕の授かった奇蹟を与えます。
手を組んで、全能なるゼウス様に祈ってください。
言葉はいりません」

「「はい……」」

「いま、二人にクリーンの奇蹟を授けました。
今日の夕方からでも、定期的に病院を除菌してください」

「「えっ？」」

「床に小麦粉を撒きました。
これを掃除する感じでクリーンと唱えてみてください。
一人ずつやってみて」

「はい『クリーン！』
えっ！」

「もう一人の方もどうぞ」

「はい『クリーン！』
すごいです！」

「クリーンは体内のウィルスも除去できますから、そうイメージしてフロア単位で手分けしてください。
最初は疲れるかもしれませんが、じきに慣れますからね」

「で、では、今、患者が回復したのは」

「クリーンだけじゃなくて、治療系の奇蹟も使いました。
治療系まで与えてしまうとお医者さんが失業しちゃいますからね」

「クスッ、でも私なんかにいいんですか？」

「院長の推薦ですから」

「「ありがとうございます」」

「き、君は、本当に神の使いなのか？」

「使いというか、ゼウス様を布教しろと指示されただけですけどね。
あっ、本当は神様に名前なんかないんです。
僕が勝手につけただけで。それは、皆さんの信仰している神様と同じかもしれません。
ゼウス様の像を入り口に置いていきますので、感謝だけはしてあげてくださいね」

「信じるも何も、医療崩壊を起こしていた現場を救ってくれただけでなく、奇蹟を与えてくれたんだ。
いくらでも寄付するぞ」

「宗教団体じゃありませんから、ただ感謝の祈りを捧げていただければ結構です。
エリーさん、ピックアップはできましたか？」

「大丈夫。
対象の病院には、屋上で人を待機させてあるから」

「発煙筒でも炊いてもらえれば、一人で行きますよ」

「こんな重大な案件です。最優先で対応しますよ。
それと、看護師２名を選出するよう言ってありますから」

「優秀な人がいてくれると助かります。
できれば、ホワイトハウスに情報を入れておいてください。
テキサスが終わったら向かいますから」

「了解です」

「じゃあ、次の病院に向かいましょう」

「はい！」

「「「本当にありがとうございました！」」」



「まさか、本当に神がいたとは」

「私、無神論者だったんですけど」

「私は、無宗教だっただけで、神様は信じてました」

「何も求めず、ただ与える。
彼の人間性が神に選ばれた理由なのだろうな」

「私もそう思います」

「一番にこの病院に表れてくれたことに感謝しよう。
この奇蹟を全国に発信して、彼らの活動がスムーズにいくようサポートしようじゃないか」

「「はい」」