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第四章

炊出し

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第17世界

イギリスとフランスには食料提供の条件として、今後20年間アメリカ大陸への植民をやめてもらっている。
また、布教は独自にやらせてもらうことで合意していた。

「さて、どうやって布教するかな」

「そうですね……、貧困層が多いようですから、炊き出しなんて効果的だと思いますよ」

「そういえば、教会なんかでやってるな。
どんなものを用意したらいいんだろう」

「スープとパン。もしくはリゾットなんてどうでしょう」

「リゾットか、俺もよくライスにクリームシチューやコーンスープをかけて食べるけど、そんな感じ?」

「コーンスープなら簡単に作れますね」

「じゃあ、コーンスープで麦を煮ちゃおうか。
アクセントにベーコンでも入れてやれば喜ぶだろう。
リズ、それで手配を頼む。
ボブは現地のボランティアを手配してくれ。
集まらなければ有償でも構わない」

「「はい!」」

リズとボブは広報スタッフで、リズは赤毛でクリンクリンの巻き毛。ボブはムキムキの黒人だ。

こうして、毎朝牛丼店の横で炊き出しを行うことになった。

「はいはい、ちゃんと並んでください。
量はたっぷりありますからねー」

プラスチックのボウルとスプーン。
各店、1000食用意していたのだが、2時間ほどで終了した。

「ごめんなさい。
明日の朝、またやりますからね。
ボランティアの方は、牛丼を食べていってください。
無料ですよ」

「あの……」

「はい、なんでしょう……、シスター」

「私たちもお手伝いできればと思って……」

「でも、ルシファー様の布教ですけど」

「いいんです。
私たちの神がルシファー様かもしれないと聞いています」

「助かります!では、明朝からお願いしますね」

スタッフにはクリーンの魔法と瞬間移動のスキルを設定してある。
もちろん、各種障壁もだ。



「初日は、だいたい2時間程度でなくなりました。
この量で大丈夫でしょうか」

「何度も並んでいるやつがいたから、適量じゃないかな」

「あと、動けない家族の分って言ってくる人がいるけど」

「じゃあ、大盛用の器を用意しましょう。
本当に具合が悪いなら、俺が治療にいくから、炊き出しのあとで来るように伝えてください」

「教会の方でも実施したいという申し出がきていますが」

「俺の方で対応しよう」

「食器は、持ち帰らせて、翌日は自分で洗って持ってこさせてはいかがでしょうか」

「それでもいいでしょう。
その場で食べた人だけ回収するようにしましょうか。
金銭的なものは気にしないでいきましょう。
食器を毎回請求されてもすべてを許す前提で」

「「「はい」」」


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