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第四章

ロシアの植民地

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俺は2枚の写真を提示した。

「こっちが、平常時の海岸線です。
あそこの一段高くなっているところまで海になるんですよ。
今の状態で逆流の津波を受けたらどうなるか……、わかりますよね」

「なぜ、このような写真が存在するんだ……」

「俺は神から派遣されてきています。
信じるかどうかはあなた方次第です」

「神だと」

「ええ、この世界の神はルシファー様です。
あなた方の信仰では堕天使とされているルシファー様が神様なんです。
まあ、本来は神様に名前などありませんが、俺が便宜上つけた名前がルシファーだったというだけのことです」

「し、信じられん……」

「信じるかどうかはあなた方次第。
神はただ在るものです。
土壇場になってすがっても、何かしてくれるわけではありません。
俺が来たのが最後のチャンスだと思ってください。
もし、あの段の上に移るというのなら、お手伝いすることも可能です」

「何をしてくれるというのだ」

「例えば、木を取り除いて開拓することも可能です。
必要以上はやりませんけど」

「見返りはなんだ。
貧しい開拓村に何を求める」

「ルシファー様の信仰だけですよ」

「本当にそれだけでいいのか」

「神様は何も求めません。
それでも、認識することは必要ですから、そのために俺が遣わされました」

その条件で合意した。
俺は移住に必要な広さの木を収納に取り込み、整地してやった。
木は建築に使うだろうから枝と根を落とし、丸太の状態で引き渡す。
中央付近に聖堂を建ててルシファー様の像を据え付けるのも忘れない。

「それから、東側には元からの住民がいます、
彼らにも話しておきますから、仲良くやってくださいね」

「ほ、本国は……、ロシアはどうなっている」

「まだ行ってません。
もし、存続しているようならば、植民地政策をやめるよう説得しますよ」

「スペインと原住民との争いはどうなったのだ」

「まだ続いていますが、近々決着するでしょう。
俺は、スペインの強引な植民地政策にうんざりしていますから」

「そ、そうか……」

どう決着するか伝わったようだ。

「また顔を出しますから、困ったことがあったら言ってください」

「ああ、頼む」

「では……」

「お待ちください。
村長、なぜ感謝しないんですか!
この方は、見返りも求めず、情報と開拓作業をやってくれたのに……」

「ああ、すまない」

「すみません。
住民に代わってお礼いたします。本当にありがとうございました」

「村長さんは、まだ半信半疑なのでしょう。
氷期によってここまで海岸線が下がっているというのは、理論的に考えればわかるはずです。
その氷期が終わりつつある。
いずれ、ここは確実に海になります。
その前にポロロッカと呼ばれる逆流が来たら一発ですからね。
その時期まではわかりません。数年後か十年先になるか」

「わかりました。全住民に伝えて、建築にあたらせます」

「では」
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