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第四章

マンモス

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「さて、カナダ北部からグリーンランドです。果たしてマンモスは……いますね」

「あ、あれが」

「ええ、多分ケナガマンモスです。12頭の群れですね。
どうします、降りて撮影しますか……相手次第ですけど」

「お、お願い」

少し離れて着地し、念話で呼びかけてみる。

「穏やかな感触なので、このまま近づいてみましょう」

「え、ええ」

俺が近づいていくと、ひときわ大きなマンモスが俺の前に立ちはだかった。

『大丈夫だよ。リンゴ食べるかい』

マンモスはリンゴの匂いをかぎ鼻で起用に掴むと口に放り込んだ。
シャクシャクと租借し飲みこんだ。

『みんなにもあげていいかい』

肯定の感じ。

ボスにもう一つあげてから、ほかのマンモスにあげていく。

「よく、生き残っていてくれた」 「ありがとう」
一頭ずつ声をかけてリンゴをあげていく。

それから、段ボールに入った人参を収納から取り出してボスの前に置いた。

「みんなで食べてくれ」

パオーン

俺の頬を涙が伝った。
ただ、生きていてくれたことが嬉しかった。

俺は二人の前に戻った。

「行きましょうか」

「え、ええ」



翌日のアジアからロシアでも、マンモスの姿を見ることができた。
揚子江と黄河の集落は排他的で、取りつく島もなかった。

インドとアメリカの回が放映され、大きな反響を呼んだ。
そして、俺は嫁たちの前で土下座している。

「どうするつもりなんですか?」

「ちゃんと断りました」

「ファラオから娘を嫁にと言われて、本当に断れると思っているんですか」

「だから、断ったって」

「相手の顔を潰すようなことをして、この先はどうなると思っているんですか。
それに、ビビさんの気持ちを考えたことあるんですか」

「だいたい、何故最初に自分には妻がいるからとはっきり言わないんですか」

「それは、言いました」

「向こうは一夫多妻制なんですから……、こちらのこともちゃんと説明しないと」

「そ、それなんですけど、エジプトは一夫一妻制なんです。
それは、ちゃんと確認したんです。
ところが、王だけは一夫多妻だって……、はい後から判明しまして……」

「ともかく、私たちで話し合いますから、ビビさんを連れてきてください」

「は、はい……」

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