俺の部屋が異世界に転移したみたいだ‼

第三章

アトランタの悲劇

「後ろから、もう一頭来ます」

「よし、今度は十分に引き付けてＭ４で撃て。Ｍ１０７は照準を合わせて待機」

5.56×45mm NATO弾でもドラゴンを倒すことができた。

「よし、今のやつを回収。狙撃手は援護しろ」

こうして、ほぼ完全体のドラゴンを確保。地球側に搬送された。

体長約５ｍのドラゴン実物は映像としても公開され、アメリカ軍はゾンビ対応の不備を払拭できたようだった。

自分たちの装備が通用することが分かると、軍部は強気に出た。
４輪バギーを改造した軽攻撃車両ALSVを輸送ヘリコプターで運び込み、周辺の偵察に出ることになったのだ。

「隊長！先に倒したドラゴンに何かいます」

「よし、ドローンで偵察させろ」

ウィーン

「小型のドラゴンです。
ドラゴンを食っているようです」

「ＡＬＳＶ、出動だ。麻酔銃を使って捕獲できそうなら捕獲してこい」

こうして、小型のドラゴン２頭の捕獲にも成功した。

軍部の評価はうなぎのぼりである。



「た、隊長、空から何か来ます」

サーチライトには数百に及ぶワイバーンが浮かび上がる。

「撃ち落とせ！」

ダダダッ！ダダダッ！ダダダッ！

バシュ！バシュ！バシュ！

ワイバーンはブレスを吐いて応戦する。

ゴォ！

数十分に及ぶ攻防でワイバーンは掃討されたが、軍の被害も甚大なものだった。

「た、隊長！ネズミの大群です！」

かろうじて１台の火炎放射器が火を噴いたが、すぐにゾンビ化し火だるまのネズミが飛び込んでくる。
こうして中隊は全滅した。
数千におよぶネズミの大群は屋上で待機していた兵士を灰に変え、ビルを駆け降りる。
地上班もほとんど対処できずに、ネズミは地下鉄や下水を使って四方に散らばっていく。

合衆国はアトランタを都市閉鎖ロックダウンしたが、地下鉄や下水を使って広がるネズミを防ぐことはできなかった。

ロックダウンはジョージア州全域にまで拡大した。
そこへ、ワイバーンが空から襲い掛かり、さらには小さな尻尾と蝙蝠の翼を持った小悪魔が登場するに至って、合衆国は俺に助けを求めてきた。

「ここに来て、今更どうしろっていうんですか！」

「と、ともかく穴を塞いでくれ……」

これ以上の事態を恐れたのだろう。賢明な考えだ。

俺は、山一つを圧縮して穴に楔を打ち込んだ。

小悪魔とワイバーンは航空機に任せ、ゾンビとネズミの対策を考える。

「ありったけの銀を、粉にしてください。
風を操作して地上と地下を掃除します」

「わ、分かった」

「ただし、それによっておこる健康な人の中毒などは保証できませんよ」

「ゾンビとネズミの対処を優先する」

「マスコミを使って、健康な人はマスクをするよう指示してください。
なければタオルで口と鼻を抑えること。
銀の粉を散布するとはっきり言ってくださいね」

「緊急会見だ、急げ！」

「それから、僕は空に飛びあがりますが、間違って攻撃しないように徹底してください。
さもないと、自動的に反撃しますからね」

長距離探査を使い、ゾンビの多い地区から銀の粉を降らせる。
それを地下鉄の構内に移動させて路線に沿って動かしていく。

撃ち漏らしたゾンビは個別に倒していく。

ネズミのゾンビは下水にまで入り込んでおり、全部駆逐するのは時間を要した。
それでも、３時間かけてゾンビを掃討した。
次は健康なネズミ退治だ。

前回と同じようにゾンビの新規発生を待つのではなく、ネズミ亜種として直接サーチする。
２０匹ほどのネズミを３時間で駆逐した。

死者約１０万人の犠牲を出したアトランタの悲劇はこうして幕を閉じた。