74 / 224
第三章
ユーフラシア連邦
しおりを挟むカエデのお腹が目立ってきた。
ちなみに、チートリアルの子は俺の子ではなかったらしい。
だが、できる限りのことはしてやる。
チーターたちには、新路線の飛行艇を任せてある。
どうやら時速500kmで安定させるために全翼機にするようだ。
ジュールの島巡回用には従来のものを使う。
ジュールの議会では、やはりゴルとドランを見下した意見もあったようだが、先日の俺を見た者が同意し可決された。
ゴルドランの方では、ついでにタンペイも吸収しようという意見が多かったため、結局大陸全部を網羅したユーフラシア連邦共和国が誕生した。
国といっても、あくまでも議会制であり、俺が初代議長で、副議長がセキさんとタナーさん。ケビンとタイラ氏は書記長という肩書で落ち着いた。
本部はドランに設置され、月1回の定例議会が開催される。
ジュールには養豚と稲作を導入することにした。
タンペイには食肉用の牛とトウモロコシである。
牛と豚はどちらも、正規にアメリカで購入する。
こうして、ユーフラシア連邦は急速に発展していく。
働き口はいたるところにある。
次は衛生と健康。それから教育である。
衛生については、クリーンと水の魔法具を普及させることで対応できる。
各町に公衆浴場を設置し、入浴を習慣づけることも成功した。
集合住宅を全部の町に建設し、住まいも確保しつつ、病院と学校・職業訓練所を併設していく。
同時に住民台帳を作り、税金も公平に徴収していく。
やがて、カエデは俺の子供を産んだ。
当面、カエデと子供は日本で育てていくが、落ち着くまではカエデの実家で…
おい、道場で育てるのかよ……。不安しかねえぞ。
「名前はどうしようか」
「黒髪で黒い瞳だから、私の名前と同じ植物の名前がいいな」
「植物か……、ヒマワリ、桔梗、サクラはいるし……、2月3日の誕生花はカスミソウか」
「カスミって、いいんじゃない。末永かすみ」
「漢字は香純かな。
カスミソウの花言葉は夢見心地だってさ」
カスミには、ステータスエディットのスキルが備わっていた。
いずれは、自分で操作できるのだが、俺はカスミに防御系の常時発動スキルをセットしておいた。
「国の運営も、ひとまず落ち着いてきましたので、私は以前のように相談役に退き、後任にセキさんを推薦したいと思います」
「なぜですか、何かご不満でも」
「いえ、結構強引に進めてきましたけど、やっぱり一歩離れた視点で見た方がいいと思うんですよ。
歪んだところがあれば、それを提言して、セキ議長の下で是正していただく。
そういう時期にきたんだと思っています」
「確かに、議長に頼りすぎていたと思う。
議長は地球側との調整で不可欠の存在ではあるが、このところ、こちらでの活動に偏っていた。
どうだろう、議長の提案を受けて、セキ新議長でやってみたらいいかと思うのだが」
こうして、ユーフラシア連邦の新体制が発足した。
「なあ、ケビン。
そろそろ、お前も向こうとの交渉をやってみないか」
「おいおい、言葉もわからないのに、どうしろっていうんだよ」
「言語変換はセットしてやる。
当面、俺と一緒に交渉の場に同席するだけでいい」
「そうすると、書記長はタイラに任せるのか」
「ある程度は分散してやればいいだろう」
「まあ、魅力的な話ではあるな」
「だろ。
それとさ、俺の印税やマーメイド達の稼いだ金が大分あるんだ。
ビールとか大量に買い付けて、国をあげて祭りでもやってみないか」
「そうだな、年に一度くらい、そういう日があってもいいかな」
「よし、肉祭り決定な」
「ああ」
とは言っても、それほど大げさなことでもない。
20万人規模のお祭りである。
ちょっと大きな市程度である。横浜市や川崎市には全然及ばない。
ビール、ワイン、ソフトドリンク。
豚肉、牛肉、鶏肉。
各種オードブルにスナック類。
ともかく買いまくった。
予算?
一人5000円として10億円程度だ。
発電機を用意して、音響設備も整える。
ともかく、この世界には娯楽が少ない。
宗教観もない代わりに、音楽もないのだ。
試験放送的に、ポップスや民族音楽を流してやると、それなりに興味を持つ者が現れる。
木の棒で金属をたたいたり、竹を叩いたり。
音楽が生まれると踊りが始まる。
こうして、新しい文化が生まれつつあった。
0
お気に入りに追加
146
あなたにおすすめの小説
転生弁護士のクエスト同行記 ~冒険者用の契約書を作ることにしたらクエストの成功率が爆上がりしました~
昼から山猫
ファンタジー
異世界に降り立った元日本の弁護士が、冒険者ギルドの依頼で「クエスト契約書」を作成することに。出発前に役割分担を明文化し、報酬の配分や責任範囲を細かく決めると、パーティ同士の内輪揉めは激減し、クエスト成功率が劇的に上がる。そんな噂が広がり、冒険者は誰もが法律事務所に相談してから旅立つように。魔王討伐の最強パーティにも声をかけられ、彼の“契約書”は世界の運命を左右する重要要素となっていく。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
没落貴族なのに領地改革が止まらない~前世の知識で成り上がる俺のスローライフ~
昼から山猫
ファンタジー
ある朝、社会人だった西条タカトは、目が覚めると異世界の没落貴族になっていた。
与えられたのは荒れ果てた田舎の領地と、絶望寸前の領民たち。
タカトは逃げることも考えたが、前世の日本で培った知識を活かすことで領地を立て直せるかもしれない、と決意を固める。
灌漑設備を整え、農作物の改良や簡易的な建築技術を導入するうちに、領地は少しずつ活気を取り戻していく。
しかし、繁栄を快く思わない周囲の貴族や、謎の魔物たちの存在がタカトの行く手を阻む。
さらに、この世界に転生した裏には思わぬ秘密が隠されているようで……。
仲間との出会いと共に、領地は発展を続け、タカトにとっての“新たな故郷”へと変わっていく。
スローライフを望みながらも、いつしか彼はこの世界の未来をも左右する存在となっていく。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる