上 下
62 / 224
第二章

DearMermaid

しおりを挟む

翌日の午前中にソフィアとルシアにレフ版の使い方を教え、午後から浅見と一緒に撮影に入る。
緋袴に木刀を提げ、京都の紅葉を背景にしたり、寺や神社で撮影させてもらった。
地中海に飛び、パルテノン神殿やコロシアム。ピラミッドにアルプスの草原。シンガポールの屋台や、モルジブの砂浜。
そして、例の衣料メーカーの本社前で親指を下に向けて抗議のポーズ。

もちろん、衣装を変えソフィアとルシアの写真も撮った。
モルジブでは、こっそりマーメイド姿のソフィアも撮影した。
モンゴルの民族衣装に身を包んだ三人も可愛かった。

「ねえ、温泉のシーンなんていいの?」

「別に、減るもんじゃねえし、問題ないよ」

途中で、何度かメイクと髪型も変えてもらった。

「ソフィアの表紙はパルテノン神殿のキトンだな」

「ルシアちゃんはモンゴルの衣装がいいなぁ」

カエデは紅葉を背景にした紺の袴に紫の短冊柄小紋で決まった。

「これ、よくカエデちゃんの顔にピントが合ったわね」

「偶然の賜物だ。刀がカエデの葉に食い込む瞬間だ。
1/5000秒だからな、それでも日本刀はブレてる。
だけどいい感じでボケが入ってるよ」

「カエデちゃんの最後のページにルシアちゃんとのツーショット。
このトロンとした表情は官能的よ」

「でルシアの最後がソフィアとのツーショットだな」

「この、メーカーをコケにした写真は、課長の判断に任せると」



「決まったわよ。
来週、例の新作発表をもってわが社との契約は終了となるから、契約更改はなし。
翌日、カエデさんの写真集を出せるように調整してちょうだい。
写真集で使っていないものは、広告で使っていくわ。
ルシアちゃんとソフィアちゃんのも連続して出版させて。
出版社との調整は浅見に一任。
ライバルメーカーへの売り込みは田中ちゃんと明智君お願い」

「「「はい!」」」

「浅見、例の写真もOKよ、社長からの伝言、かましてやれだってさ」

「はい!」

「末永君は、提携するメーカーが決まったらすぐに撮影に入って。
それと、フルサイズ機にしてちょうだい。
大きな広告でも使っていくから。
追加のモデルさんも、順次撮影しておいてね」



DearMermaidシリーズは「Kaede」「Lucia」「Sofia」と立て続けに販売され、大ヒットになった。
大手アパレルメーカーとの提携も決定し、世界中の化粧品メーカーなど、ファッション業界全体に嫁たちの露出が増えていく。
俺も、自分の会社を立ち上げ、カエデを妻だと公表し、ルシアをカエデの妹として紹介した。
浅見は出向の扱いで俺の事務所で働いてくれるようになった。
そのおかげで、マーメイド達の衣類はすべて提供してくれる。

「問題はソフィアちゃんと他のマーメイドよね。どうしたらいいんだろう」

「公表するしかねえかな。
いや、先にマーメイドを全面に出した写真集を出すか。
それで世論を味方につけて、政府に直訴する」

「そういえば、女性の権利を主張してた議員がいたわね」

「総理大臣に直訴、ダメならアメリカへ行くからって」

「あはは、それいいわね。総理からうちの社長に直接電話が入りそうね」

「そいえば、ジョンはどうしたかな」

「ジョン?」

「牛を譲ってもらったアメリカの牧場主だ。異世界だって理解してくれてる。
ネットで公開するとか言ってたよな」

カチャカチャ

「ああ、これだ。俺は異世界に牛110頭を売却した。いつか、シュウの世界で俺の牛がスタンダードになる」

「結構、好意的な反響があるわね」

「あそこにソフィアを連れて行って、記念写真でもアップさせるか」

「それ、おもしろそうじゃない」

その夜、俺はジョンの元を訪れた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

転生弁護士のクエスト同行記 ~冒険者用の契約書を作ることにしたらクエストの成功率が爆上がりしました~

昼から山猫
ファンタジー
異世界に降り立った元日本の弁護士が、冒険者ギルドの依頼で「クエスト契約書」を作成することに。出発前に役割分担を明文化し、報酬の配分や責任範囲を細かく決めると、パーティ同士の内輪揉めは激減し、クエスト成功率が劇的に上がる。そんな噂が広がり、冒険者は誰もが法律事務所に相談してから旅立つように。魔王討伐の最強パーティにも声をかけられ、彼の“契約書”は世界の運命を左右する重要要素となっていく。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~

飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。 彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。 独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。 この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。 ※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...