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第二章
デンキ
しおりを挟む「チーター自身は、それほど強い存在でもなさそうだからな」
「チーターの存在は、この4人だけの秘密にしてくれ。
彼女たちの作る道具を世に出すかどうかは俺が判断する。
迷ったときにはお前たちに相談させてもらう」
「ああ、それが一番だろうな」
「今、収納が魔道具で実現しそうなんだ」
「収納が!」
「ああ、だがこれを世に出してしまうと不正や悪事に利用されかねない」
「確かに、盗み放題になるな」
「だから、その道具は信頼できる者にしか与えられない」
「そういう事だな」
「俺のほうは以上だ。ケビンの話は?」
「西の町、ガンダから、支援の要請を受けた」
「ガンダ?」
「ああ、漁業の盛んな町なんだが、不漁が続いているらしい。
塩害で作物の育ちにくい土地だから、肉と穀物を提供してほしいそうだ。
特にマーメイド族には深刻な問題で、彼女たちは魚と海藻しか食べられない」
「ま、マーメイド族だと!」
「シュウ!妻は3人までですからね」
「いや、妻とかいう前に、人魚が存在するのか?」
「絶対に妙味を持つだろうから、ルシアと相談して内緒にしてたのに……」
「そりゃあ、人魚は男のロマンだからな」
「安心しろ、マーメイド族には婚姻という概念はない。
女系社会だからな。繁殖期に入った個体が子種だけを求めてくるんだ」
「お、お兄様、もしかして……」
「う、いや、……
だから、相談は明日にしようと……」
「そうか、女だけの社会では、男の助けは必要だな」
「うむ、そういう事だ」
「ルシア、二か月の禁欲生活で、ほら」
「そうですね。余計な精力は抜いておきませんといけませんね」
「明日は所用がある。明後日、詳しい話を聞かせてくれ」
「ああ、明日は足腰が立たないだろうから……」
「この部屋のものは自由に使ってくれ。必要な材料があれば調達する。
ただし、この差し込み口に注意してくれ、雷と同じ種類のエネルギーを使っている。
このエネルギーは2種類の極からできていて、接触させると……」
バチッ!
オオッ!
「このように熱エネルギーを発するが、安全装置が働いて切れるようになっている」
「ふむ、興味深いですな。
このエネルギーは、どこから得ているのですか」
「屋根に光を集める装置があって、光をこのデンキというエネルギーに変換している。
ただ、デンキを使っているのは俺の家だけだ。一般的なエネルギーではない」
「デンキというのは、光からしか得られないのですか」
「いや、者を擦りあわせたり、磁力を特定の条件で……そういえば、実験セットがあったな。
この先についているのは、デンキを流すと発光する発光ダイオードLEDという装置だ。
この部分が電気を発生させるのだが、磁石のプラスとマイナスの間で電線を巻き付けたコイルを回すとデンキが発生する。
これを応用してこの風車を回してやると、同じ軸のコイルが回転して電気を作り出し、このようにLEDが発光する」
オオッ!
「その逆の原理で、こっちから電気を流してやると、コイルが回転して風車を回すことができる」
「こ、これは画期的な発見だ!
このLEDの部分に別の風車を付ければ、風車の回転を電気に変換して、別の場所で風車を回転させる。いわば、エネルギーの移動が可能だと……」
「光や動力だけでなく、熱エネルギーにも反感可能だ。電気は特定の抵抗をもった物質に流すと発熱する。
まあ、そのへんは、機会を見て説明してあげよう」
「こ、この軽い金属はなんだ」
「アルミという金属だ。軽いかわりに、柔らかい。だが、特定の素材と混ぜることで、鉄以上の強度を持たせることができる。
ほかにもチタンや炭素を使ったカーボンにプラスチック、透明なガラスやアクリルといった素材がある。
使い慣れたミスリルや魔鉱石もふんだんにあるから、自由に使っていいぞ」
「こ、ここは宝の宝庫なのか」
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