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第Ⅵ章 南の大地
ただの魔物使いですから
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「急に申し訳ございません。
シュトーリア王国、外務局長のシーリア・アートランドと申します」
「アナカワ町領主のクロ・イワーオです。
こんな遠くまでようこそ……と言いたいが、シュトーリア王国とは山脈で遮られておる。
どうやって来られたと?」
「ラトランドのワイバーンと同じように、この子も空を飛べるんです。
残念ながら、ライオンではありませんが。
お疑いでしたら、あとで実際にご覧いただくことも可能です。
少し前に、山まで確認してきて、こちらがわにラトランドの戦力はないことを確認しています」
「おお、ライオンの話をご存じとは、どこかの町に立ち寄られたんですな」
「ええ。
グーマの町でライオンと間違われ、女神扱いされています」
「あはは、空を飛ぶ白いライオンなどいるはずがないと思っておりましたが、これは……実在するやもしれませんな」
「ええ。翼の生えた白いライオンなら、私のところに一頭おりましてよ」
「なんと、おりますのか!」
「ですが、私は女神ではありませんけど」
「いや、それでも皆の希望にはなるでしょう」
「では、今度機会がありましたらつれてまいりますわ」
「よろしくお願いいたします。
それで、ご用件とは?」
「実は、グーマの町で頼まれまして、徴兵された兵士たちの様子を見てきてほしいと」
「徴兵?
確かに、この町から応援の要請は出していますが、そんな余力はないと断られておりますが」
「とすると、徴兵された兵士はツターンの町ですか」
「こう言ってはなんですが、バーン王は自分のことばかりでしてな」
「バーン王?ダイバーン王ですよね」
「大というのは自分でつけた称号です。
元はバーン王なのです」
「ひどい話ですね。
前線のここが破られたときのことを案じて、自分のいる町だけ戦力の増強とは」
「まあ、ここは死守しますけどね。
ただ、王女の指揮するワイバーン部隊を回されるとどうにも分が悪くなってしまいましてな」
「でしたらご安心ください。
ワイバーン部隊は王女もろとも自滅しましたから」
「自滅ですか?」
「ええ、シュトーリアに攻め込んできた際、野生のワイバーンに全員やられてしまいました。
その時に王女自身も亡くなっていますので、残存のワイバーンがいたとしても僅かだと思いますよ」
「なんと、そのようなことがあったのですか」
「それに、野生のワイバーンは、我が国に引っ越してしまいましたから、補強はできないでしょう」
「引っ越し?」
「ええ。おいしいお肉が食べたいというので、仕事と引き換えにわが国で面倒見ています」
「あ、あなたはいったい……」
「肩書は外務局長なんて押し付けられてしまいましたが、ただの魔物使いですから」
シュトーリア王国、外務局長のシーリア・アートランドと申します」
「アナカワ町領主のクロ・イワーオです。
こんな遠くまでようこそ……と言いたいが、シュトーリア王国とは山脈で遮られておる。
どうやって来られたと?」
「ラトランドのワイバーンと同じように、この子も空を飛べるんです。
残念ながら、ライオンではありませんが。
お疑いでしたら、あとで実際にご覧いただくことも可能です。
少し前に、山まで確認してきて、こちらがわにラトランドの戦力はないことを確認しています」
「おお、ライオンの話をご存じとは、どこかの町に立ち寄られたんですな」
「ええ。
グーマの町でライオンと間違われ、女神扱いされています」
「あはは、空を飛ぶ白いライオンなどいるはずがないと思っておりましたが、これは……実在するやもしれませんな」
「ええ。翼の生えた白いライオンなら、私のところに一頭おりましてよ」
「なんと、おりますのか!」
「ですが、私は女神ではありませんけど」
「いや、それでも皆の希望にはなるでしょう」
「では、今度機会がありましたらつれてまいりますわ」
「よろしくお願いいたします。
それで、ご用件とは?」
「実は、グーマの町で頼まれまして、徴兵された兵士たちの様子を見てきてほしいと」
「徴兵?
確かに、この町から応援の要請は出していますが、そんな余力はないと断られておりますが」
「とすると、徴兵された兵士はツターンの町ですか」
「こう言ってはなんですが、バーン王は自分のことばかりでしてな」
「バーン王?ダイバーン王ですよね」
「大というのは自分でつけた称号です。
元はバーン王なのです」
「ひどい話ですね。
前線のここが破られたときのことを案じて、自分のいる町だけ戦力の増強とは」
「まあ、ここは死守しますけどね。
ただ、王女の指揮するワイバーン部隊を回されるとどうにも分が悪くなってしまいましてな」
「でしたらご安心ください。
ワイバーン部隊は王女もろとも自滅しましたから」
「自滅ですか?」
「ええ、シュトーリアに攻め込んできた際、野生のワイバーンに全員やられてしまいました。
その時に王女自身も亡くなっていますので、残存のワイバーンがいたとしても僅かだと思いますよ」
「なんと、そのようなことがあったのですか」
「それに、野生のワイバーンは、我が国に引っ越してしまいましたから、補強はできないでしょう」
「引っ越し?」
「ええ。おいしいお肉が食べたいというので、仕事と引き換えにわが国で面倒見ています」
「あ、あなたはいったい……」
「肩書は外務局長なんて押し付けられてしまいましたが、ただの魔物使いですから」
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