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第Ⅴ章 北からの来訪者
船便
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魔道具というのは、性格的に一度設置してしまえば半永久的に使える。
したがって、今、どれほど売れたとしても将来的な収益を出せるものではない。
シーリアもそれを承知していた。
何か、根本的な発想転換をしないと、いずれ行き詰ってしまう。
例えば、現代社会の自動車のようなものができないだろうか。
より、性能のよいものが出たから買い替える。
あるいは、消耗品の交換時期などだ。
そこで思い至ったのが動力船だった。
『ねえ、水の中で風魔法を使ったらどうなるのかな?』
『えっ、水が勢いよく流れるだけですけど』
『じゃあさ、それで船を動かせないかな』
『今度は何を思いついたんですか?』
『船に動力がついていれば、下流から上流へも移動できるでしょ。
それで、荷物を運搬するのよ』
『はあ』
『これは売らないで、荷物の運搬事業としてこの町が一手に引き受けるの』
『魔族の私にはピンときませんが、とりあえず試作してみましょうか』
シーリアが思いついたのは船外機であった。
コンロと同じように、3種類の切り替えができて、最高時速50kmの動力船が完成した。
それにあわせて、水路を整備していく。
マジカル・シティからトランガそして王都からアルトハイン・海まで水路を広げていく。
滝のような段差のある場所は、迂回させて消していくと各町を結ぶ水路が完成した。
シーリアはナキュの船職人に、2t平ボディクラスの船を旅客用と荷物用で10艘ずつ発注した。
お披露目はシュトーリアの王都からアルトハインの王都間で実施する。
約400kmの距離を、一日で移動しようというのだ。
積み荷はソイ・ソースの樽20本。
朝の6時に出発して、夕方17時に到着。
馬車だと3日かかって5樽が適量であるが、移動時間を三分の一にして運搬量は4倍である。
人なら15人まで乗船可能。大成功といえる。
『あとは運賃ね。
銀貨一枚くらいなら使ってくれるかな』
銀貨一枚は、およそ5000円に該当する。
これに対して、飛竜便は一人金貨一枚(およそ5万円)である。
こうして、シーリアは定時連絡便を含めて、各町間の通信および移動手段を一手に独占することとなった。
したがって、今、どれほど売れたとしても将来的な収益を出せるものではない。
シーリアもそれを承知していた。
何か、根本的な発想転換をしないと、いずれ行き詰ってしまう。
例えば、現代社会の自動車のようなものができないだろうか。
より、性能のよいものが出たから買い替える。
あるいは、消耗品の交換時期などだ。
そこで思い至ったのが動力船だった。
『ねえ、水の中で風魔法を使ったらどうなるのかな?』
『えっ、水が勢いよく流れるだけですけど』
『じゃあさ、それで船を動かせないかな』
『今度は何を思いついたんですか?』
『船に動力がついていれば、下流から上流へも移動できるでしょ。
それで、荷物を運搬するのよ』
『はあ』
『これは売らないで、荷物の運搬事業としてこの町が一手に引き受けるの』
『魔族の私にはピンときませんが、とりあえず試作してみましょうか』
シーリアが思いついたのは船外機であった。
コンロと同じように、3種類の切り替えができて、最高時速50kmの動力船が完成した。
それにあわせて、水路を整備していく。
マジカル・シティからトランガそして王都からアルトハイン・海まで水路を広げていく。
滝のような段差のある場所は、迂回させて消していくと各町を結ぶ水路が完成した。
シーリアはナキュの船職人に、2t平ボディクラスの船を旅客用と荷物用で10艘ずつ発注した。
お披露目はシュトーリアの王都からアルトハインの王都間で実施する。
約400kmの距離を、一日で移動しようというのだ。
積み荷はソイ・ソースの樽20本。
朝の6時に出発して、夕方17時に到着。
馬車だと3日かかって5樽が適量であるが、移動時間を三分の一にして運搬量は4倍である。
人なら15人まで乗船可能。大成功といえる。
『あとは運賃ね。
銀貨一枚くらいなら使ってくれるかな』
銀貨一枚は、およそ5000円に該当する。
これに対して、飛竜便は一人金貨一枚(およそ5万円)である。
こうして、シーリアは定時連絡便を含めて、各町間の通信および移動手段を一手に独占することとなった。
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