稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅴ章 北からの来訪者

浴場

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シーリアは、すぐに町に戻ってルシフェルに報告した。

『売れたわよ!
お城だけで50台。
少し値引きして金貨2400枚の取引よ』

『その、金貨2400枚というのがよく分らんのだが……』

『そうね……、金貨30枚で一家4人が一年間生活していけるくらいかな』

『すると……、よくわからんが、200人以上が一年間食っていけるくらいか』

魔王は細かい計算が苦手だった……

『もっとよ。
リーシャさん、どんどん作ってください。
それから、暖炉に使った場合、暖かい空気は天井に集まっちゃうでしょ。
だから、天井から下に向かって風を送り出す魔道具が必要だわ』

『それなら、風魔法を書き込むだけですから、すぐに作らせますよ』

『明後日は、アルトハインへ行ってくるわ。
それから、これって水の中でも使えるのかな』

『何に使うんですか?』

『お風呂よ』

『お風呂って?』

シーリアはリーシャにお風呂を説明した。

『だったら、水魔法と組み合わせて、お湯の出てくるシステムを考えてみますよ』

翌日、リーシャは給湯システムを完成させた。

『うん。これなら、ミーちゃんの土魔法と組み合わせて、浴場を売り込めるわ』


その翌日、シーリアはアルトハインのカイン王子を訪ねた。
料理長にも同席してもらう。

「これが魔道コンロです。
暖炉にも使えます」

簡単な説明で、こちらも50台の注文が入った。

「そして、こちらがお風呂の給湯システムになります」

「まさか、ここから湯が出てくるのか」

「水魔法と組み合わせてありますから、水を引く必要もありません。
ミーちゃんの建設込みで一か所2000枚でいかがでしょう」

「採用だ!
城と町の広場と二か所、男と女に分けて作ってほしい」

「金貨8000枚になりますが……」

「かまわん。
今年度の予算で、浴場の建設費を確保してある。
町の広場一か所だけで、金貨3万枚の予算だ。
ありがたくて涙が出そうだよ」

こうして、アルトハインにも浴場が完成した。
そして、追加で三つの町に男女別の浴場、合計で6箇所。
金貨12000枚だ。

アルトハインとしても、王都の予算で全部の町に浴場が建設できて大歓迎だし、シーリアとしても魔族3000人の給料3か月分を稼げたのだ。

もしかして、安すぎたかなと、若干後悔するシーリアだった。
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