稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅴ章 北からの来訪者

魔法競技 真の一番は誰だ?

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メインスタジアムの第二競技は20km長距離走だ。
だが、この種目には魔族のエントリーはなかった。
地上を走るくらいなら飛んで行った方が早いし楽だからだ。

したがって、ここはシュトーリアとアルトハインの一騎打ちになる。
どちらの兵団も、負けることは許されない。
お互いの威信をかけた戦いであった。

「いいか、最初から全力でいくんだぞ」

「こもかく、シュトーリアの兵士だけには負かるんじゃない」


かくして、両陣営ともにスタートから全力疾走となった……なってしまった。
ペース配分を無視した暴挙は、1kmもいかないうちにスタミナ切れを引き起こし、総崩れとなった。
結局、長距離走を制したのは、シュトーリアとアルトハインの山間部に暮らす木こりや炭焼きだった。


木製武器を使う武術競技には、結局シュトーリアとアルトハインの代表1名しかエントリーがなかった。
ほかは、すべて格闘にまわったのだ。

ここは、アルトハイン側が勝利したものの、どちらも譲らない拮抗した試合となったため両社とも面目を保った。


北スタジアムでは、土魔法の試合が行われていた。
これは、1対1のマッチアップ方式で、64名の参加者で試合が行われている。

土魔法競技のルールは、まず自陣に1m四方の立方体を土で作成し、どちらが早く相手の立方体を崩せるかで勝負が決まる。
ところが、30%の出場者は、制限時間内に立方体を構築できずに敗退した。
土魔法は地味であるため、得意とする選手が少ないのだ。

予選を勝ち上がったのは、21人が魔族で、シュトーリアが5人、アルトハインが6人となった。
ヒト族の巻き返しに期待したい。


東スタジアムは、火魔法の試合会場だ。

魔法競技の中では、ここが一番エントリーが多く、約1000人となった。
そのため、10人一組で予選が行われ、トップの者だけが決勝トーナメントに進出する。
競技方法は簡単で、直径1mの氷柱を早く崩した者が勝利者となる。

「なあ、あの氷柱を作ってるの、聖女様の龍だよな」

「ああ。俺もさっき水魔法の会場を見てきたけど、10本の氷柱を一瞬で作れるやつなんていなかったぞ」

「レベルが違いすぎて相手にならないってことか」

「水魔法だけじゃないぜ。
火魔法も土魔法も、聖女様の従魔に勝てるやつなんていないっての。
このスタジアムだって、聖女様のところのネコが作ったんだろ」

「だよな」


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