稀代の魔物使い

モモん

文字の大きさ
上 下
142 / 172
第Ⅴ章 北からの来訪者

同じ人間だった

しおりを挟む
シーリアと魔王ルシフェルとは何度も打合せを重ね、廃墟となったアカザを作り変えていった。
城壁を広げ、町の内部にコロシアム風闘技場を5個建設した。

『おい、これが土魔法だというのか……』

『はい。土魔法を磨いていったら、できるようになりました』

『人間の……というか、そのネコの尺度はおかしい。
空を跳ぶし、ブレスを吐くネコなんぞ、魔族の世界にもいないぞ』

『でも、ルシフェル様も……同じくらい』

『俺は魔族の王だからな。
その俺にしたって、ここまで大規模な土魔法は無理だ!
このネコは、俺の上をいっていることになる』

『大丈夫です。
ミーちゃんは競技に出ませんから』

『……当たり前だ。
こんなのが競技に出て優勝を総なめにしてみろ。魔族に反乱が起こるぞ』

『大袈裟ですよ』

『大袈裟じゃない!
だが、俺もこれまでに何度かフォレストキャットをめにしてきたが、こんな奴はいなかったぞ』

『ピー助とチョロリとミーちゃんで、切磋琢磨したの』

『そうだ。ほかの2匹も異常だ。
普通の龍は一種類のブレスしか使わないし、鷹だって肉弾戦は不得手だ。
飛ぶ速度も異常だし、高速で回転して、岩に穴を開けるなど龍にも鷹にもできることじゃない』

『頑張った?』

『頑張りすぎだ!』

『3匹と私とで、生きてきた……の。頑張ることしかできなかった……』

『そ、そうなのか。
だが、お前は王の娘なのだろう』

『それは、最近の話。本当のお父さんは顔も知らないし、お母さんも小さいときに死んじゃったから』

『そ、そうなのか。
だが、人間社会の中にいれば、生きることは難しくないだろう』

『5年前まで、三匹と私だけで森の中で暮らしてたの』

『お前……、魔族よりも過酷な人生を送ってきたんだな』

『魔王さまは、どんな子供でしたの?』

『魔族の男は、子供を作るだけだ。
母親は一人でというか、母親のコロニーで子供たちを育てる。
だから、俺も父親を知らん』

『うっ、可哀そう……』

『お前にいわれたくはないわ!
5才から15才までは専用の施設で学び、体を鍛える。
成人してからは、力と能力がすべてだ!』

『魔族って、何歳まで生きるんですか?』

『魔族といっても、ヒトと変わりはない。
老化を魔力で抑えているが、まあ300年前後だな』

『えっ、魔族って人間なんですか!』

『俺たちを何だと思ってたんだ。
見ればわかるだろう、同じ人間だ』

『記録にはそんなこと書いてなかったです……
知らなかった……』
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

ちょっと神様!私もうステータス調整されてるんですが!!

べちてん
ファンタジー
アニメ、マンガ、ラノベに小説好きの典型的な陰キャ高校生の西園千成はある日河川敷に花見に来ていた。人混みに酔い、体調が悪くなったので少し離れた路地で休憩していたらいつの間にか神域に迷い込んでしまっていた!!もう元居た世界には戻れないとのことなので魔法の世界へ転移することに。申し訳ないとか何とかでステータスを古龍の半分にしてもらったのだが、別の神様がそれを知らずに私のステータスをそこからさらに2倍にしてしまった!ちょっと神様!もうステータス調整されてるんですが!!

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】  普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。 (しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます) 【キャラクター】 マヤ ・主人公(元は如月真也という名前の男) ・銀髪翠眼の少女 ・魔物使い マッシュ ・しゃべるうさぎ ・もふもふ ・高位の魔物らしい オリガ ・ダークエルフ ・黒髪金眼で褐色肌 ・魔力と魔法がすごい 【作者から】 毎日投稿を目指してがんばります。 わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも? それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。

私は逃げます

恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。 そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。 貴族のあれやこれやなんて、構っていられません! 今度こそ好きなように生きます!

仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

桐生桜月姫
ファンタジー
 愛良と晶は仲良しで有名な双子だった。  いつも一緒で、いつも同じ行動をしていた。  好き好みもとても似ていて、常に仲良しだった。  そして、一緒に事故で亡くなった。  そんな2人は転生して目が覚めても、またしても双子でしかも王族だった!?  アイリスとアキレスそれが転生後の双子の名前だ。  相変わらずそっくりで仲良しなハイエルフと人間族とのハーフの双子は異世界知識を使って楽しくチートする!! 「わたしたち、」「ぼくたち、」 「「転生しても〜超仲良し!!」」  最強な天然双子は今日もとっても仲良しです!!

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

処理中です...