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第Ⅴ章 北からの来訪者
馬車で帰れ!
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その日の夜、城に戻った宰相は、国王に確認してきたことを報告した。
もちろん、領主も同行している。
「すると、魔族の言葉は真実で、一か月後には戦が始まるということか」
「はっ。そのように思われます」
「待ってください。
戦になれば、人々がまた苦しみます。何か、回避する方法があるはずです」
「そうは言ってもな……
約定がある以上どうにもならんだろう」
「約定なんて……決めなおせばいいじゃないですか」
「魔族の同意を得られる代案があればな」
「そんなの……」
「せめて、魔族とヒト族が同等の強さだったら、一対一の組み手とか可能なんだが……」
「この記録によれば、魔族一人にヒト5人で対等と書かれているしな」
「だったら、ヒトが勝てるような条件を設けてはいかがでしょうか」
「それこそ、魔族側が納得しないだろう」
「例えば、飛行競争」
「馬鹿を言え、飛べる人間など……ワイバーンか!」
「私を含めて3人は出場できます」
「早く走る競争も可能ですな」
「魔法の競い合いも考えられそうだな」
「ともかく、3日後に食事をしてもらう約束になっていますから、そこで提案してみます」
「待て、お前だけでいくつもりなのか?」
「だって、みなさん念話できないじゃないですか」
「まあ、そうだが……
お前が通訳すれば対話可能だろう」
「それは、日を改めてやりましょう。
ダメ元でお願いしてみますよ。
もし、うまくいくようだったら、期間中の費用は全額国でお願いしますね。
全員、飲み放題、食べ放題にしますから」
「そ、それって」
「魔族はお金持ってなさそうですから、当然ですよね。
戦争が回避できるなら、安いものだと思いませんか」
「勝算はあるのか?」
「用意した食事に、どれだけ興味をもってもらえるかですね。
それから、大至急、念話のできるヒトを探してください」
「どうやって探したらいいんだ」
「セシルに念話を教えますから、それで呼びかけるんです」
「わかった。宰相、最優先であたってくれ」
「承知しました」
「じゃ、私は三日後のメニューを考えますから、これで失礼します」
シーリアが退席したあとで、国王から大きなため息が出る。
「ああ、またシーリアに頼りきりになっちまうな」
「まあ、それはいつもの事ですからな」
「ところで、わしはどうやってトランガまで帰ればいいのでしょう」
「馬車で帰れ!」
もちろん、領主も同行している。
「すると、魔族の言葉は真実で、一か月後には戦が始まるということか」
「はっ。そのように思われます」
「待ってください。
戦になれば、人々がまた苦しみます。何か、回避する方法があるはずです」
「そうは言ってもな……
約定がある以上どうにもならんだろう」
「約定なんて……決めなおせばいいじゃないですか」
「魔族の同意を得られる代案があればな」
「そんなの……」
「せめて、魔族とヒト族が同等の強さだったら、一対一の組み手とか可能なんだが……」
「この記録によれば、魔族一人にヒト5人で対等と書かれているしな」
「だったら、ヒトが勝てるような条件を設けてはいかがでしょうか」
「それこそ、魔族側が納得しないだろう」
「例えば、飛行競争」
「馬鹿を言え、飛べる人間など……ワイバーンか!」
「私を含めて3人は出場できます」
「早く走る競争も可能ですな」
「魔法の競い合いも考えられそうだな」
「ともかく、3日後に食事をしてもらう約束になっていますから、そこで提案してみます」
「待て、お前だけでいくつもりなのか?」
「だって、みなさん念話できないじゃないですか」
「まあ、そうだが……
お前が通訳すれば対話可能だろう」
「それは、日を改めてやりましょう。
ダメ元でお願いしてみますよ。
もし、うまくいくようだったら、期間中の費用は全額国でお願いしますね。
全員、飲み放題、食べ放題にしますから」
「そ、それって」
「魔族はお金持ってなさそうですから、当然ですよね。
戦争が回避できるなら、安いものだと思いませんか」
「勝算はあるのか?」
「用意した食事に、どれだけ興味をもってもらえるかですね。
それから、大至急、念話のできるヒトを探してください」
「どうやって探したらいいんだ」
「セシルに念話を教えますから、それで呼びかけるんです」
「わかった。宰相、最優先であたってくれ」
「承知しました」
「じゃ、私は三日後のメニューを考えますから、これで失礼します」
シーリアが退席したあとで、国王から大きなため息が出る。
「ああ、またシーリアに頼りきりになっちまうな」
「まあ、それはいつもの事ですからな」
「ところで、わしはどうやってトランガまで帰ればいいのでしょう」
「馬車で帰れ!」
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