稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅳ章 ワイバーンの故郷

お風呂と癒しタイム

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湯から出た皆さんに、男性スタッフが簡易下帯の使い方を説明します。

「このように、布のついている方を尻の側に持っていき、紐を前で結びます。
紐は、このように輪を作って結ぶことで、簡単に解くことができますよ」

「な、なんだその結び方は!」

「シーリア様の考案されたリボン結びです」

「まさか、この下帯も?」

「ええ、風呂も下帯も寝巻も、シーリア様の考案です」

「なぜ、彼女はこんな色々なことを思いつくんだ……」

「えっ……聖女様ですから」

「聖女様?」

「彼女が現れてから、世の中が大きく変わりました。
聖角灯……ホーリーライトに反射板。定時便に食べ物。
風呂にパジャマパーティーに癒しの日の設立……数えたら、きりがありませんね」

「癒しの日?」

「ええ、7日に一度、完全に休息する日を作ったんです。
この日は、店はもちろん、ギルドや城の一般業務は休みになります。
6日働いて、具合の悪い者や疲れの激しい者は、城にきてミーミー様の癒しを受けます」

「ミーミー様というと、彼女の従魔のことだな」

「ええ。
ミーミー様の癒し効果で、みんなリフレッシュできるんですよ。
だから6日の間は、みんな一生懸命に働きますよ」

「メリハリというやつだな……」

「皆さんもお疲れでしょうから、このあとで癒しを受けていただきますからね」

「なんと、我々も体験できるのか」

「ケガをされている方もおられるようなので、シーリア様から聖堂にご案内するようにいわれてます」


寝巻は、7分袖のひざ丈で、頭からすっぽりかぶれるようになっています。
簡易下帯も綿で作ってありますので、着心地はいいと思います。

「寝巻と簡易下帯は、お持ち帰りいただきますので、汚れとかも気にしないでくださいね。
さあ、ここが聖堂です。ケガをされている方は、ミーミー様の毛玉の中に入ってください。
10分間です。だまされたと思って、横になって目を閉じていてくださいね。
城のスタッフも参加しますので、寝返りをうつ時は注意してください」



そして、10分後……

「王子!地竜にやられた傷が消えました!」

「シー……まだ横になってる人もいますからね。
回復した人は、部屋の外に出てください」

「はい、すみません……」



「王子、アレは一体なんでしょう」

「アートランド卿の従魔だといっただろ」

「まさか、途中で使ったミーミーハウスというのも」

「ああ、あの従魔が作った休息所だ。
土魔法だというが、信じられん頑丈さだったよな」

「もし、この国と戦争になったら、いくらでも要塞を作られてしまいますね」

「滅多なことを言うんじゃない。
6匹の従魔が、火と氷のブレスを吐き、土魔法で防壁を作られて風魔法できりきざまれるんだぞ。
しかも、敵兵は昼間どれだけ傷ついても夜のうちに完全リフレッシュだ!
どう考えても、手の打ちようがないだろう」

「火のブレスだけで完敗ですね……」

「アートランド卿だけは、怒らせたくないものだな……」

「そういえば、どこかの王子が……」

「忘れろ!」



リフレッシュしたみなさんを食堂にご案内します。

「お風呂とミーミーの癒しは如何でした」

「もう、驚きの連続ですよ」

食堂には、局長クラスと王族が先に座っています。

「この丸いテーブルは?」

「上座も下座もないテーブルです。
空いている席におかけください」

「いや、王様が先に座って待ってるなんて……」

「王族も特別扱いしてくれないんだよ、こいつは……」

「シーリアに文句言ったら、自宅に出入り禁止になっちゃうものね」

「彼女は?」

「私のお姉ちゃんで、シーリーン・シュトーリア」

「すると王妃様」

「まあ、そんなものです」

「さあ、立っていないで、座ってくださいね。
料理を運ばせますから」

「あ、ああ。みんな空いている席に座るんだ」

「お、王子……、全部のテーブルに、王族の誰かがいるとこへ……
俺たちなんか座れないですよ」
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