稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅳ章 ワイバーンの故郷

カイン王子

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「シーリア様、今アルトハインのカインと名乗る方がお見えになりましたが……」

「まあ、何かあったのかしら」

私は急いで門まで出迎えに走る。


「まあ、遠いところを。
ようこそいらっしゃいました」

「事前連絡もなしで申し訳ない。
まずは、先日の謝罪をしたい。
暴言の数々、本当に申し訳ない」

「そんなこといいんです。
お言葉どおり、私はただの小娘ですから。
でも、シュトーリアをお認めいただけたのなら、うれしい限りですわ」

「とんでもない。
あれだけの料理長を育てられた卿が小娘のはずありません。
謝罪の意味も含めて、本日は狩ったばかりの地竜をお持ちしました。
おい、地竜を持ってこい」

ガラガラガラ

「まあ! 地竜なんて初めてです」

「喜んでいただけて幸いです。
頭だけは討伐の証に持ち帰りますが、地竜の肉は美味ですよ」

「ちょうど考案中の料理がありますの。
今日は城の方にお泊りくださいな。
とびっきりの料理を用意いたしますので」

「しかし、国へも早く知らせないと……」

「大丈夫ですよ。
アルトハインのお城には、ファルコンに文を持たせますから」

「そんなことが可能なのですか」

「パトリアがおりますので、ファルコンは迷わずに飛んでいけますわ」



カイン王子を王様に引き合わせ、挨拶してもらいます。

「王様、今日はカイン王子が地竜をお持ちくださいました。
新作を披露いたしますので、今日はパジャマパーティーでお願いします」

「ほう、地竜とは珍しい。
楽しみだな。
パジャマパーティーの件了解した。
時間まで、風呂に入ってゆっくりしていくといい」

「ありがとうございます」



「パジャマパーティーとはなんだ」

「みなさんの衣類は、お預かりして洗っておきます。
その間、ゆったりした菅頭衣の寝巻を用意させていただきますが、パーティーの出席者は全員同じ寝巻で参加してもらいます」

「なるほど。
我々だけ寝巻では、確かに居心地が悪い。
そのための配慮なのだな……
よく考えたものだ」

「ありがとうございます。
さあ、こちらがお風呂です。
鎧を含めて、籠の中に入れてくださいね。
明日のご出発までには洗って、乾かしておきますから」


「王子、このお風呂というのはいいですね。
湯に浸かっていると疲れが抜けていきますよ」

「うむ、我が国にも導入したいものだな。
だが、このようなものはゼンの話には出てこなかったぞ……」

「つくりは、まだ新しいようですね」

「寝巻での会食といい、最近になって大きく変化したような気がする……」

「まさか、これもアーツランド子爵の……」

「ホーリーライトの反射板も、移動中の馬車で思いついたそうだ。
発想が似ていると思わないか。
誰かのために……というあたりが……」

「誰かとは?」

「不特定の民だよ。
王家のためにというなら、こんな発想にはならんだろう。
そして、多くの貴族は王家のためにという発想が出発点だ。
出世したいからな」

「民のため……それこそ、王族の発想じゃないですか」

「ああ、生まれついての王族視点の持ち主かもな……」

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