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第Ⅲ章 アルトハイン
肉料理
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「料理長!
このベーコンはなんだ!」
「あら、お気にめしませんでしたか?」
「お前はなんだ。
ゼフ料理長はどうした」
「お休みをとっていただいております。
その間、私パトリアが臨時の料理長を務めさせていただきます」
「このベーコンはなんだ」
「先日、どこぞの王族に侮辱された、シーリア・アートランド様の手による改良品ですわ」
「う、ぐぬ……
あいつの置き土産か」
「いえ、実際に作ったのは私ですが」
「紛らわしい言い方をするな。
おかわりだ!」
「申し訳ございません。
今回作ったものはすべてお出ししてしまいました」
「うぐ……」
「肉でしたらございますので、ステーキで良ければ焼きますが」
「頼む」
「承知いたしました」
適当な大きさを切り出し、ステーキを焼きます。
ジュワー
「お、おい!そんな強い火で焼いたら、焦げてしまうではないか!」
「大丈夫ですよ。
表面だけ焼いたら、このように一旦冷やして肉汁を閉じ込めます。
次は弱火でじっくり焼いていきます」
「……」
「お待たせいたしました」
少しして、席に着いたカイン王子が駆け寄ってきます。
「おい、肉がまだ赤いぞ。
生ではないか!」
「ちゃんと焼くところを見てましたよね。
弱火でじっくり焼くと、このように火は通っていても肉の赤身は残ります。
逆に言えば、肉の柔らかさと旨味を残した焼き方なんです」
「……確かに、弱火だが焼いていた……
どれ」 パクっ…… …… ……
「ああ、確かに火は通っているな。
それでいて柔らかな弾力7ある触感……」
「もちろん、薄切り肉は強火で一気に仕上げますが、ステーキは焼き方ひとつで味も触感も変化させることができます」
「それも、アートランドの教えなのか」
「シーリア様のご指導もありますが、自分なりに研鑽を積んでまいりました。
真似るだけじゃなく、工夫して自分の技にしろ。
シーリア様の口癖ですわ」
「最初、鉄板に広げた固形の油と、最後に上に乗せた油は同じものだったな」
「水牛の乳から作り出したバターという油です。
これもシーリア様のオリジナルですわ」
「味付けしなかったのは、バターに塩がはいっていたからだな」
「さようでございます」
「油と焼き方で、こうまで違う肉になるとは……
アートランド、恐るべし……」
このベーコンはなんだ!」
「あら、お気にめしませんでしたか?」
「お前はなんだ。
ゼフ料理長はどうした」
「お休みをとっていただいております。
その間、私パトリアが臨時の料理長を務めさせていただきます」
「このベーコンはなんだ」
「先日、どこぞの王族に侮辱された、シーリア・アートランド様の手による改良品ですわ」
「う、ぐぬ……
あいつの置き土産か」
「いえ、実際に作ったのは私ですが」
「紛らわしい言い方をするな。
おかわりだ!」
「申し訳ございません。
今回作ったものはすべてお出ししてしまいました」
「うぐ……」
「肉でしたらございますので、ステーキで良ければ焼きますが」
「頼む」
「承知いたしました」
適当な大きさを切り出し、ステーキを焼きます。
ジュワー
「お、おい!そんな強い火で焼いたら、焦げてしまうではないか!」
「大丈夫ですよ。
表面だけ焼いたら、このように一旦冷やして肉汁を閉じ込めます。
次は弱火でじっくり焼いていきます」
「……」
「お待たせいたしました」
少しして、席に着いたカイン王子が駆け寄ってきます。
「おい、肉がまだ赤いぞ。
生ではないか!」
「ちゃんと焼くところを見てましたよね。
弱火でじっくり焼くと、このように火は通っていても肉の赤身は残ります。
逆に言えば、肉の柔らかさと旨味を残した焼き方なんです」
「……確かに、弱火だが焼いていた……
どれ」 パクっ…… …… ……
「ああ、確かに火は通っているな。
それでいて柔らかな弾力7ある触感……」
「もちろん、薄切り肉は強火で一気に仕上げますが、ステーキは焼き方ひとつで味も触感も変化させることができます」
「それも、アートランドの教えなのか」
「シーリア様のご指導もありますが、自分なりに研鑽を積んでまいりました。
真似るだけじゃなく、工夫して自分の技にしろ。
シーリア様の口癖ですわ」
「最初、鉄板に広げた固形の油と、最後に上に乗せた油は同じものだったな」
「水牛の乳から作り出したバターという油です。
これもシーリア様のオリジナルですわ」
「味付けしなかったのは、バターに塩がはいっていたからだな」
「さようでございます」
「油と焼き方で、こうまで違う肉になるとは……
アートランド、恐るべし……」
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