稀代の魔物使い

第Ⅲ章 アルトハイン

王都

ダイトウには三日間滞在し、四日目の朝王都に向けて出発しました。

「アルトハイン国王って、どんな方なんですか？」

「うーん、シュートリアの国王とは大分違うと思うぞ」

「どんなふうに？」

「わがままだ」

「王様がわがまま？」

「ああ。だから、お前はあまり喋らなくていい。
俺がフォローするから。
料理とかの話はしないほうがいい。
絶対に食わせろとか言い出すから」

「うふっ、子供みたいですね」

「ああ。駄々っ子がそのまま大人になったようなもんだ。
長兄もそれに近い。
おかげで、俺とアニキは分別ある大人に育つことができた」

「分別ある大人ですか……」

「お前……、チルバのことはいい加減に忘れてくれ。
あの時は本当にイライラしてたんだ」

「でも、二階から駆け下りてきた時は可愛かったです」

「それも忘れろ……
あんな何もない町で、あれに出会ったんだ……
驚くなという方が無理ってもんだ」

「それはそうと、シーリア様。
カーテシーでふら付きましたね」

「あ、あれは足場が悪くて……」

「今晩も特訓ですからね」

「……はい……」

「あははっ、お前だって似たようなもんじゃないか」

「私は……
お互いに忘れましょう」

「ああ、それがいい」



２日で王都に到着しました。
ゼン王子の指示で、三か所にホーリータワーを設置します。


「陛下、ただいま戻りました」

「おお、ご苦労であった。
それで、水牛１００頭と金貨一万枚に見合うものは確保できたのか？」

「その前に、こちらはシュトーリア王国のシーリア・アートランド子爵にございます。
今回のホーリーライト確保で、お骨折りいただきました」

「シーリア・アートランドでございます」

「余が国王のドン・アルトハインじゃ。
遠いところ大儀であった。
して、首尾よく確保できたのか？」

「はい。王都を含む各町に３灯のホーリーライトを確保し、既にダイトウに設置してまいりました。
王都にも設置済みですので、今宵から点灯いたします」

「民への宣伝も手抜かりのないようにな」

「はい。
私は明日からナキュとチルバへの設置に出かけますゆえ、今日のうちに内務大臣と会計局の調整に入らせていただきます」

「うむ、下がってよいぞ」



「ふう。じゃあ、早速内務局と会計局へまわろう」

「内務局？」

「ああ。ホーリータワーの周知と、貿易の調整だよ」