稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅲ章 アルトハイン

ダイトウの町

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「ダイトウ領主のカワチ兄貴は、オヤジがメイドに産ませた子供なんだ」

「ん?」

「だから、王位継承権から外して、早い時期にダイトウの前領主のところに養子に出した。
今の継承権一位は王妃で、第二位が長兄のハヤト。俺は第三位なんだ」

「よく分かんない……」

「そうか……
で、お前達は何をやってるんだ?」

「ナベ磨いてる」

「浅くて変わったナベだな。底なんて磨いてどうするんだ?」

「秘密兵器なの」

「魔物退治にでも使うのか?」

「秘密兵器だからヒミツなの」

「そ、そうか」



ダイトウの町に近づくと、すごい人だかりです。

「お祭りでもあるのかしら」

「いや、俺の出迎えだろう。
一番前にいるのがアニキだ。
いやあ、これほど歓迎されるとはな」

領主様の前で馬車がとまり、ゼン王子と一緒に馬車を降ります。

「アニキ、出迎えまでして……」

「お前はあとでいい。
聖女さま、シーリア・アートランドさまでいらっしゃいますね!」

「は、はい……」

おおー! と、周囲から声があがります。

「このような場所までご来訪いただき、ありがとうございます。
私、領主のカワチ・ダイトウにございます」

ここぞとばかりにカーテシーを披露します。

「シーリア・アートランドにございま……す」

少しよろけてしまいました。

「おい、アニキ……どういうことだ」

「シュトーリア王国の騎馬にあれはフォレストキャットですな。
上空にはブルーファルコンに龍とくれば間違いようがありません。
領民からの連絡で、こうしてお出迎えにあがって次第でございます。
シャイリアのカルト領主あてに書状を送ってまだ数日だというのに、こうしてお越しいただけるとは……」

「えっ?シャイリア?」

どうやら、私に会いたいとカルト領主あてに手紙を送り、そのタイミングで訪問したものだから勘違いがあったようです。


「そうですか……、手紙はまだ読まれていないと……。
では、聖角灯はまだですか……」

「アニキ、どういうことなんだ」

「シャイリアの町に設置された聖角灯のことは、この町にも情報が入っているし、実際に人をやって確認もした。
この町にも設置できないかと領民の希望があり、一灯譲ってほしいと打診したのだよ。
もちろん、タダでということはない。金貨2万枚を用意させてもらった」

「金貨2万枚かよ……」

「聖角灯にはそれだけの価値があるのだよ。
悪霊を消滅させてくれるだけでもな……」

「でるのか……」

「年に数回は発生する……」

「アニキ、安心してくれ。
各町の聖角灯……いや、ホーリーライトは確保できた」

「なに!本当なのか!」

「ああ。しかも全部の町に設置してもらって、金貨一万枚でいいそうだ」

「し、信じられん……」
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