稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅲ章 アルトハイン

婿なんて要らない

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「で、なんでこうなった」

「さ、さあ……」

「お言葉ですが……」

と、ジャネットさんが会話に入ってきます。
ケイトさんがお姉ちゃんの専属となったことで、ジャネットさんが私の専属になったようです。

「シーリア様は、国王にとって義理の妹同然。
つまり、準王族となります。
王族が隣国へ出向くのに、これでも少ないくらいでございます」

「メイド二人はわかる。
補佐官であるおまえも必要なんだろう。
だが、護衛の10騎は要らないだろう」

「何をおっしゃいますやら。
金貨一万枚を運ぶのに、当然の護衛ではありませんか。
帰りはあなた方はいないんですよ」

「そ、そうか……」

6人掛けの馬車の中、ゼン王子と私。ジャネットさんと我が家のメイド二人。
馬車の前後を10騎の騎馬に囲まれています。
御者と助手席には宮廷魔物使いの人が陣取っています。

かくいう私も、ティアラを頭に載せて、ヒラヒラの服を着させられています。

「お前も、そんな服持ってたんだな……」

「ジャルク王女様に借りてきました。
こんなの初めて着ましたよ」

「国としても、アルトハイン王国への正式な訪問となりますから、準王族として恥ずかしくない姿で謁見していただきます」

「えーっ、私に礼儀とか求められても無理だよ」

「大丈夫です。
向こうに着くまでに特訓して差し上げますから」


ミーミーハウスも男女別々で、二つ作ります。

「じゃあ、食事を作りましょうか」

「シーリア様、なんのためにメイドが二人もついてきたと思っているんですか?
さあ、調理はメイドに任せて、カーテシーの特訓です」

「……」



「どうしたシーリア。
さすがはお前のところのメイドだ。美味いぞ」

「食欲ない……、コルセットがきつくて食べられない……
もう、帰りたい……こんなはずじゃなかったのに……」

「だが、お前だっていずれはどこかの貴族か王族に嫁ぐのであろう」

「いえ、シーリア様は嫁には出さんと陛下が申されております」

「そうなると婿とりか。
まあ、すでに子爵だからな。
婿入りの希望も多かろう」

「私にはミーちゃんたちがいるから、そんなの要らないよ」

「フォレストキャットにブルーファルコンとドラゴン。キメラにワイバーン3匹か……
この7匹がいりゃあ、婿どころか国を獲れるぞ」

「そんな面倒なもの要らないよ」

「メリア王国も、こいつがいると知ってたら手を出さなかったろうにな。
だが、そうか子爵ってことは、王族か婿以外に選択肢はないのか」


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